中学生 勉強が得意になる

しばらくは歴史に強くなるをテーマにやります

また時代は変わっていく 武士の時代へ

2023-07-22 21:56:13 | 歴史が得意になる

 後白河法皇 画像お借りしました

鳥獣戯画の話をしました。

そして、明恵上人のことを考えました。実は明恵上人は和歌山の武士の家に生まれました。

幼くして神護寺に入りました。そのときの神護寺は文覚が復興を行っていました。文覚ももとは武士の出です。

善妙寺という尼寺を作りましたが、その女性たちは武士の奥方たちでした。

つまり僧侶の文化のように見えますが、実体は武士の文化と言ってよいのではないかと思います。そういえば西行も西面の武士、つまり宮廷勤めの武士でした。

それはどこか源氏物語絵巻と鳥獣戯画の違いを示しているようにも思います。

宮廷人同士がわずかな心の行き交いをあらわそうとするのに対して、外の世界、いわば俗の要素が加わっていると思われます。

平安時代から鎌倉時代の移行はこうしたところにあらわれている気がしました。

もちろん武士というだけでなく、後白河法皇という朝廷内、いやその頂点の人物にも朝廷の外の文化を見る目があったとも言えます。

遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとやうまれけん、遊ぶ子供の声聞けば、我が身さへこそゆるがるれ「梁塵秘抄」

どうして後白河法皇はこのような歌を集めたのでしょう?


鳥獣戯画 さいごです

2023-07-22 16:32:57 | 歴史が得意になる

 高山寺 犬の置物

鳥獣戯画が意味がよく分からないのはもともとではないか。

という思いがあります。

「わからないものを描くのか。最初のいかにも意味があるように言っているのとは違う。」とお怒りの方もおられるでしょう。

明恵上人は二つのことでよく知られています。

一つは月をめでて、身近に親しんだ。これは高山寺の寺域で毎晩木の間で坐禅をして、月と向かい合っていた。そして、月を詠んだ歌が多く残されます。

あかあかや あかあかあかや あかあかやつき

今のように電気がありません。月の明るい夜は周りまで見えるほど明るい月が輝いていたでしょう。

そしてもう一つは夢の記、つまり夢の記録です。

明恵上人は夢を見る自分もやはり自分であると自覚して、夢を記録していきました。多くは取り留めのないような内容で、ときどき女性や性的な夢を見て、それも記録しました。

私がなにを言いたいか、お分かりになったと思います。つまり、鳥獣戯画はウサギ ジャータカの捨身の説話を下敷きに、月にまつわる説話、物語をふくめて、明恵上人の夢のような月物語を描いているのではないか、ということです。

それは、善妙寺の尼たち(女人の仏道に入ったもの、もとは武士の奥方で承久の乱で未亡人となった方など)への求道となぐさめなども意図されていた気がします。

高山寺に愛らしい犬の彫刻があります。これなども彼女たちの愛玩したものだったかもしれません。

もともと明確な筋書きがない、しかしおそらく鳥獣戯画のなかには明恵がもとめた華厳の教えが含まれていると思っています。・・・でも、これはわたしはよくわかりません。


鳥獣戯画 さらにつづき 

2023-07-22 13:17:33 | 歴史が得意になる

鳥獣戯画から善妙の話になりました。

明恵上人が開いた尼寺の名になった善妙は自分の身を海に投げて、義湘を救いました。

これを読んで、皆さん気づいたと思います。つまり老人のために身を火に投げたウサギと同じ行為です。

これは「捨身」、つまり身を捨てて人に尽くす、仏教でよく説かれますが、明恵上人が自分の耳を切ったのもこれと同じことのようです。

鳥獣戯画はこのウサギの捨身を下地にしているかと思われます。

それは鳥獣戯画の場面で、善妙の写真と同じ構図でウサギが川?に飛び込もうとしています。

私たちからするととても悲惨な話のようですが、鳥獣戯画は楽しそうにしています。

もしかするとウサギ=善妙=善妙寺の尼のために描かれた絵巻なのではないでしょうか?

善妙さんは竜になって義湘を助けた後、石になるそうです。

これを善妙寺の尼さんが聞いたらがっかりしそうです。善妙=ウサギが月の世界でサルやキツネ、カエルたちと楽しく過ごすというのであれば、どこか救われる気がします。

でも、これだけでは鳥獣戯画は説き尽くすことはできません。

もう一歩の考察が必要です。もう少し頑張ります。


鳥獣戯画 つづき

2023-07-22 13:00:30 | 歴史が得意になる

 善妙身を投げる

 

鳥獣戯画 考えてみました。

この絵巻に明恵上人がかかわる、というのはどういうことでしょう?

明恵上人は名利を求めず、ひたすら京都の栂尾(とがのお)の山林で坐禅をしていた。あまりにおもいつめて自分で右耳を切ってしまいました。

反面、女性が仏道に入ることに協力して、高山寺の近くに善妙寺という尼寺を開きました。

善妙とは新羅の高僧義湘が中国へ修行へ行ったときに出会った美しい女性の名前です。

善妙は義湘の美しい姿に心を奪われますが、義湘は仏道にまい進して迷うことなく帰国の途につきます。

善妙は義湘の船が遠ざかるのを見て、海崖から身を投げてしまいます。

義湘の船は新羅(韓国)へ帰る途中、嵐に見舞われます。すると、善妙が竜神となって義湘の船を助けて無事に帰国することが出来ました。

これと鳥獣戯画はどんな関係?

続きは次回。


鳥獣戯画って何?

2023-07-22 12:08:56 | 歴史が得意になる

絵巻の話が出たので、何かお話ししようと思いました。

鳥獣戯画は一番有名な絵巻なのに、教科書に載っていません。

なぜか?

おそらく何を表しているか、よくわかっていない、というのが理由かもしれません。

ウサギやサルが遊んでいて、楽しそうだ~

と見ていることが多いですね。

でも、いまからおそらく800年ほど前に絵を描くというのは特別なことでした。

まず、絵のうまさ。

絵巻の最上の作品とされる信貴山縁起絵巻、伴大納言絵詞とくらべても、墨の線だけで表現する技量は鳥獣戯画は劣らない。つまり、当時の最高の絵師の手になる作品です。

では、動物たちは何をしているのか?

おそらく、何か下地になるお話があって、それをもとにしているために内容がわからないと考えます。

ウサギ、サル、キツネというと、ウサギが身を犠牲にして老人に化けた仏に尽くすジャータカ(インド伝来の説話)があります。

老いた旅人は3匹の動物の真心を試すために近づきます。サルとキツネはつごうよく食料を調達して彼にほどこします。ウサギはそれが出来ずに、自分を火の中に投じて、自分を食べるように言い残します。

仏はそれをあわれんで、中国の説話では月に置いていつもウサギが見られるようにしました。

月というと中国では嫦娥という弓の名人の奥さんが、不老不死の薬を盗んだために月にガマガエルの姿で閉じ込められます。

つまり、彼らがいるのは月の世界で説話の登場人物(動物?)ではないかと考えられます。近頃はこのあたりまで、理解されるようになりました。

でも、彼らはいったい何をやっているのか?ということはまだわかっていません。

この絵はじつはこの絵が伝わった高山寺(京都)の開山、明恵上人にまつわるものだという説が近年示されています。

どういうことでしょう? 続きは次回。