11/19(金)大阪・梅田の紀伊国屋書店・梅田本店にて、岩波書店『世界史の構造』柄谷行人著(¥3,675)を購入した。
マルクス主義の史的唯物論は、世界史の動因たる経済的下部構造を生産様式に限定したために国家というものの現実的根拠をとらえそこねた。生産様式ではなく、交換様式という包括的な経済現象こそ重要だ、というのが著者の理論の根源である。著者は交換様式A(互酬=共同体)、交換様式B(略取と再分配=国家)、交換様式C(商品交換=資本主義)の三種の交換様式を括り出し、支配的交換様式の交替として世界史の構造を分析してみせる。そして、交換様式Aの高次元における回復としての交換様式D(アソシエーション)を、世界史の理想、カントのいう統整的理念として揚げるのである。
15頁〔図1交換様式()内、図2近代の社会構成体ABCD〕、43頁(世界システム)を合成すると下図のようになる(Jandy編集)。
この世界を、どう変えるのか
人類社会の秘められた次元を回復する
「世界同時革命」への指標~『世界史の構造』
■著者からのメッセージ
柄谷行人
本書は,交換様式から社会構成体の歴史を見直すことによって,現在の資本=ネーション=国家を越える展望を開こうとする企てである.私はこのヴィジョンを,すでに前著『トランスクリティーク――カントとマルクス』(2001年)で提示している.それを本格的に展開したのが本書である.実は,その草稿は2005年にはほぼできあがっていた.だから,そのダイジェスト版を『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書)として刊行したのである.それから本論を仕上げるのに,さほど手間はかかるまいと思っていた.しかし,この仕事一本に専念したにもかかわらず,4年もかかってしまった.この間に,細部においてはいうまでもないが,かなり核心的な部分で飛躍的な発展がある.それが何であるのか.ご期待を乞う.
■著者略歴
柄谷行人(からたに こうじん)
1941年生まれ.評論家.
著作としては,『定本 柄谷行人集』(全5巻,岩波書店),Transcritique : On Kant and Marx(The MIT Press),『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書)など多数ある.
■目次
序文
序説 交換様式論
1 マルクスのヘーゲル批判
2 交換様式のタイプ
3 権力のタイプ
4 交通概念
5 人間と自然の「交換」
6 社会構成体の歴史
7 近代世界システム
第1部 ミニ世界システム
序論 氏族社会への移行
第1章 定住革命
1 共同寄託と互酬
2 交易と戦争
3 成層化
4 定住革命
5 社会契約
6 贈与の義務
第2章 贈与と呪術
1 贈与の力
2 呪術と互酬
3 移行の問題
第2部 世界=帝国
序論 国家の起源
第1章 国家
1 原都市=国家
2 交換と社会契約
3 国家の起源
4 共同体=国家
5 アジア的国家と農業共同体
6 官僚制
第2章 世界貨幣
1 国家と貨幣
2 商品世界の社会契約
3 『リヴァイアサン』と『資本論』
4 世界貨幣
5 貨幣の資本への転化
6 資本と国家
第3章 世界帝国
1 アジア的専制国家と帝国
2 周辺と亜周辺
3 ギリシア
4 ローマ
5 封建制
第4章 普遍宗教
1 呪術から宗教へ
2 帝国と一神教
3 模範的預言者
4 倫理的預言者
5 神の力
6 キリスト教
7 異端と千年王国
8 イスラム教・仏教・道教
第3部 近代世界システム
序論 世界=帝国と世界=経済
第1章 近代国家
1 絶対主義王権
2 国家と政府
3 国家と資本
4 マルクスの国家論
5 近代官僚制
第2章 産業資本
1 商人資本と産業資本
2 労働力商品
3 産業資本の自己増殖
4 産業資本主義の起源
5 貨幣の商品化
6 労働力の商品化
7 産業資本主義の限界
8 世界経済
第3章 ネーション
1 ネーションの形成
2 共同体の代補
3 想像力の地位
4 道徳感情と美学
5 国家の美学化
6 ネーション=ステートと帝国主義
第4章 アソシエーショニズム
1 宗教批判
2 社会主義と国家主義
3 経済革命と政治革命
4 労働組合と協同組合
5 株式会社と国有化
6 世界同時革命
7 永続革命と段階の「飛び越え」
8 ファシズムの問題
9 福祉国家主義
第4部 現在と未来
第1章 世界資本主義の段階と反復
1 資本主義の歴史的段階
2 資本と国家における反復
3 1990年以後
4 資本の帝国
5 つぎのヘゲモニー国家
第2章 世界共和国へ
1 資本への対抗運動
2 国家への対抗運動
3 カントの「永遠平和」
4 カントとヘーゲル
5 贈与による永遠平和
6 世界システムとしての諸国家連邦
注
あとがき
単行本: 504ページ
出版社: 岩波書店 (2010/6/25)
言語 日本語
ISBN-10: 4000236938
ISBN-13: 978-4000236935
発売日: 2010/6/25
商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 4 cm
★amazon『世界史の構造』
★amazon『世界共和国へ~資本=ネーション=国家を超えて』
★柄谷行人公式ウェブサイト:http://www.kojinkaratani.com/jp/
★Wikipedia「柄谷行人」:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%
84%E8%B0%B7%E8%A1%8C%E4%BA%BA
★関本洋司のブログ「柄谷行人」:http://yojiseki.exblog.jp/i6/
★自由のための「不定期便」『柄谷行人著「世界共和国へ」を読む』:
http://adat.blog3.fc2.com/blog-category-41.html
★Jandy's Blog「柄谷行人(Kojin Karatani)著『世界共和国へ-資本=ネーション=国家を超えて』岩波新書」:
http://blog.goo.ne.jp/jandy7322/e/
46528bea7524f0e2fc792c4d46015684
★紀伊国屋書店:http://www.kinokuniya.co.jp/
梅田本店:〒530-0012大阪市北区芝田1-1-3阪急三番街、TEL06-6372-5821、FAX06-6375-2385、営業時間:梅田本店10:00~22:00、アウトレットブック by Kinokuniya11:00~20:00、バンドスコアハウス11:00~20:00、店休日:10月無休、アウトレットブック by Kinokuniya:毎週水曜、バンドスコアハウス:毎週水曜
↓都道府県別、年代別、カテゴリー別に他のブログが閲覧できます。
←都道府県別・年代別ブログ
←カテゴリー別ブログ
11/19(金)トータル
閲覧 1,153,388 PV
訪問者 351,132 IP
2010.11.19(金) 1337 PV 402 IP 1627 位 / 1496628ブログ
マルクス主義の史的唯物論は、世界史の動因たる経済的下部構造を生産様式に限定したために国家というものの現実的根拠をとらえそこねた。生産様式ではなく、交換様式という包括的な経済現象こそ重要だ、というのが著者の理論の根源である。著者は交換様式A(互酬=共同体)、交換様式B(略取と再分配=国家)、交換様式C(商品交換=資本主義)の三種の交換様式を括り出し、支配的交換様式の交替として世界史の構造を分析してみせる。そして、交換様式Aの高次元における回復としての交換様式D(アソシエーション)を、世界史の理想、カントのいう統整的理念として揚げるのである。
15頁〔図1交換様式()内、図2近代の社会構成体ABCD〕、43頁(世界システム)を合成すると下図のようになる(Jandy編集)。
この世界を、どう変えるのか
人類社会の秘められた次元を回復する
「世界同時革命」への指標~『世界史の構造』
■著者からのメッセージ
柄谷行人
本書は,交換様式から社会構成体の歴史を見直すことによって,現在の資本=ネーション=国家を越える展望を開こうとする企てである.私はこのヴィジョンを,すでに前著『トランスクリティーク――カントとマルクス』(2001年)で提示している.それを本格的に展開したのが本書である.実は,その草稿は2005年にはほぼできあがっていた.だから,そのダイジェスト版を『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書)として刊行したのである.それから本論を仕上げるのに,さほど手間はかかるまいと思っていた.しかし,この仕事一本に専念したにもかかわらず,4年もかかってしまった.この間に,細部においてはいうまでもないが,かなり核心的な部分で飛躍的な発展がある.それが何であるのか.ご期待を乞う.
■著者略歴
柄谷行人(からたに こうじん)
1941年生まれ.評論家.
著作としては,『定本 柄谷行人集』(全5巻,岩波書店),Transcritique : On Kant and Marx(The MIT Press),『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書)など多数ある.
■目次
序文
序説 交換様式論
1 マルクスのヘーゲル批判
2 交換様式のタイプ
3 権力のタイプ
4 交通概念
5 人間と自然の「交換」
6 社会構成体の歴史
7 近代世界システム
第1部 ミニ世界システム
序論 氏族社会への移行
第1章 定住革命
1 共同寄託と互酬
2 交易と戦争
3 成層化
4 定住革命
5 社会契約
6 贈与の義務
第2章 贈与と呪術
1 贈与の力
2 呪術と互酬
3 移行の問題
第2部 世界=帝国
序論 国家の起源
第1章 国家
1 原都市=国家
2 交換と社会契約
3 国家の起源
4 共同体=国家
5 アジア的国家と農業共同体
6 官僚制
第2章 世界貨幣
1 国家と貨幣
2 商品世界の社会契約
3 『リヴァイアサン』と『資本論』
4 世界貨幣
5 貨幣の資本への転化
6 資本と国家
第3章 世界帝国
1 アジア的専制国家と帝国
2 周辺と亜周辺
3 ギリシア
4 ローマ
5 封建制
第4章 普遍宗教
1 呪術から宗教へ
2 帝国と一神教
3 模範的預言者
4 倫理的預言者
5 神の力
6 キリスト教
7 異端と千年王国
8 イスラム教・仏教・道教
第3部 近代世界システム
序論 世界=帝国と世界=経済
第1章 近代国家
1 絶対主義王権
2 国家と政府
3 国家と資本
4 マルクスの国家論
5 近代官僚制
第2章 産業資本
1 商人資本と産業資本
2 労働力商品
3 産業資本の自己増殖
4 産業資本主義の起源
5 貨幣の商品化
6 労働力の商品化
7 産業資本主義の限界
8 世界経済
第3章 ネーション
1 ネーションの形成
2 共同体の代補
3 想像力の地位
4 道徳感情と美学
5 国家の美学化
6 ネーション=ステートと帝国主義
第4章 アソシエーショニズム
1 宗教批判
2 社会主義と国家主義
3 経済革命と政治革命
4 労働組合と協同組合
5 株式会社と国有化
6 世界同時革命
7 永続革命と段階の「飛び越え」
8 ファシズムの問題
9 福祉国家主義
第4部 現在と未来
第1章 世界資本主義の段階と反復
1 資本主義の歴史的段階
2 資本と国家における反復
3 1990年以後
4 資本の帝国
5 つぎのヘゲモニー国家
第2章 世界共和国へ
1 資本への対抗運動
2 国家への対抗運動
3 カントの「永遠平和」
4 カントとヘーゲル
5 贈与による永遠平和
6 世界システムとしての諸国家連邦
注
あとがき
単行本: 504ページ
出版社: 岩波書店 (2010/6/25)
言語 日本語
ISBN-10: 4000236938
ISBN-13: 978-4000236935
発売日: 2010/6/25
商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 4 cm
★amazon『世界史の構造』
★amazon『世界共和国へ~資本=ネーション=国家を超えて』
★柄谷行人公式ウェブサイト:http://www.kojinkaratani.com/jp/
★Wikipedia「柄谷行人」:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%
84%E8%B0%B7%E8%A1%8C%E4%BA%BA
★関本洋司のブログ「柄谷行人」:http://yojiseki.exblog.jp/i6/
★自由のための「不定期便」『柄谷行人著「世界共和国へ」を読む』:
http://adat.blog3.fc2.com/blog-category-41.html
★Jandy's Blog「柄谷行人(Kojin Karatani)著『世界共和国へ-資本=ネーション=国家を超えて』岩波新書」:
http://blog.goo.ne.jp/jandy7322/e/
46528bea7524f0e2fc792c4d46015684
★紀伊国屋書店:http://www.kinokuniya.co.jp/
梅田本店:〒530-0012大阪市北区芝田1-1-3阪急三番街、TEL06-6372-5821、FAX06-6375-2385、営業時間:梅田本店10:00~22:00、アウトレットブック by Kinokuniya11:00~20:00、バンドスコアハウス11:00~20:00、店休日:10月無休、アウトレットブック by Kinokuniya:毎週水曜、バンドスコアハウス:毎週水曜
↓都道府県別、年代別、カテゴリー別に他のブログが閲覧できます。
←都道府県別・年代別ブログ
←カテゴリー別ブログ
11/19(金)トータル
閲覧 1,153,388 PV
訪問者 351,132 IP
2010.11.19(金) 1337 PV 402 IP 1627 位 / 1496628ブログ