トランプ米大統領、プエルトリコ首都の市長と非難の応酬
2017.10.01 Sun posted at 10:47 JST CNN
トランプ大統領が、ハリケーン被害を受けたプエルトリコの首都サンフアンの市長を批判した
ワシントン(CNN) 大型ハリケーン「マリア」で甚大な被害を受けた米自治領プエルトリコの首都サンフアンのクルーズ市長らと、
トランプ米大統領の対立が深まっている。トランプ氏は30日のツイートで、クルーズ氏の「リーダーとしての能力」や住民の
自助努力が欠けていると批判した。
トランプ氏は同日早朝、週末を過ごしているニュージャージー州のゴルフ施設から書き込んだ一連のツイートで「サンフアン市長は
ほんの数日前まで深い敬意を表していたのに、民主党からトランプに意地悪しろと言われたのだ」と言い放った。
また、プエルトリコの住民は「地域で努力するべきなのに、何もかもしてもらおうとしている」と批判した。
一方で連邦政府から派遣された兵士や緊急要員は「素晴らしい仕事」をしていると称賛した。
さらに、CNNやNBCのような「偽ニュース」が「トランプをやっつけるために素晴らしい緊急要員をわざわざけなしている」と主張した。
プエルトリコの首都サンフアンのクルーズ市長
これに対し、クルーズ氏は米MSNBCテレビとのインタビューで「私は助けを求めただけ。トランプ氏に意地の悪いことを言った
覚えはない」と反論した。
トランプ政権の対応は、テキサス州やフロリダ州を襲ったハリケーンと比べて遅れが目立つと指摘されてきた。2005年に
ブッシュ元大統領がハリケーン「カトリーナ」への対応で批判を浴び、政治的打撃を受けた例と比較する声もある。
28日にはデューク国土安全保障長官代行が記者団とのインタビューで、連邦当局の対応に「満足」していると語り、死者の数が
限られていることは「いいニュースだ」と述べて猛反発を買った。クルーズ氏はCNNとのインタビューで「いいニュースなんて
とんでもない。人々が死んでいるというニュース、生か死かというニュースだ」と怒りをあらわにしていた。
トランプ氏のツイートに対して、ブロードウェイのミュージカル「ハミルトン」の脚本や音楽、主演を務めたプエルトリコ系米国人の
リン・マニュエル・ミランダさんはツイッターで強い反発を示し、トランプ氏は「地獄へ直行」すると書き込んだ。
トランプ氏は3日にプエルトリコと米領バージン諸島の被災地を訪れ、現地で連邦緊急事態管理庁(FEMA)のロング長官や
ロセジョ・プエルトリコ知事と会談することになっている。
民主党議員らからは同氏に対し、「現地へ行ったらまず謝罪するべきだ」「指導力がないとは、何百万人もの米市民が助けを求めて
いる時にゴルフ場にいることをいうのだ」などと非難するツイートが相次いだ。
ハリケーンから1週間も全土停電、物資届かず プエルトリコ
2017.09.28 Thu posted at 13:21 JST CNN
猛烈なハリケーン「マリア」の爪あと
(CNN) 米領プエルトリコが猛烈なハリケーン「マリア」に直撃されてから、27日で1週間がたった。ロセジョ知事によれば、
人口340万人のうち97%は今も停電に見舞われ、半数は水道も使えない状態にある。米本土から救援物資が届いても配送の
手段がなく、島内の全域で食料や水が不足。燃料を使い果たした病院では患者が死亡する事態になっている。
米領プエルトリコ島内の全域で食料や水が不足
住民は食料やガソリンを調達したり、現金を引き出したりするために何時間も行列に並ぶ。スーパーマーケットやガソリンスタンドは
配給制になり、銀行の手持ちの現金は残り少なくなった。
ロセジョ知事は27日、「重点事項は必ずしも電力の復旧ではない。電力供給網は破壊され、再建が必要だ。だが1日や2日で再建
できるものではない」と指摘した。
被害規模があまりに大きいため、必要な場所に支援物資を届けることも難しいと知事は言い、今回の事態を「プエルトリコの自然
災害史上、最大の惨事」と形容した。
支援を待つ住民は窮状に追い込まれつつある。ウトゥアド市に住む女性は、2人の孫のためにクラッカーを分け与え、雨水を飲み
始めたといい、「水も食べ物もない」と訴えた。
今回のハリケーンではプエルトリコで16人、ドミニカで27人、米領バージン諸島で1人が死亡した。
復興に向けて、プエルトリコには米本土から支援物資が届きつつある。しかしトラック運転手やディーゼル燃料が不足し、道路が
寸断されるなど島内のインフラも破壊されたことから配送が難しく、首都サンフアンの港には食糧や水などの救援物資が山積みに
されたまま。ハリケーン以来、職場に戻ったトラック運転手は20%にとどまり、携帯電話がつながらないため連絡を取るのも難しい。
そうした中で27日には、水や食料やおむつなどを積んだ航空機が米フロリダ州からプエルトリコへ向かった。同機は普段、情報収集
活動に使われている。米国防当局者によると、今後数日でさらに2000~3000人の部隊がプエルトリコに派遣され、支援活動に
当たる。
全土で停電が続く中、燃料不足による死者も出ている。住民は発電機を使ってエアコンや医療機器、冷蔵庫などに電力を供給して
いるが、サンフアン市長によれば、市内の病院でディーゼル燃料が底を尽き、集中治療室に入院していた2人が死亡したという。
市内にあるカリブ海最大の子ども病院では、12人の子どもが人工呼吸器を装着されているが、25日にはディーゼル燃料を使い
果たし、一時的に電池で人工呼吸器を稼働させる事態に追い込まれた。
幸い、数時間後に別の病院から燃料の提供を受けることができたが、それも2日ほどしかもたず、同病院は燃料の確保を急いでいる。
ガソリンスタンドには毎日夜明け前から、車や発電機の燃料を求めてプラスチック容器を持った人たちの行列ができる。
車や発電機の燃料を求めてガソリンスタンドで行列をつくる人たち
住民の絶望感が強まる中で、これまでに少なくとも60人が夜間外出禁止令違反で逮捕された。警察によれば、略奪や窃盗事件で
逮捕された人は36人に上っている。