「香港船、北朝鮮に石油製品引き渡し」
2017年12月29日 14:51 SPUTNIK
韓国・麗水の港を出港した香港船「Lighthouse Winmore」が、公海上で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の船に石油製品を
積み替えたという。
韓国当局の試算では、石油製品の規模はおよそ600トン。この事案が既に10月19日に発生したことは明らかになっていたが、
公式的に確認されたのは今回が初めて。
現在、問題の船は強制捜査を受けている。
今回の事案は国連安全保障理事会の決議に対する明確な違反。
「Lighthouse Winmore」は11月24日、麗水への定期寄港時に差し押さえられた。韓国の税関当局が調べた結果、同船は台湾企業
「Billions bunker group」に貸し出されていた。10月11日、麗水で燃料を補給した際、この船に日本製の石油製品が積み込まれ、
4日後に台湾に向け出港するはずだった。しかし船は台湾には向かわず、その代わりに公海上で船舶4隻に貨物を引き渡した。
そのうち1隻が北朝鮮の船だったという。
韓国外務省の報道官が記者団に語ったところでは、同国は近いうちに自国による調査結果を安保理の制裁委員会に提出する。
報道官は今回の事案について、北朝鮮が違法な活動を利用して、国際社会が科した制限措置を迂回することに成功していることを示す
極めて特徴的な事例だとしている。
韓国の麗水港沖で撮影された、台湾の企業によりチャーターされた「Lighthouse Winmore」号(2017年12月29日撮影、資料写真)
トランプ氏、中国の北朝鮮石油供給に「失望」 平和解決阻害
2017年12月29日 / 02:19 / REUTERS
[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、ツイッターで、中国が北朝鮮に対する石油供給を容認している
ことに「非常に失望した」とし、こうした行動は北朝鮮の核問題の平和的な解決を阻害するとの考えを示した。
トランプ大統領は「現場が押さえられた。中国が北朝鮮に対する石油供給を容認していることに非常に失望している。
こうしたことが続けば北朝鮮問題を巡る平和的解決は一切なくなる!」とツイートした。
韓国の新聞は、中国の船舶が海上で北朝鮮の船舶に石油を供給したと報道。これについて中国は28日、中国は国連制裁決議に
違反する北朝鮮への石油供給は一切行っていないとの立場を示している。
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中国と北朝鮮、海上で30回以上も石油を密輸 米国が偵察衛星で現場撮影
国連安全保障理事会による9月の対北朝鮮制裁決議の後も、中国籍および北朝鮮籍とみられる船舶が黄海の公海上で石油などを密輸
していたことが、米国の偵察衛星の写真により明らかになった。
韓国・朝鮮日報26日付けによると、密輸取引は10月から約30回にわたるという。中朝間の密輸防止を見越していた米国による
国連安保理の制裁決議案2375号だが、すでに形骸化が疑われている。同決議案では、北朝鮮へ輸入が禁じられている品目は、
船から船への輸送「瀬取り」も禁止すると明記されている。
米財務が異例の衛星写真公開
米財務省は11月21日、中国と北朝鮮の商社に所属する船舶20隻を独自制裁対象に追加した。同時に、北朝鮮船舶
「レソンガン(礼成江)1号」が海上で中国籍とみられる大型貨物船と連結する写真を公開した。撮影日は10月19日。
米財務省は「制裁回避のため、石油を船から船へ輸送しているのではないか」と指摘した。現在、北朝鮮は制裁により石油輸入を
年間50万バレルに制限されている。
マクマスター米国家安保補佐官は12月13日、「精製油類の瀬取り移送などをかなりの回数、確認している」と述べ、公海上で
北朝鮮との密輸に係わる企業に対して「最も厳しい経済制裁に直面するだろう」と強く警告した。
衛星写真と中国当局の発表は矛盾する。中国税関総署が12月26日公表したデータによると、11月は北朝鮮からの鉄鉱石、石炭、
鉛の輸入はないとしている。また、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル、燃料油の対北朝鮮への輸出もゼロとしている。
中国外交部の華春瑩報道官は12月27日の記者会見で、制裁対象となった船舶だけが取引違反となるとの見解を示した。
報道官は記事内容を知らないとしながら、「もし彼らが制裁リストに載っていなければ、安保理決議に違反している(していない)
ということがどうしてわかるのか?」と述べた。
中国政府の保護の下、組織的な密輸か=韓国専門家
北朝鮮舶が中国など他国の舶と海上で交易する「瀬取り」は、すでに9月に採択された安保理の対北朝鮮制裁決議2375号によって
禁じられている。しかし、北朝鮮の主たる貿易国である中国が、取り締まらない限り、制裁は筒抜けになる。
中国当局は12月20日、米国が安保理の対北朝鮮制裁に違反した北朝鮮舶4隻と外国舶6隻を安保理制裁リストに登録するよう求めたが
「検討する時間が必要」とし、処罰に消極的な姿勢を示した。
一部の韓国専門家らは「民間企業が制裁を押し切って交易を続けるはずはない。密輸は中国政府の保護の下、組織的に行われていると
考えられる」と述べた。
世界の船舶の動きを記録するマリントラフィックによると、北朝鮮の貨物船クムダエが11月2日と11日に、中国遼寧省盤錦市の港に
入出港しているとのデータを示している。北朝鮮専門分析サイトNKnews.orgも、同様の内容を報じている。
中国の「ルール無視」を憂慮した米政府は、12月22日に新たに採択された安保理決議2379号の第9条には「北朝鮮が瀬取り移送を
介して不法に石油などを獲得し、欺瞞的な海上輸送形態で石炭や他の禁止された物品を密輸していることに対して、重大な懸念を
表明している」と記し、加盟国の取り締まり強化を促した。
ティラーソン米国務長官「挑発が続く場合、国防大臣級会議も検討」
共同通信は26日、レックス・ティラーソン米国務長官が北朝鮮による挑発行動が続く場合、国際的圧力を強化するために来月
カナダで開く外交閣僚級会議に続き、国防大臣級会議の開催も検討するとの意向を、河野太郎外相に伝えたと報じた。
軍事的対応を連想させる国防大臣級会議を開くことで、周辺国との対北朝鮮包囲網を徹底構築し、北朝鮮の核・ミサイル開発を
これ以上容認しないとの抑止力になる。
すでにティラーソン氏は19日、北朝鮮の核・ミサイル開発に反対する国際社会の連帯を示すために、来年1月16日にカナダ・
バンクーバーで外交閣僚級会議を開催することを決めた。会議には50年代の朝鮮戦争に参戦した国や、国連軍を援助した国が
対象となる。日本と韓国も参加する予定。