米、中国軍に制裁 ロシアの軍用機・ミサイル購入で
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2018年09月21日 BBC
米国政府は20日、ロシアから軍用機と地対空ミサイルを購入したとして、中国の人民解放軍に制裁を科すと
発表した。
中国は先に、スホーイ製の戦闘機「SU-35」と、「S-400」型ミサイルを購入。米国はこれが、ウクライナ
問題や米国への内政干渉をめぐる対露制裁の禁止事項に抵触しているとしている。
米国や西洋諸国が2014年に科したこの制裁に、中国は参加していない。
中国軍は9月初め、ロシア軍と大規模な軍事訓練を行っていた。
2014年にロシアがクリミアを併合した後、ロシアと米国の関係は急激に悪化した。
ロシアが2016年の米大統領選やシリア内戦に介入した疑惑が、両国間の緊張をさらに高めた。
制裁の影響を受けるのは?
中国軍の中央軍事委員会装備発展部(EDD)とトップを務める李尚福中将は、ロシアの兵器輸出会社
ロソボロネクスポルトを通じて「大規模な取引」を行ったことで制裁の対象となった。
EDDと李氏はブラックリストに掲載され、米国内の資産が凍結されるほか、米国民はリスト掲載企業・
人物との取引が「一般的には禁止」される。
さらにEDDは輸出許諾を取り消され、米国の金融システムからも除外される。
米政府はこのほか、ロシア軍および情報機関と関わりのある人物と企業あわせて33件をブラックリストに
追加した。
中国制裁の根拠は?
米議会は2017年、米国の敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)を可決し、トランプ政権はこれを
根拠としてロシアやイラン、北朝鮮に経済的・政治的制裁を科している。
ドナルド・トランプ米大統領は20日、大統領令を発令して制裁発動を許可した。
政府高官は記者団に対し、「これらの制裁の究極的な標的はロシアだ」と説明した。
「CAATSAによる制裁は特定の国の軍事力を削ぐことではなく、ロシアの悪行に対して代価を払わせることだ」
米政府は、他の国に対しても同じような措置を取る考えだ。
ロシアの反応は?
モスクワの政治家は、米国による制裁はロシアの戦闘機およびミサイルの販売には全く影響を及ぼさない
だろうと話している。
インターファクス通信はロシアのフランツ・クリンツェビッチ議員が「(兵器の)売買契約は予定通りに
履行されるだろうと確信している」と話したと伝えた。
「中国にとって、これらの軍事設備を持つことはとても重要だ」
ロシアの兵器メーカーにとってアジアは最も重要な海外市場で、2000年以降の武器輸出の7割を担って
いると報じられている。
英チャタムハウスの報告書によると、アジアでの主な顧客はインド、中国、ベトナムだという。