孤高・残雪に舞う、、後編 ≪4≫

2006年5月01日 入山3日目、、午後。

トン汁で身体が温まり、身支度をしつつ山地図で行程の再確認をしたいのだが・・。
ミニシャトルバスの中で≪錫杖岳≫を確認しようとしたとき、
テントに置いてきたことに気づき(大失敗をしました・・)。
冬季小屋に貼られた山地図で、、西穂高・独標までは1時間30分ほど・・、
西穂高山荘の標高は 2,385m 西穂高・独標の標高は 2,701m。
山小屋の外に出てアイゼンを装着する。
稜線上の西穂高・独標を目指ざし一歩を踏み出す。
小屋の前から稜線に沿ってトレースが付いていて忠実に辿る。
右手にピッケルを持ち、雪面にアイゼンが心地よく、そしてガッチリ食い込み足取りは確りしている。
やがて、一つ目のピーク「丸山」に到着、ガスが切れていれば360度の大パノラマが展開するのだが・・・、
行く手前方の稜線には、飛騨側からの強風にガスが流れ去っては湧き上る。
西穂高稜線
雪に覆われた稜線の向こう側に前穂高・明神岳の峰が覗く。
西穂高稜線
稜線上にある、西穂高・独標はガスに包まれて一向に姿を現さない。
西穂高稜線
さらに高度を稼ぐと、右手前方にはガスが切れ前穂高・明神岳の稜線が垣間見られる。
西穂高稜線
高度を上げるに従い、飛騨側から吹き上がる風の強さが強まり・・、
時には身体を持っていかれそうになり、飛騨側に背を向けて風をやり過ごす。
西穂高稜線
稜線上にある、西穂高・独標はガスに包まれたまま一向に姿を現わす気配がなく、
飛騨側からの強風が身体の熱を奪い去り、体温が少しづつ低下し始める。
足元の這い松も風に吹き飛ばされそうに揺れる。(体感温度は軽く 0℃を切る・・)
何度かこの稜線を歩いた時には「西穂高・独標」の頂きに足跡を残したものだが・・、
山の自然は気まぐれで 独標・陽光輝く稜線 のように穏やかに迎えてくれる事ともあれば・・、
今は、ちっぽけな独りの人間を拒絶しようとする時もある。
独標に辿り着いても、ガスが切れなければ展望は望めそうになく・・・、
小屋に引き返す決心をして、到達点にザックとピッケル置いて写真に納める。
西穂高稜線
下りの道では、何度か軟らかくなりつつある雪を踏み抜き、
片足が全て雪の中に埋もれる・・その足を雪から引き上げるのに一苦労する。

引き返す途中で、足元を撮れば・・・、
ピッケルバンド代わりのナイロンシュリンゲ(細引き紐)が強風に揺れてピントがずれる。
西穂高稜線
西穂高山荘に戻り、、小屋の前で一息つく。
年代物の、ピッケル・アイゼン・重登山靴、、さらにはスパッツの面々、良く働いてくれました。。
西穂高山荘前にて
装備を解いで、冬季小屋でゆったりとした時間を過ごしていると・・、
西穂山荘・冬季小屋
『あんたは、、エライ!!』・・・「ありがとうございます。。」
えぇ!?!? 西穂山荘のスタッフさんにですか??

スタッフと岳沢小屋の話になり・・、
スタッフ:「連休明けには、岳沢小屋を掘り起こしに出かけなけれはなりません・・」と、
私:「下山ルートを、上高地側に取ろうと思っているのですが・・」と問いかけると、
スタッフ:「上高地側へのルートは、トレース跡が中尾根までしか付いていません・・」
スタッフ:「それも、小屋の作業用に付けられたトレースで登山者のものではありませよ」
うぅ~~どうしょう・・・。
天気が崩れるようで、明日の午前中までは雨が残りそうとの予報もあり・・、
明日、天気を見極めてから決めることにして・・

宿泊者は、単独行が5名に2人パーティーが2組の9名で、
今夜の部屋は6人部屋に4人で、ゆったりとして贅沢この上ないものです。
西穂山荘・上高地1
消灯時間が過ぎ、寝入った夜半に・・・天気が崩れ、、雷光と落雷の大音響で目が覚める・・・
至近距離に落雷があったようで、同室の皆もびっくりして目覚めたようだ。

明朝、、一面ガスに閉ざされ、悩みに悩む朝を迎えることになろうとは・・・。
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