(書評)
岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)
(22) 三角形と四角形の内角の和(p180~181)
また丸暗記だ。
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三角形の内角の和は、180°で、四角形の内角の和は、360°だよ。とても大切なことだから、しっかり覚えておこうね!
(p181)
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これらの証明がない。
いや、証明の前にやるべきことがある。紙を切るのだ。ただし、直線で。三角形、四角形、五角形、六角形……、もっともっと、どんどん切って、内角を分度器で測ってそれらを足して、それぞれの図形の内角の和が同じということを発見する。発見が大事なのだ。発見するから、なぜだろうと考えて、証明する意欲が生まれる。暗記は証明の後だ。証明ができたら、暗記の必要はほとんどない。
さて、証明の話に戻る。
すでに「合同な図形」(p178~179)について教わっている。だから、証明は簡単だろう。
三角形の場合、一つの頂点から垂線を下ろすんだよね。そして、小さな直角三角形の両側にそれらと合同の直角三角形を逆様にくっつける。すると、両側に長方形ができる。以下略。
ただし、このことは「正方形」(p178)についてしか、語られていない。長方形について語られていないのだ。その理由は不明。長方形で成り立つから、正方形でも成り立つんだが。
四角形の場合、二つの三角形に分割できる。もっと簡単。
ところが、後からこんな話になる。
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五角形に、頂点をつなぐ2本の直線をひくと、3つの三角形に分けることができるわ。
(p183)
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「五角形」で三分割をやるのに、「四角形」で二分割をやらないのだ。すごく変。
この節の前後(p168~193)の話は継続しているはずなのに、偽ドラえもんはぶちぶちと切って、わざとかどうか、とにかく理解しにくくして、そして、丸暗記を強いている。
なお、途中に、突然、「円周と円周率」(p186~187)が紛れ込む。迷路みたいだ。
(22終)