日本のEEZ内で中国の新たなブイ 軍事目的でも収集か
2018.10.2 08:59 産経新聞
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、今年に入り、中国が新たに海上ブイを
設置したことが2日、分かった。気象観測のほか、軍事目的で海中のデータを収集している可能性がある。
中国が領有権を主張する尖閣周辺のEEZ内でブイが確認されたのは、平成28年以来。他国のEEZで無断で
海洋調査を行うのは国連海洋法条約に違反しており、日本政府は中国側に抗議するとともに、
設置の目的を分析している。
日中関係筋によると、ブイは尖閣西側で台湾北方のEEZ境界となる日本と中国の中間線付近の日本側に設置された。
黄色で直径、高さとも約10メートル。「中華人民共和国国家海洋局」と記され、アンテナを備えているという。
海上保安庁はブイの設置場所について「日本が主張する中間線の極めて近傍」としている。中国大陸の基準線が
明確ではなく、中間線には一定の幅があるとされるためだが、複数の関係者によると、日本が主張する中間線より
日本側に設置されていることが確認されたという。
中国は、一方的なガス田開発を進める東シナ海などで相次いでブイを設置。28年8月にも、日本のEEZ内で
尖閣北西海域の中間線から約10キロ日本側でブイが確認された。高さ約10メートルで「中国海洋観測浮標」と
記されていたという。
25年には、中間線から中国側へ約300メートルの位置に中国が海上ブイを設置。当時の中国外務省の報道官は
記者会見で「中国の管轄海域内に気象観測用に設置した。何ら非難されるべきものではない」などと主張していた。
中国は新たなブイで艦船の航行に影響する気象観測などを行う一方、海中の音波を測定し、自衛隊の潜水艦を
識別する固有のスクリュー音などの収集・分析を進めている可能性もある。
東シナ海での中国の海洋活動をめぐっては韓国でも危機感が高まっており、現地報道によると、黄海周辺の韓国の
EEZ周辺などでも中国がブイを設置、「軍事情報の収集目的」との指摘がある。