「非正規社会からの脱却」、衆院選に向けたある野党の
スローガンの一つである。
昔から臨時雇い、アルバイトと呼ばれる職種はあったが、
あくまでも雑用の範囲だった。今では企業活動の価値創造
の職種にも一年契約の「臨時雇い」制度、いわゆる非正規
雇用が蔓延する。
新興国の工業化で国際競争力が低下したための合理化、
コストカットが必要だったという。目の前の蠅を追い払う
だけの愚策であった。
格差容認、能力主義と外国を真似した。年功序列である
ところまで昇進する日本型「生涯雇用」にメスが入り能力
主義になった。落ちこぼれた者は早期退職の対象になった。
そして今の日本となった。問題は企業現場ではなかった。
先を見ず私利私欲に走る愚かな政治家と企業家たちの問題
だった。
私はメーカーの工場勤務を長く経験した。仕事は無難に
熟すがちょっとトロい人もいた。そういう人には味のある
人が多かった。職場の潤滑油のような人だった。
しかし、大きな品質問題や大量受注の修羅場になると、
そんな人が普段の数倍の力を発揮した。
今、能力主義で働く人たちはバネが伸び切っているから、
いざという時に「伸び代」がない。逆に切れてしまう。
ある野党の冒頭のスローガンの後、
「今こそ生存のための政権交代を、・・・・いのちを守り抜く
政治の再建を。非正規・貧困から脱却しよう」と続く。
明るい未来に向けて、中身のない「新しい資本主義」では
なく、こんな視点が要るのではないだろうか。以紹介した
「未来への大分岐」点に、今世界は立っているのではないだ
ろうか。