1998年より就航している陸線(陸上移動無線局)型モービル。今年11年目を迎え、惜しまれつつも廃艦が決まった。一見ミニバン自動車風ではあるが、屋上のキャリアには、常時3本の可倒式アンテナを装備し、ATUを用いた野線(野営無線運用)装備により、常時1.9MHz~5600MHzまでフルバンドQRV可能な陸線マシン。ご近所様からは「走るイージス艦のよう」と怪しまれ続けてきた艦である。
一部野線マニアの間で注目され、惜しまれつつも製造終了となってしまったATE-350と、伝説のアンテナチューナSG-231の組み合わせで、1.9MHz~50MHzをフルカバーし、衛星通信用144MHzx5エレ/430MHzx10エレ仰角制御対応ビームアンテナ、さらには2400MHz、5600MHzTRVも常備。オールバンドQRVを可能とした、まさに最強のマシン。いずれのアンテナもQQS(Quick QRV Sysytem)により、1分足らずで設営完了する。
思えば「移動無線運用」を知ったのは、もう30年以上も前の開局間もない頃。ローカル各局は、日本初の144MHz帯でのWAJA獲得に向けて躍起になっていた。その後ターゲットは430MHzから1200MHzと上がり、私も1200MHz帯AJDの特記#4アワードをゲットできた。300Wの2スト混合発々を焚き、隣接周波数の抑圧に苦しみながら山岳移動を繰り返していた当時の設備に比べれば、本艦の設備はどれだけ進歩したことか。900Wのインバータ発電機は騒音もほとんど無く、IF DSP装備のRIGは、たいていの混信を除去してくれるし、ログはUMPC。たった30年で時代は大きく変わったものです。
本艦就航以来、170回の移動運用を敢行。のべ1万QSOに迫る実績を上げてきました。艦としての基本性能は特に問題ありませんが、諸般の事情により、このたび完全無(線)装(備)解除。廃艦と相成りました。代替え艦については現在手配計画中ですが、当分の間、野営移動無線運用はできなくなります。長い間お世話になりました。いいモービルでした。
※旧ブログサイトから記事移動(2017/04)
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