英警察、テロ関連で7人逮捕 実行犯の弟もリビアで摘発
2017.05.25 Thu posted at 10:42 JST CNN
英イングランド・マンチェスター(CNN) 英マンチェスターのコンサート会場で起きた自爆テロ事件で、地元警察は24日
までに容疑者7人を逮捕し、死亡した実行犯が関与していたとされるテロネットワークの関係箇所を捜索した。これとは
別に、リビアでも実行犯の弟が逮捕されたと伝えられている。
米歌手アリアナ・グランデのコンサート会場で22日夜に起きた自爆テロ事件では、子どもを含む少なくとも22人が死亡
した。警察は、英国生まれでマンチェスターの大学に通っていたリビア系のサルマン・アベディ容疑者(22)を実行犯と断
定。同容疑者は、事件の数日前にリビアから英国に戻ったばかりだったとみられている。
マンチェスター警察のトップは、「我々の捜査対象がネットワークであることは明らか」と言明。ラッド内相は英BBCの取
材に対し、情報当局がアベディ容疑者をマークしていたことを明らかにした。
米国防当局者によれば、アベディ容疑者はリビアに3週間滞在し、事件の数日前に英国に戻ったばかりだった。
リビア内務省傘下の武装組織は、アベディ容疑者の20歳の弟が、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」にか
かわった容疑で23日に逮捕されたと発表した。弟はリビアでテロを計画していたとされ、兄のアベディ容疑者からの送
金を受け取ろうとしていたところを逮捕されたという。
英国の警察や外務省は、リビアでの弟の逮捕についてはコメントしていない。
アベディ一家の友人がCNNに語ったところでは、アベディ容疑者と弟は、英国で犯罪集団に殺害された友人のために
復讐しようとしてトラブルに巻き込まれたため、父親が1カ月ほど前にマンチェスターからリビアへ渡航させていた。
父親は息子たちの渡航を阻止しようとパスポートを取り上げていたが、アベディ容疑者はサウジアラビアへ巡礼に行くと
言ってパスポートを取り戻し、サウジではなく英国へ戻っていたという。この友人によると、アベディ容疑者の帰国は事件
の3日前だった。
米国防当局者によると、米英の情報当局などは、アベディ容疑者がISISまたはアルカイダ系組織のメンバーに会ってい
た可能性もあるとみて調べている。
フランスのコロン内相も、アベディ容疑者について「ISISとの関係が証明された」と述べ、同容疑者はシリアへ行ったこと
があると思われると語った。この内容について、ラッド英内相はコメントを避けている。
英国では23日~24日にかけて、マンチェスターなどで男6人と女1人が逮捕された。いずれも身元は発表されていな
い。
事件を受けてラッド内相は兵士3800人の動員を発表し、ほぼ1000人を配備したことを明らかにした。
ロンドン警視庁は、市内の主要拠点で兵士が警戒に当たると発表。バッキンガム宮殿にも兵士が配備され、鉄道の駅
では警官が増員されている。
今回の事件では、コンサートに出かけていた未成年者多数が犠牲になった。負傷した64人のうち、16歳以下の子ども
少なくとも12人が重傷を負って子ども病院で手当てを受けている。生命の危険にさらされている子どももいるという。
英国は25日午前11時、犠牲者をしのんで1分間の黙祷(もくとう)をささげる。