東医宝鑑 外形篇(外科)一
二、面(五)
三、眼
二、眼が肝の穴になる場合
肝の穴は眼である。
肝が血を守るので、熱があると赤腫が出来、治っても目がくらむ。これには地黄粥を食べると良く寝られ、すぐ治る。
地黄粥 寝て起きたとき、目が赤く腫れ、少したつと白くなり、また少したつとなくなる。これは肝病でなく血熱の
症である。横になると血が肝に入るが、血熱もまた肝に入るので寝て起きると目が赤く、少し立つと血はまた
四肢にちらばるもので、地黄粥食べて肝と血を涼しませる。
処方 生地黄を多少にかかわらず、米半升につけて煮たあと、三回さらし、磁器に水一合入れて粥をつくって食べる。
三、内傷の場合
内傷は肝の病である。内傷という症は瞳のなかの混暗した症で、傍目には何とこないように見え、ただ瞳のなかが青白いものがあるものもあり、ないものもある。
内傷は、先に片目を病み、次に両眼とも病む症は白帯が黒晴内から瞳をかぶせるためにある。大体黒晴を通す脈は目系に足蕨陰・足太陽・手小陰三経に属する。三経が弱いと邪が目系から黒晴に入って瞖となる。
内傷は痛くもなく、涙も流れない、よく見ると、うすい霧のようなものが目にかかる。
色慾で腎精が弱まった症は益陰腎気丸を使い、肝血が弱い症には養肝丸・生熟地黄丸を使い、肝と腎がともに弱い症は駐景元・加減駐景元・明目壮水丸を使う。
血が少なく、神の労苦、腎の弱いところには滋陰地黄丸・滋腎明目湯を使い、内傷には補肝散・墜瞖丸・羊肝元・本事法羊肝元・補腎丸・杷苓丸・五退散・蜜豪花散・沖和養胃散・当帰湯・還晴湯・還晴丸・撜雲退瞖還晴丸などを使う。
益陰腎気丸
処方 熟地黄二両、生乾地黄酒焙・山茱萸各一両、五味子・山薬牡丹皮・柴胡・当帰・尾酒洗各五銭、茯神・沢瀉
各二銭半を作末して蜜で梧子大に丸め、朱砂で衣をして、空腹時塩湯で五〇~七〇丸を呑み下す。
養肝丸 肝精の不足で眼がくらく、目やにや涙が出、婦人の血虚による眼疾を治す。
処方 当帰・川芎・白芍薬・熟地黄各一両、防風・猪実子炒・車前子酒炒・氋腎湯侵去各五銭、を粉末にして蜜で
梧子大に丸め、白湯で空腹時七〇丸呑み下す。
生熟地黄丸 血虚眼昏を治す。
処方 生乾地黄・熟地黄・玄蔘・石膏各一両を五指大に丸め、空腹時茶漬けで五〇=七〇丸呑み下す。
駐景元 肝腎ともに弱く、黒花が出来、くらくまた瞖障が出来るとき使う。
処方 兎絲子酒製五両、車前子炒・熟地黄各三両を蜜で梧子大に丸め、空腹時五〇~七〇丸呑み下す。
加減駐景元 肝腎ともに弱く、黒花が出来、くらくまた瞖障が出来るとき使う。
処方 兎絲子八両、枸杷子・五味子・車前子・猪実子・川椒炒各一両、熟地黄・当帰身各五銭を蜜で梧子大に丸
め、空腹時に温酒、または塩湯で五〇~七〇丸呑み下す。
明目壮水丸 肝腎が不足し眼目が昏暗、つねに黒花が見え、冷涙が出るとき使う。
処方 黄柏と知母の汁をしぼって乳とまぜ、さらし乾かしたもの各二両半、熟地黄・生乾地黄酒洗い・天門冬・
麦門冬・山茱萸酒蒸・甘菊各二両、枸杷子酒洗一両六銭、牛膝酒洗一両三銭、人参・当帰酒洗・五味子・
兎絲子・白茯神・山薬・柏子仁炒・沢寫・牡丹皮酒洗各一両、白豆蔲三銭を蜜で梧子大に丸め、空腹時に
塩湯で一〇〇丸呑み下す。
滋陰地黄丸 貧血・神労・腎弱・昏目・瞳子散大などの症を治す。
処方 熟地黄一両、柴胡八銭、生乾地黄酒焙七銭半、当帰身酒洗・黄苓各五銭、天門冬・地骨皮・五味子・
黄連各三銭、人参・枳殻・甘草各二銭を蜜で緑豆大に丸目、毎一〇〇丸を茶漬けで呑み下す。
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