ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

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蹄病を理解するー1

2020年02月02日 | 裸蹄管理

 論文を書き終わりましたので、やっと、今回から裸蹄管理に重要な「蹄病」について書いていきます。とにかく長くなります・・・・・。専門的な話もなるべく易しめに書きますが、参考リンクは必ずご覧いただきますようお願いいたします。

 さて、蹄病。種類多し。名前が色々ついています。代表的な奴を箇条書きにしてみます。

  1. 蟻道・砂のぼり
  2. 裂蹄
  3. 白線病
  4. 蹄膿瘍
  5. 蹄葉炎
  6. 挫跖
  7. 蹄叉腐乱
  8. 蹄癌
  9. 立腫れ・けいくん
    ってこんなにあるんかい!となりますが、これらの病変をバラバラに考えるから、今まで蹄病の全貌が全く理解できていなかった、ということ。まず、病変が起きている場所に基づいて分類すると、1~4は蹄壁内で起きている疾患で、5~7は蹄底の疾患。8については、今まで病気と考えられていなかったフシがありますが、れっきとした病気なんです。これが起きている=なんらかの蹄病が起きている、と考えるのが妥当でしょう。
     これを図にまとめると、こうなります。裂蹄は蹄の被覆層に生じた亀裂なので、こうした断面図には描けないんですが。

 蟻道・砂のぼりと呼ばれている疾患は蹄壁の被覆層と保護層の間に隙間が起きてしまう状態。裂蹄は、被覆層~保護層に亀裂が生じる疾患。蹄縁から起きてくることがほとんど。

 白線病は、蹄真皮に繋がる白線の部分に隙間が空いてしまう疾患で、これがひどくなって感染が生じると蹄膿瘍となり、更に蹄真皮全体に広がってしまうと蹄葉炎となる。

 一方、蹄底に、なぜか膿がたまってしまう状況を挫跖といい、蹄叉が感染を起こしてぐずぐずになってしまうのが蹄叉腐乱、それがひどくなって蹄癌、となるわけです。蹄癌は、感染を起こした蹄叉に起こる、肉芽腫炎です。

 と、このように解説している蹄の本はありません。なぜないか、というと、誰もまともに理解していないから、ですね。教本を読んでみると、全てバラバラに解説されています。笑っちゃうけど。

 馬の臨床で多分獣医科の学生が読まされている教本

に書かれている内容を抜粋してみると、こんな感じ

1)挫跖:圧迫や打撲による蹄底部の損傷。砂利等の突起物を踏むことで発症する。薄い蹄底・平らな蹄で起きやすい。

2)蹄膿瘍:蹄の知覚部に膿瘍を形成して急性の跛行を生じる疾患。異物や裂蹄・蹄葉炎が起きていると発症しやすい、んだそうです。

3)裂蹄:蹄壁を変消させる加重が原因。蹄の乾燥・過長が原因、だそうです。

4)蹄葉炎:蹄真皮組織の虚血性壊死によって蹄壁が蹄骨と乖離する状況。原因は色々挙げられていますが、結局はよく分かっていない、んだそうです。

5)白線病:蹄底の白線部に変色・陥没・拡張等の異常が見られる場合。その実態は蹄壁剥離症で、どういう訳か、蟻道や砂のぼりもこの疾患に含まれる、とか書いてあります。

6)蟻道:なのにこの疾患が次に出てくる。内容は白線病と同じっぽいんですが、運動によって反回(ってこれ、何の運動?)が繰り返されると、蹄壁が剥離するように力がかかるから、だそうです。

で、骨折が続き、やっと

7)蹄叉腐乱:蹄叉部に感染を起こした疾患。適切な管理をしてないと起こる、んだそうです。

8)蹄癌:蹄叉腐乱のひどい奴のようですが、原因はよく分かっていないんだそうです。

以上、この教本に書かれている順に要約しましたが、著者の方の頭が混乱している、という事が、並び順から分かります。これを読んで蹄病を理解できる学生諸君はいないでしょうなあ。気の毒に。もっとまずいのは、治療法も予後も全部間違っている、ということ。これじゃあ、何十年たったって、蹄病は治せませんよ。

 しょうがないので、次回から当方が解説いたしましょう。


第4回ホースメッセ

2020年02月02日 | ハミなし頭絡

が、無事に終了しました。ご来場くださいました皆様、当協会ブースに来てくださいました皆様、ありがとうございました。

 協会がブース出店を始めたのは第3回からなのですが、今回は、前回とは比べ物にならないくらい忙しく、なんと言いますか、同僚と2人合わせてのべ100回くらいは説明をさせていただいたような気がしています・・・・。土日はお昼を食べに行く余裕もなし。大変ありがたいことでございました。

 ハミなし頭絡については、その構造についてのご質問を多くいただいております。ハミがないのにどうして馬に指示が伝わるのか?については、この頭絡の構造上の特徴が大きな役割を果たしています。シンプルで動物に伝わりやすい仕組みを使っているので、きちんと理解してもらえる、ということですね。これについては、当ブログでも細かくご説明していこうと考えております。

 来てくださいました皆様に共通していたことが、「ハミって、ああいうのを口に押し込まれて、可哀そう、痛そう、大丈夫なんでしょうか?」という疑問です。社会的な常識に鑑みて考えてみれば、極めて当たり前の疑問だと思います。その疑問は正しいです。そうした疑問を踏み潰すように「馬にはハミを付けるもんだ」というよく分からない習慣を押し付けるのが乗馬だとすれば、こんなおかしな話は今どきほとんどない、と思うのです。特に上級者の方は、何も考えていない。そういうのは、「脳が死んでいる」状態で、競技の発展も進歩も望めないでしょう。

 同時に感じていることですが、乗馬を習っている方、皆さん非常にまじめで熱心、そして、自信がない状況からいつまでも抜け出せない、ということ。乗馬を教える側は、生徒に自信を付けさせる必要性を感じていないように思います。いつまでも、「うまくならないのは馬が悪い、生徒が下手だから」でオシマイ。教え方が悪いんじゃないの?いや、道具が悪いんじゃないの?というごく普通の疑問が全く出てこないのは不思議です。

 今現在、スポーツ界の道具革新はとどまるところを知りません。マラソンシューズ・テニスラケット・フィギュアスケート靴も変革が起きています。4回転がポンポン飛べる理由にはシューズの改良もあるのです。乗馬界だけ全然、というのは、馬と一緒に考えて研究する、気がない、ということなんでしょうか?

 当協会は道具の革新を訴えております。物事の改善で一番楽勝なのが道具を変えることだからです。人の考え方を変えるのが一番難しい。しかし、このままでは、どう考えても「乗馬」も「馬術」も衰退するばかり、道具の変革をもっと積極的に考えるべき時期なのではないでしょうか。