じんべえ時悠帖Ⅱ

板鼻宿から安中へ

 台風14号は南東へUターンの予報となったが、今日と

明日の雨は変わらない。今日も一日引き籠りになりそう。

 さて、再開中山道ウォークは3回目、板鼻宿である。

 

 ここも八幡太郎義家が立ち寄って戦勝祈願したという

八幡八幡宮の大鳥居を眺めてから、碓氷川の土手を降り

中山道に戻る。

 左カーブして碓氷川へ向かう国道十八号とわかれた後、

中山道は小さな板鼻川を渡る。その先に双体道祖神など

が並ぶ。珍しい酒器を持った双体道祖神は「祝言形」。

 この先で久々に信越線の踏切となる。倉賀野宿の手前

で高崎線を跨いで以来。関東では踏切名に「中仙道」が

使われるが、長野の塩尻ー洗馬間では「仲仙道」だった。

 JR東日本とJR東海の違いかと思うが、小海線でも

仲仙道が使われるという。そうなると長野鉄道管理局が

仲仙道となるのかも知れない。

 この踏切あたりからが板鼻宿。まずは榛名道の分岐点

に古い道標が立つ。通り過ぎて振り返ると「やはた・・・」

と読めるから大鳥居の八幡宮がある八幡村を指す。

 中山道にから見る正面はやはり「はるなみち」である。

 板鼻宿は西を流れる碓氷川の架橋が禁じられていたため

川留めが多く、上州七宿の中で一番旅籠が多かった。

英泉画

 上州櫓造りの家、老舗のカツ丼店などを通り、まずは

板鼻宿の本陣跡へ向かう。

 板鼻宿の本陣跡は公民館。裏側に和宮が泊まったという

書院だけが移築される。中の写真もあるので「見学する方

は職員に」は不要、というより靴を脱ぐのが面倒。

 左下の説明、床下に寝ずの番がいたというのが面白い。

 移築された書院のすぐ裏の清流は「板鼻用水路」とある。

四百年前に造られて高崎市までの15キロの周囲、150haを

潤すと書かれる。

 公民館で貰ったパンフレットで板鼻宿の次のスポット

を探すべく、中山道沿いの小さな公園のベンチに座ると、

私よりひと回りは年配のご婦人が、トイレへの往き還り

とも声掛けをしてくれる。よほど寂しそうに見えたのだ

ろうか。確かにいつもロンリー・ウォークである。

 中山道の一本上、旧国道十八号沿いに、それぞれ由緒

のある三つの寺を訪れることにして腰を上げる。まずは

一番遠い称名寺から。やはり彼岸花はお寺さんに合う。

 称名寺の名物は、その文様の芸術性により太平洋戦争

での供出を免れたという梵鐘。

 次の南窓禅寺は境内にある小野良佐栄重の墓が名所。

小野栄重は和算の大家ながら、あの伊能忠敬に師事し

天文学も学んだ。そして九か月の間、一緒に北海道の

海岸線を測量したと言う。

 もう一つ、時宗の聞名寺には一遍上人が愛用した「笈

(オイ)」が残るという。僧が行脚の時に背負う仏具、衣服、

食器などを入れた時宗独特の箱で、日本に現存する三つの

一つ。多分、ふらっと来て見ることは出来ないので境内を

ざっと見てから先へ進む。

 今日は高崎で泊りだが既に午後3時を回り、そろそろ

2キロ先の安中駅へ向かう時間。かなりの登りになった

お寺さんの前の通りをそのまま進むと旧中山道と合流し

鷹之巣橋に出る。

 安中駅から高崎へ戻り、翌日の安中宿へは次回。

 


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コメント一覧

jinbei1947
えめらるど様
地名としての板鼻は知っていても宿場があったことなど今回初めて知りました。
パンフレット渡す若い職員は、その中身についてはあまり知りません。
地面は歩くものですね。
jinbei1947
ワイコマ様
東海道の山賊リスクを避けた和宮の中山道降嫁の賑わいはもちろん一過性。
増してやすぐに御一新、明治政府の復活を願う今の保守勢力にとって
御一新以前の歴史的遺構は邪魔なだけです。
それに抗して遺構を維持するのも大変です。
えめ
板鼻宿。初めて出会った名前です。ここに下諏訪よりも大きな宿場があったとは、驚きです。もっと大きな塩尻宿は、残念ながら大火で跡形なくなってしまった由、そのこともここで改めて学習しました。
えめ
板鼻宿。初めて出会った名前です。ここに下諏訪よりも大きな宿場があったとは、驚きです。もっと大きな塩尻宿は、残念ながら大火で跡形なくなってしまった由、そのこともここで改めて学習しました。
ykoma1949
板鼻宿、高崎を避けてこの宿場に、和宮も
泊まった、とすればもう少し大きな町に・・
なっていてもいいのでしょうが・・私的には
高崎、安中、はよく聞く名前ですがこの板鼻
はあまり聞かない名前、でも由緒ある寺院が
いくつもあるということは、それなりに地域
住民は沢山いたんですね・・
鷹之巣・・御巣鷹・・と群馬には似た名前の
山や橋があり、なんとなく悲しそうな思いが
浮かんできます。
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