<記事作成:2001年11月30日>
やはり、記念乗車というのは、運行初日か運行最終日が人気かと思います。最近私が攻めたところでは、1997年10月1日の北陸新幹線長野行開業初日以来でしょうか。在来特急あさま号最終日は残念ながら攻められず、廃止の約1週間前に乗りました。すでに横川駅や軽井沢駅の上野方では、かなりの人数のファンが集まっていましたが、まだEF63の併結作業は静かに見守れるくらいの余裕がありました。最終日の様子は、テレビ朝日系の夜のニュース番組でも生中継されましたが、残念ながら熱狂的な(にわか?)ファンによるお祭り騒ぎと化してました。長い歳月と多くの犠牲をはらって開業し、守り続けられてきた路線だけに、少し複雑な気持ちでした。
しかし、誰にも注目されずに、ひっそりと消えていくスジがあったとしたら、それはそれで寂しいだろう、ということで、今回は12月1日ダイヤ改正で廃止される「上り急行アルプス号」の最終日、長野→松本間に乗車することにしました。長距離列車ではありますが、地元サラリーマンの足としても活躍してくれた列車です。ただし、「急行アルプス号」自体なくなるわけではなく、「下り」のみ運転される、という変則的なダイヤとなります。もともと、下りは新宿→信濃大町、上りは長野→新宿という、まるで回送列車を兼ねたような運行ではありましたが。(実際の乗車率も回送列車並!?)
翌日の「新型あずさ」デビューの陰に隠れて、もしかしたら、鉄ちゃん誰も来ていないのでは、と心配しましたが、やはりいました、それらしき系の人たちが。ただ、やはりそんなに人数は多くなく、ざっとみわたして十数人。22時55分頃、旧国鉄色の189系11連が入線。普段は青色のあずさ系長野色だったのですが、最終日ということで旧国鉄色があてがわれたのでしょうか。湘南色165系がきたら、もっとびっくりでしたが、それはなかったです。そういえば、横軽廃止のあと、長野始発となってしばらく緑色の旧あさま色で運転されていた日もありました。写真では飛んでしまっていますが、ヘッドマークが「急行アルプス」の文字のみ。いまどき、通勤ライナーでもイラスト付きのヘッドマークなのに、ちょっとかわいそうです。
三脚抱えた写真系の人や、終点までがんばると決めているとおぼしき乗りまくり系の人など、どこをみわたしても一般のお客さんが見あたらないなか、23時25分、定刻どおり402Mは静かに長野駅を出発しました。車内放送で、この運転が最終であること、また臨時のスジでは松本→新宿は運転される日があることなどが説明されていきます。
列車は稲荷山をすぎ、姨捨に向かって上っていきます。車窓左下には善光寺平の町の灯りが広がります。中央本線の韮崎付近には、外から列車を眺めると、宇宙へ旅立っていく「銀河鉄道」のように見えるポイントがあるそうですが、ここは「銀河鉄道」に乗って自分が宇宙へ旅立つ雰囲気を楽しめるポイントです。この区間は、昔はDD51に牽かれるオハ35やスハ44あたりの旧型客車(長野-中津川)、湘南色80系電車、それに気動車時代の特急しなのキハ181などでよくとおったところです。そういえば、「急行きそ」(名古屋-長野)や循環急行「すわ」「のべやま」(長野-長野)もありました。
そんな昔のことを考えているうちに松本到着。降りたのは、私の他1,2名でした。残りの鉄人たちは新宿を目指すのでしょうか。松本駅コンコースの出発案内板には、アルプス号が発車したあとも、名残を惜しむかのように、しばらく「急行アルプス 0:25新宿(辰野経由)」の表示がつけられたままでした。切符売り場では明日からの時刻改正にあわせ、時刻表示板を取り替える作業が行われています。
アルプス号といえば、東京方面から松本へ帰るとき、上りも下りも、両方とも最終列車の役を担ってくれていました。新宿発松本行最終21:00のあずさを逃してしまった場合、選択肢は「1:あきらめてカプセルに泊まる」「2:新宿23時50分発の下り急行アルプスで帰る」あたりが一般的ですが、どうしても早く帰りたい場合の裏技として、「3:速攻で東京駅(場所によっては大宮駅)へ向かって東京発21時24分新幹線あさま、長野乗り換え上り急行アルプス」という選択肢がありました。この手を使えば、お金はかかりますが、最終あずさにおくれること20分ほどで松本駅に帰り着くことができたのです。本当の最終で、「最終あさま」+「急行ちくま」という手はまだ残されていますが。また上り急行アルプス号には、松本から塩尻、諏訪方面へ帰る最終列車としての役割もありました。ローカル最終は22:54松本発、宴会帰りには厳しい時間です。2次会帰りのおとうさんたちを、数万円のタクシー代から救ってくれたのもこの上り急行アルプス号でした。長い間お世話になりました。
by taniyan
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