無人機がサウジ送油管攻撃=イラン支援のイエメン勢力か
【カイロ時事】サウジアラビア国営通信によると、サウジの東西を結ぶ石油パイプラインの
2カ所が14日朝、爆発物を積んだ無人機に攻撃され、施設の一部が損壊した。
ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は「サウジだけでなく、世界への原油供給の安全を標的
としたテロ行為だ」と批判した。
サウジと敵対するイランが支援するイエメンのイスラム教シーア派系武装組織フーシ派は、
14日に無人機7機でサウジの重要施設を攻撃したと主張。「(イエメンに軍事介入するサウジが)
侵略を続ければ、さらに激しく攻撃する用意がある」と警告した。
破壊行為を受け損壊したサウジ船籍のタンカー
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで展示された、イランが支援するイエメンのイスラム教シーア派系反政府武装組織フーシ派が使用したとされるドローン(2018年6月19日撮影、資料写真)。
サウジアラビアの砂漠地帯にある石油施設(2008年6月23日撮影、資料写真)
送油管などへの攻撃は「世界への石油供給が標的」、サウジ見解
2019年5月15日 21:28 発信地:リヤド/サウジアラビア AFP
【5月15日 AFP】サウジアラビアは15日、同国の石油タンカー2隻と主要石油パイプラインの
採油施設に対する攻撃について、世界への石油供給の安全を標的としたものだったとの見解を示した。
イランが支援するイエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装組織フーシ派(Huthi)
が14日、サウジの主要石油パイプラインの一つにドローン(小型無人機)攻撃を行い、輸送停止を
余儀なくされた。
フーシ派はドローン攻撃の犯行声明を出し、4年以上にわたるイエメン紛争で暫定政権側を支持した
サウジとその連合軍による「犯罪」への報復だと述べた。
採油施設2か所がドローン攻撃を受けたこのパイプラインは、同国を東西に横断するように
設置されており、1日に原油500万バレルの輸送が可能。ペルシャ湾からホルムズ海峡(Strait of Hormuz)を
経由する輸送経路が封鎖された際には、戦略上重要な代替ルートとなる。
またこれに先立つ12日にも、何者かがサウジ船籍の2隻を含むタンカー4隻に対する破壊行為に
及び、ペルシャ湾(Persian Gulf)周辺の緊張がさらに高まった。アラブ首長国連邦(UAE)の
政府関係者によると、同国とサウジに加え、米、仏、ノルウェーの3か国が、これら4隻に対する
破壊行為の調査に加わる予定だという。
世界最大の原油輸出国であるサウジ政府は、「これら一連のテロおよび破壊行為は、わが国
だけでなく、世界への石油供給の安全と世界経済をも標的としている」という見方を示した。
今回の一連の攻撃は、米国とサウジアラビアに敵対するイランとの間の緊張が高まる中で発生。
ただ米国と同盟関係にあるサウジとUAEは、これらの攻撃の性質については依然詳細を明らかに
していない。