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第72回国連総会サイドイベント「UHC:万人の健康を通じたSDGsの達成」 安倍晋三内閣総理大臣冒頭スピーチ

2017-09-20 11:27:52 | 国連・国際機関・機構

第72回国連総会サイドイベント「UHC:万人の健康を通じたSDGsの達成」
安倍晋三内閣総理大臣冒頭スピーチ

平成29年9月18日   外務省

モハメッド国連副事務総長,
サル・セネガル大統領,

皆様,
 本日は,日本とUHC2030等が共催する「UHC:万人の健康を通じたSDGsの達成」にご出席いただき,心より感謝申し上げます。

 グローバル化の進展は人類に大きな恵みをもたらしていますが,同時に格差が拡大していくのではないかという不安や不満の声も拡大して

います。また,国際社会は,気候変動,テロ・難民問題の他,感染症など,人間の安全保障を脅かす様々な脅威にも直面しています。


 こうした問題にしっかり向き合い,「誰一人取り残さない」社会の実現という2030アジェンダの理念を実現する上で,保健,とりわけ

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ,略してUHCの推進は,その欠くべからざる重要な一部です。


 UHC達成に向けた国際的取組は大きく進展を見せています。アフリカのオーナーシップと国際社会のパートナーシップを掲げた昨年の

TICADVIでは,UHC達成の参考となる道筋や行動を提示する「UHC in Africa」という政策枠組を示しました。本年には様々な取組の

連携を図るプラットフォームである「UHC2030」が発足しました。


 しかし,私たちの歩みは始まったばかりです。医師や看護師,コミュニティー・ヘルスワーカーの拡充,医薬品の供給・管理体制の構築,

そして誰もが負担可能な範囲で基礎的な医療を受けられる財政制度の構築への道のりは険しく,課題は山積しています。


 私たちはこの1年間,国際保健分野に新しいリーダーを迎えました。グテーレス国連事務総長,テドロスWHO事務局長,シュタイナーUNDP

総裁の着任は,今後の取組を質的に飛躍させるまたとない機会であり,彼らの強いリーダーシップに期待します。


 国際保健は,2000年の九州・沖縄サミット以来,世界のリーダーが議論すべきトップアジェンダの一つになりました。日本政府は昨年の

G7伊勢志摩サミットやTICADVIでも国際保健を大きな柱と位置づけ,UHCを推進してきました。今後とも国連でのハイレベルな場や

横浜で開催されるTICAD7などの場を活用し国際保健に関する議論を一層深めたいと考えています。


 一方,UHCを達成するためには,分野横断的な取組が必要です。都市に集中する人口,アジア諸国を中心とする高齢化といった社会の

変革の中で,我々はUHCを追求する必要があります。我が国は,昨年「アジア健康構想」を策定し,高齢化社会とUHCに関する我々の

経験をアジアの多くの国に共有する考えです。


 更に持続的かつ包摂的なUHCのためには多くのリソースも必要です。そのためには,途上国の国内資金,国際機関やドナー国の支援に

加え,民間ビジネスや市民社会のリソースを動員し,共にUHC達成に活用するための枠組みが重要なのではないでしょうか。


 日本は,本年12月に「UHCフォーラム 2017」を世銀やWHO,UNICEF,UHC2030などとともに東京で開催します。

UHCフォーラムでは,本日の議論を基に,UHCを実践的に進めるための方策について議論を深めたいと考えます。


 UHCへの取組は,2030年,そして更にその先を見据えた未来への投資です。本日のイベント及び12月のUHCフォーラムが具体的な

一歩を踏み出す機会になると確信しています。ここにいる各界のリーダーの皆様と東京でお会いするのを楽しみにしています。

 御清聴有り難うございました。

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ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

UHCとは「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味し、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医療サービスを享受することを目指しています。日本政府は2015年9月に発表した「平和と健康のための基本方針」の中でUHCの達成を政策目標や基本方針として掲げていますが、JICAも、他先進国に比べ低コストで世界一の長寿を達成した保健医療の歴史とシステムを有する日本の経験を踏まえ、貧困層を含むすべての人々が基本的なサービスにアクセスできるよう、国際社会とともにUHCの推進に取り組んでいます。

JICAは2014年度に開催された各種会合にて、UHCの推進の重要性を強調してきました。例えば、IMF・世界銀行春季会合(4月)及び年次総会(10月)、第3 回保健システム研究国際シンポジウム(9月)、エボラ感染国保健システム構築のための国際会合(12月)、マヒドン王子賞会合(1月)等の国際会議やサイドイベントが挙げられます。またSDGsのターゲット下に今後設定される予定の指標に関して、WHOの下に結成された「保健指標のモニタリング効率化にかかるエキスパート・グループ」にJICAも参画、検討に貢献しています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC) | 国際協力・ODAについて - JICA


世界共通の目標「持続可能な開発目標(SDGs)」

「誰一人取り残さない-No one will be left behind」

2015年9月、ニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、193の加盟国によって「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」が全会一致で採択されました。

2030アジェンダでは、「誰一人取り残さない-No one will be left behind」を理念として、国際社会が2030年までに貧困を撲滅し、持続可能な社会を実現するための重要な指針として、17の目標(ゴール)が持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)として設定されました。SDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)の後継とされており、MDGsの残された課題、この15年間に顕在化した都市、気候変動、格差などの課題の解決を目指します。

SDGs達成のためには、一人ひとりに焦点を当てることが必要です。これを、貧しい国、中所得国、豊かな国のあらゆる国々で取り組むことが必要です。また、民間企業や市民社会の役割が益々高まり、あらゆるステークホルダーが連携すること(グローバル・パートナーシップ)も求められます。

 

持続可能な開発目標(SDGs)とJICAの取り組み