翌日から決められたように朝夕2回会社に電話をした。
半分くらいは担当次課長は不在で「電話があったことをお伝えください」で終わり。
つながった時は2月前半と同様に2~3質問に答えるだけで「ありがとう」と言われ終わり。
一度次長から「君の作ったプログラムにバグがあったよ」と言われたが
「ああそうですか」で済ませた。
退職が決まってからは新しい職場のほうもサボりがちになってそちらのほうを先に辞めた。
そもそも退職で会社に混乱が起きた根本原因は
そこが「こっちのせいにするな」などと言ってきたからだ。
そんなふざけたことを言う処など後にも先にも聞いたことがない。
もともとあまり気の進まない仕事内容と仕事形態ではあったのだが
それでも会社を辞めることが決まるまでは律義に通い続けていた。
そして総務課長から電話がかかって来て
「おどろいているんですけど」と言われ2月の最終日に退職手続きにいくことになった。
総務の1年先輩の女性から一連の説明を聞きながら手続きを済ませ
社員証やバッチや通勤定期を返し、年金手帳や雇用保険証などを受け取り
最後に労働組合はなかったが親睦会から3万円が出ていると言われそれを受け取った。
それとは別にSE会というのもあり会費を取られていたが
そちらからは本来出るはずの金は出なかった。
総務の部屋を出て自分のデスクに戻ると前回より人は多く皆に挨拶をして回った。
好意的に「頑張れ」と言ってくれる人は多かったが
部長クラスになるとそっけない対応をされた。
本来なら辞める時や転勤する時は直属の課長と各部署を挨拶回りするのが習わしだったが
私の場合はそれも無し。
件の三菱重工系のユーザーを担当していた次課長は外出していていなかった。
営業部長は相変わらず私を無視している。
私はこれ見よがしに部長の近くにいる人たちに挨拶に行った。
件のユーザーの担当していた営業の1年先輩に「ご迷惑をおかけしました」というと
「いや俺たちは大変じゃないよ、大変なのはSEの人たち(次課長)だよ」と言われた。
同じ課にいた同期から「どう、忙しい?」と聞かれたが
「忙しいことにしておかなければ」と答え(本当はもう辞めているのだが)
総務から渡された書類を見せて「嬉しいな、やっと辞められたよ」と伝えた。
帰るころになって直属の課長が戻って来たので
挨拶の後「だから初めにこうなることは分かっていたから辞めると言ったのです」
というと「そうだな」と答えた。
翌朝私の他汚職で最も大変な目に遭い最後に会えなかった次長に電話をして
一通りの挨拶を交わすと「もう電話しなくていいよ」と言われた。
前日で既に退職しているのだから電話をする必要はないのだが
私のほうも色んな意味で感覚が麻痺していた。