太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#417 ボスの誕生日

2018年07月22日 | 太陽にほえろ!


46年前の7月21日、「太陽にほえろ!」の放送が始まりました。
その記念日に観たのが1980年8月放送の「ボスの誕生日」。
ナーコもふくめ、一係総出動のエピソードです。


ボス(石原裕次郎)の誕生日に一係みんなでプレゼントを贈ろうと、ナーコ(友直子)がお金を集めています。
全員割り勘ではなくて、先輩たちが多く出すスタイルです。
「すこっち(少し)だけど」とダジャレを添えて差し出すスコッチ(沖雅也)。
和やかな空気は、このあと起こる事件をまったく予測させません。

プレゼントを買いに行ったナーコが夜中になっても帰宅しないと、両親からの電話で知る一係。
ふだんスーツをビシッと着こなしているボスが、ネクタイを上着のポケットにねじ込んで署に戻ってくる姿が緊張感を一気に高めます。
帰宅後呼び出され、駆けつける面々。
スニーカー(山下真司)の部屋で、手帳や財布、手錠などが棚の上にきれいに並べてあったのが意外でした。

やがて男の声で、ナーコを返してほしければ3000万円用意しろという脅迫電話が一係に。
一係の全員に恨みのあるような口ぶりながら、誰も心当たりがない。
それぞれに過去の事件を回想する場面で、モノクロで懐かしい初期のころの写真が挿入される演出がすばらしい。

朝になり、身代金の運び役に指名されたドック(神田正輝)とロッキー(木之元亮)は、炎天下3時間以上歩かされてヘトヘトです。
しかし、ずっとロッキーに鞄を持たせているドックの方がぼやきが多いのはどういうことでしょう。

珍しく現場に出たボスを含めた聞き込みの成果で、沢木(堀内正美)という若い男が浮かび、
彼が一方的に好意を寄せていた女性に贈るつもりで作ったプレゼントを、犯人追跡中のスニーカーがぶつかって壊してしまったのが
今回の事件の原因だとわかる。

まだなんにもなかったお台場海浜公園にスニーカーを呼び出した沢木。
しかし、代わりに姿を現したのはボスでした。


物陰から見守る仲間たち。



ドック、やけにカッコいいんじゃないかい?

沢木に挑発され飛び出したスニーカー。
ボスは、そんなに五代が憎いなら殺せと、ゴリさん(竜雷太)に拳銃を渡すよう指示する。
一同に緊張感が走りますが、ひときわ緊張しひそかに銃を構えようとするのがドック。

黙って沢木の前に歩み寄り、弁解も謝罪も一切せずじっと銃口に身をさらすスニーカー。

しかし、けっきょく沢木は引金を引けませんでした。

張りつめた空気をほぐすように、スコッチがスニーカーのお腹を叩く。
一係には、先輩が後輩の胸やお腹を叩いて愛情を示す伝統があるんでしょうか。わりと代々見かける光景です。


「いくらボスの指示だからって拳銃を渡すなんて信じらんない。また他に移りたくなった」と非難するドックに、
「止めやしないよ」と笑って空のシリンダーを見せるゴリさん。

そう、入って間もないドック以外は、みんなゴリさんが拳銃に弾を込めていないことを知っていたのです。
それでもあの緊迫した空気。
ゴリさんが今日に限って弾を込めてた…なんてことがないとは言い切れませんからね。

沢木にずたずたに切り裂かれながらも、ナーコが大切に抱えつづけたボスへのプレゼント。
形は失われてもみんなからの気持ちをボスはしっかり受け止めてくれたし、
そのボスからの感謝の言葉が、みんなにとっての贈りものになりました。