【朝鮮日報社説】北朝鮮問題の解決、中国は今こそやるべきだ
2017/02/27 10:15 朝鮮日報
不特定の多くの人たちが集まる国際空港に、現存する毒ガスの中で最も危険とされるVXを持ちこみ、これを殺人に使うのは北朝鮮・
朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)委員長くらいしか世界に存在しないだろう。世界もこのならず者国家に改めて驚愕(きょうがく)
しているが、一方でこの北朝鮮が今なお国連加盟国という事実は驚くべきことだ。
北朝鮮が国家として延命できている理由はただ一つ。それは「中国の後ろ盾」があるからだ。だとすれば中国は北朝鮮の蛮行をもち
ろん自ら望んだわけではないだろうが、それでもその責任から逃れることはできないだろう。そのため中国は今年の末までという期限
付きながら、北朝鮮からの石炭輸入を全面的に中断した。これは金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害されたことを受けた措置だが、そ
の持つ意味合いは非常に大きい。ちなみに石炭は北朝鮮の輸出全体の40%を占めているため、北朝鮮は間違いなく大きな打撃を受
けるだろう。しかしこれだけで金正恩氏がその考え方を改めることはないはずだ。中国は北朝鮮が使用する年間50万トンの原油を唯
一支援している国だ。中国は丹東の石油基地から全長30キロのパイプラインを使って北朝鮮の新義州にある工場に毎日原油を提供
しており、これは金正恩集団にとって命綱にも等しいものだ。そのため中国がこのパイプラインをストップさせれば、金正恩氏もこれまで
の方針を見直さざるを得ないだろう。
しかし中国は北朝鮮の崩壊までは願わないため、これまで原油支援の中断に自ら言及したことはない。しかし今や状況は変わった。
北朝鮮が中国も賛成した国連安保理の度重なる決議に違反して5回も核実験を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射準備を進
めた結果、今や北朝鮮は中国の国益にも反する立場に立っている。中国が強く反対する米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高
高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備も、元はと言えば北朝鮮が挑発を繰り返すからに外ならない。しかも今後北朝鮮が中国国内
で化学兵器を使ったテロ行為に走る可能性も決して排除できないだろう。
事態がここまで深刻になっているにもかかわらず、中国が北朝鮮向けの原油パイプラインをストップする決定的な行動を取らなけれ
ば、中国は今なお北朝鮮を支援しているとの批判から逃れられないだろう。中国国防部(省に相当)報道官は今月23日「北朝鮮の崩
壊に備えた計画は存在するのか」との質問に「安全保障上の必要に沿って必要な措置を取るだろう」と回答した。ところがこの回答は
後に中国国防部のホームページから削除された。中国としてはいつまでもこのような形で現状から顔を背けるわけにはいかないはず
だ。米国のトランプ大統領は23日「中国がその気にさえなれば、北朝鮮問題は簡単に解決できる」と指摘した。このように中国にはや
るべきことが明確にあり、そしてそれは簡単に実行に移すことができる。中国は今こそそれをやるべき時だ。