台湾総統選、圧勝の蔡氏を中国国営メディアが批判「汚い小細工」「まぐれ」
2020年1月12日 16:12 発信地:北京/中国 AFP
再選後、台湾の台北市内で記者会見に臨む民進党の蔡英文総統(中央、2020年1月11日撮影)
【1月12日 AFP】11日の台湾総統選で与党・民主進歩党(DPP)の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統が圧勝
したことを受けて、中国国営新華社(Xinhua)通信は12日、蔡氏が不正行為などの「汚い小細工」を
用いたと批判した。
共産党の一党独裁を強める中国に対して、自らを台湾の自由主義的な価値観の擁護者としてアピール
してきた蔡氏は、過去最多得票で再選を果たした。中国は台湾の孤立化を図ったが、強い反発を
招く形になった。
新華社は英語版の論説で、「これはどう見ても正常な選挙ではない」と述べ、蔡氏と民進党が
「不正行為や抑圧、脅迫などの汚い小細工を用いて得票し、身勝手で強欲、邪悪な本性を完全に
露呈した」と付け加えた。11日には中国語版の論説でも、蔡氏が票の買収を行ったと非難し、
圧勝には「外部の闇の勢力」が一役買っていると主張した。
台湾統一に向けて武力行使も辞さないと公言している中国政府は、台湾を中国の一部とする
「一つの中国」の原則を受け入れない蔡氏を嫌悪している。
中国は過去4年間、経済・軍事・外交面で台湾への圧力を強め、有権者の不安をあおることで、
蔡氏と反対の立場を取る野党の支持を高めようと図ってきた。しかしこうした強硬策が裏目に出て、
蔡氏の民進党は支持を拡大した。
反政府抗議デモが何か月も続き、一部が過激化している香港情勢も追い風になった。
中国は台湾との統一にあたって香港と同じ「一国二制度」を適用する可能性を示唆しており、
台湾の有権者の間で警戒感が高まっている。
共産党機関紙系の環球時報(Global Times)は昨年末、蔡氏と民進党が「いわゆる中国本土からの
脅威をいたずらにあおり」、対立候補で対中融和派の最大野党・国民党(KMT)の韓国瑜
(Han Kuo-yu)氏の本土とのつながりを「中傷した」と報じていた。
また、中国国営メディアは台湾総統選の結果について、台湾と中国本土の長期的なつながりに
おける「例外」と一蹴。新華社は蔡氏の勝利を「まぐれ」と評した。
環球時報は論説で、「中国本土が徐々に力を増す一方、台湾島が徐々に力を弱めているのは
避けられない現実だ」「この現実を認めてそれに従うことが、台湾の平和的発展にふさわしい唯一の
選択肢だ」と述べた。
台北市内の民進党本部前で、蔡英文総統の再選を祝う支持者ら(2020年1月11日撮影)
両岸統一の大勢は一度の選挙で変わらず
2020年01月13日14:59 人民網
台湾地区の指導者と民意代表の両選挙の結果が11日夜、明らかになった。民進党の候補者である
蔡英文氏が台湾地区の指導者に再選された。今回の選挙結果をどう受け止めるべきか。
過去数カ月間を振り返ると、民進党と蔡英文氏は執政資源を頼りに、あらゆる手段を尽して勝利を
追求してきた。政策的な票の買収、党・政・軍・特・憲などの機関を利用した対立候補への攻撃、
サイバー軍を育成して対立候補のイメージを汚し、濡れ衣を着せる等々だ。
この側面から言って、これは卑劣な選挙であり、何の公正性もない。一方、「ブルー陣営」は
内輪もめばかりで外には弱いという悪弊から脱却できなかった。選挙開始当初から「ブルー陣営」は
内争が絶えず、外には後ろ盾がなく、多くの支持者を落胆させた。
米国や西側の反中勢力が選挙に公然と介入したことも見てとれる。特に米国は「台湾を直接支援して
対処能力を強化する」ため、台湾地区関連の一連の法案を打ち出し、民進党が大陸と対抗することを
黙認した。また、民進党は不当な選挙利益を得るために、香港の条例改正騒動において波風を巻き
起こし、鹿を指して馬となし、是非を転倒させ、島内で恐怖を引き起こした。
今回の選挙結果に対して、両岸関係の発展に関心を持っている人々には疑念の声が少なくなく、
両岸関係の平和的発展と平和的統一が遠のくことを憂慮してもいる。こうした疑念と憂慮は、
どちらも理解できる。
だが、両岸関係発展の基本構造が一度の選挙で変わることはない。大陸には完全に「台湾独立」
分離活動を抑え込む能力があり、台湾海峡情勢の全体的安定を保ち、両岸関係の平和的発展を先導し、
推進し、国家の統一を着実に推進する自信がある。
同時に我々は、今回の選挙結果が両岸関係の発展過程における台湾地区の一部民衆の複雑な心理を
一定程度反映していることにも目を向けるべきだ。まず、歴史的経験や社会発展の変遷が異なる
台湾民衆は、思想・感情、価値基準、思考方式などが多くの大陸同胞とは少なからず異なり、国家や
民族の重大な利益に関わる一部の問題においても見解が異なる。
次に、「台湾独立」分離勢力の「脱中国化」が深刻なアイデンティティーの危機をもたらしている。
特に教科書の入念な歪曲が、台湾地区の青少年の国家・民族・文化アイデンティティーの混乱を
直接的に招き、多くの若者のが台湾は台湾、中国は中国で、両岸は無関係と認識するにいたっている。
第3に、大陸の台頭、台湾地区の衰退、両岸の総合的実力の盛衰に、台湾地区の一部民衆は無力感、
焦慮、危機感を抱いている。この事が民進党につけ込む隙を与えた。
この側面から言って、大陸同胞は「両岸は家族」との理念を堅持し、「精衛、海を填む」根気をもって
台湾同胞との心の溝を埋め、苗に降り注ぐ春雨の善意をもって台湾同胞のわだかまりを取り除くべきだ。
我々は「九二共識(92年コンセンサス)」の堅持と「台湾独立」への反対という共通の政治的基礎を
堅持して、台湾同胞と共に両岸関係の平和的発展を促進し、祖国の平和的統一を推進することを
望んでいる。