鏡を見て自分はヘンな顔をしていると思った。
まだ幼稚園に入る前だった。
子供の頃は初めて見る顔は
美形か美醜を超えた個性的な顔でない限りみなヘンな顔つまり不細工に見えた。
見慣れてくればそうではなくなるのだが
それまではヘンな顔に感じられた。
テレビに出てくる人は俳優でも歌手でもアナウンサーでも
初めて見てもそんなことはないので
そのあたりが美形のボーダーラインだった。
その傾向は19歳ごろまで続いた。
幼稚園、小学校、中学、高校
進学するたびに周りはみなみなヘンな顔ばかりに見えた。
小学校に入学して5月か6月の時だった。
同じクラスの子は見慣れたのでヘンな顔だと思わないようになったが
他のクラスの子はまだ変な顔だった。
その頃に見た夢の話だが
クラスメイトの1人が家に友達を4~5人連れて来た。
同じ小学校の別のクラスの子供たちだった。
1年2組の子供にはヘンな顔した子が多いからなぁと心の中で思った。
実際にみなヘンな顔をしているのだが
その中に1人目が3つある子がいた。
差別かもしれないが
いくら変な顔でもこれは度が過ぎている。
「嫌だこんな子、家に入れたくない」
と父に言うと、父は
「ダメだ。そんなこと言わないで入れで上げなさい」と言った。
夢はそこまでで終わった。