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ドック対頑固オヤジシリーズ。今回のゲストは七曲署管内の派出所勤務、袴田伝吉さんです。
深夜サラ金の金庫が襲われ現金が奪われる事件が続いた。
覆面車で張り込みをしていたドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)は、警ら中の警官に駐車違反だと注意を受ける。
身分を明かし職務中だと弁解すると、車じゃなくて外で張り込めと嫌味を言われる。
「頑固一徹を壁画に描いたような」ベテランの袴田(井上昭文)だった。
言われたとおりに歩いて付近をパトロールしていたドックは、ビルの非常階段に怪しい人影をみつけて追跡。
袴田も合流してその不審な男を追いつめ格闘になるが、暴走車にはねられそうになった袴田をドックが突き飛ばした隙に、
男は逃げてしまう。
そのとき近くのサラ金が襲われ、ガードマンが殺されていたことが判明。
亡くなったのは、袴田の元同僚だった。
「お前が邪魔をしなければホシを逃がさなかった」と、助けられた恩など微塵も感じていない袴田。
若い刑事を目の敵にしているのかと思いきや、
「ドッグ!・・・そういうあだ名なんだろ?」と、どこで仕入れてきたのか最初からあだ名で呼ぶ気安さもあり。
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ドックはドックで、「ドッグは犬、僕はドクターのドック」と身振りつきで説明。
その後も毎度毎度訂正して、なんだかんだ言いながら名コンビになる予感がします。
とび職の山上が容疑者として浮かび、袴田も間違いないと証言するが、証拠不足で逮捕には踏み切れない。
袴田は、近所を犬の散歩でよく通る野口という老人が、事件を目撃しているに違いないとふむが証言は得られない。
ドックも野口に食らいつくものの、なぜか頑なに拒まれる。
しかし、あきらめて山上の婚約者の線から攻めようとした矢先、野口老人と偶然再会。
さんざん自分にまとわりついていたドックから「もう用事はないよ」と言われ一抹の寂しさを見せる野口のじいさん。
袴田が倒れたことを聞かされ、心配なくせに見舞いに行く義理はないとうそぶく。
「あんたはこんなところでなにやってるんだい」
「関係ないだろ」
ドックに言われて顔をゆがめ、写真を見せろという。
野口のじいさんが、なぜ証言を拒みつづけ、にもかかわらずこのとき証言する気になったのか。
これは想像ですが、人とのかかわりを避けて自分の殻にこもって飼い犬とだけ心を通わせてきた老人にとって、
同年輩の袴田が、若い刑事を連れて捜査をしているのがどこか羨ましく、それゆえに知らんぷりをしてしまったんじゃないか。
ドックが最初に「教えてほしいことがあるんです」といったとき、すこし嬉しそうに見えました。
しつこく粘るドックにうんざりしながらも、用はないと言われると寂しい。
じいさんとバッタリ再会したドックが、真っ先にじいさんの飼い犬をなでていて(犬は画面に映っていない)、
私的にツボだったんですが、じいさんもちょっと嬉しかったんじゃないかな。
「関係ないだろ」と突き放すことで、じいさんを揺さぶれると計算していたのかどうかはわかりませんが、
ドックはついに事件現場近くで山上を見たという証言を得ます。
「ありがとう、じいさん!」
感謝されて照れたような嬉しそうな表情をごまかすように犬を促してリアカーを引いていく後ろ姿がよかったです。
ゴリさん(竜雷太)とドックが職場に現れたとたん、逃げ出す山上。
街中を追跡中、袴田も合流して抜け道を伝授。
ドックと袴田が神社に追いつめ格闘の末、山上を逮捕。
「手が離せない!」と手錠を打つのを袴田に頼むドック。
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この事件を最後に引退を決意した袴田。
自身の体力への不安、同居を申し出る娘の想い、いろんな要素が重なっての決断でしょうが、
ドックと意地を張りながら、ときにケンカし、ときに協力して、最後にはへとへとになるまで
いっしょに走って格闘して死んだ同僚の仇をとることができた。
それが長い警官人生の有終の美を飾って、気持ちよく辞める決断ができたんだと思います。
「ありがとうよ、ドッグ」
最後まで意地でも点々をつける袴田に対し、最後の一回だけは訂正せずに受け入れるドック。
まっすぐ交わす視線にお互いへのリスペクトと思慕が感じられ、静かで温かい名シーンです。