観てきました.
感じたことを少し.
演技を語る鑑賞眼はないので一言だけ, キムタク・・・なかなかやるなっ.
プロットは極めてシンプルで既知であったことから、物語の展開に意外感はありません.
願わくはラスト間際のシーンで戻ってきたヨメさんの加世を煮物の味で見破る場面はもっとタメた演出でもよかったような気がします.なにしろこの話の泣かせどころですから.
実はこの物語の原作者をテッキリ山本周五郎と思い込んでいました. ”時代物・けなげな嫁・失明 ”という三題が当てはまる物語を昔々読んだことがあったからです. オボロな記憶ですが,日本婦道記という連作短篇集に納まっていたと思います.
藤沢周平作品には 「たそがれ清兵衛」 公開あたりからにわかに光が当たり始めたような気がします. NHKの”ラジオ深夜便”でも松平アナによる作品の朗読が長いあいだ続いています.
多くは読んでいないのですが,藤沢作品はラストまで読み進んでもハッピーエンドとはならないことが多いです.重くどうにもならない現実の中でもがく人々を描く作品が目立ち,エンターティメント時代物としてのカタルシスはほとんど望むことができません. この映画のラストでホッとさせて泣かせる展開に山本作品と間違えたのは自分としてはむべなるかなと思っています.
新宿の映画館で本作を見た晩,偶然テレビで 「たそがれ清兵衛」 を放映していました. 既観でしたが比較のため再度観てみました. 重箱隅の話で恐縮ですが,加世の着物姿がほとんど皺もなく整った着こなしでいかにも不自然.アイドル出演の映画とはいえ内容からしてもう少しリアリティがあってもよい.
清兵衛は五十石,三村新之丞は三十石ですが三十石の方がこぎれいに生活しているのは同じ演出者の作品としては一貫性が無いように思えました.
あと,「~でがんす.」 という山形の古い言葉づかいになんともいえない優しさを感じました. 「スウィングガールズ」もオリジナル方言を含むとはいえ同じ地域の方言だったと思います. この地方の言葉が好きになりました.