イラン、核科学者の死刑を執行 「米国に情報提供」
2016.08.08 Mon posted at 14:28 CNN
シャハラム・アミリ氏=2010年7月
(CNN) イランで「米国のスパイ」とされた核科学者、シャハラム・アミリ氏の死刑が執行された。
国営イラン通信(IRNA)によると、司法当局の報道官は7日の会見で、米国を「我が国最大の敵である大悪魔」と呼び、
「最高機密の情報を入手できる」立場にあったアミリ氏が、米国と通じたスパイ行為の疑いで反逆罪に問われたと説明した。
同報道官によると、上訴裁判所が慎重に審理したうえで有罪を支持する判断を下した。
反逆罪で有罪となった場合の刑は禁錮10年から死刑までと幅があるが、アミリ氏は全ての下級審で死刑を言い渡されていたという。
アミリ氏は2009年、サウジアラビアへの巡礼中に行方不明となった。
イランは米国が同氏を拉致したと主張したが、米側はこれを否定した。
1年後に同氏を名乗る人物がインターネット上のビデオに登場し、米中央情報局(CIA)から逃れて米バージニア州に潜伏していると
語った。
しかし次のビデオでは、アリゾナ州で自由に暮らしていると主張。それから2週間後の10年7月14日にCNNが伝えたところによれば、
米首都ワシン トンでパキスタン大使館内のイラン利益代表部に助けを求め、イランへ帰国した。
アミリ氏は同年以降、イラン当局に拘束されていた。
同氏は帰国後も米情報当局に拉致されたとの主張を繰り返し、イラン国営プレステレビとのインタビューでは「投獄されるよりもはるか
にひどい心理戦を仕掛けられ、強い圧力を受けた」と訴えた。
これに対して米当局者らは、アミリ氏が自分の意思で渡米し、米国に「有用な情報」を提供したと主張した。
米国務省が昨年公開したヒラリー・クリントン前国務長官の在任時代の電子メールには、これを裏付けるメールが含まれていた。
国務省は7日、同件についてのコメントを拒否している。
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シャハラム・アミリ氏失踪した当時の報道
2010 年3 月 30 日 ABCテレビ
イラン核科学者が米国亡命、CIAの働きかけで
【ワシントン=黒瀬悦成】米ABCテレビは3月30日、昨年6月に謎の失跡を遂げていたイランの核科学者が米中央情報局(CIA)の働きかけで米国に亡命していたと報じた。
当局者は、イランの核開発計画の阻止に向けた「情報戦での劇的な成果だ」と話している。
ABCによると、亡命したのは革命防衛隊と関係の深いテヘランの大学に勤務するシャハラム・アミリ氏。昨年6月、聖地メッカ巡礼のためサウジアラビアに到着後に行方が分からなくなり、イランのモッタキ外相は「米国が誘拐した」と非難していた。
アミリ氏は亡命後、イランの核計画に関して米情報当局が把握している内容の真偽の確認などに協力しているという。
ABCはイラン発の情報として、アミリ氏が亡命前、米英仏が昨年9月に存在を暴露した第2のウラン濃縮施設で勤務していたと報じており、米政府がアミリ氏を通じてこの施設についての情報を入手している可能性もある。