2019.1.27(日)
映画『ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)』
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
いつだって、バンドの物語は、初期の頃の躍動感を追体験させてくれる。
目指すものが似通っている若者たちが出会って、ただただ前を見て上昇していく思いを共有する・・・。それは誰もが経験できることではない。
だから、バンドの物語のプロローグは必ず眩しいくらいに輝いて見える。
若き日のフレディが、ブライアン・メイが、ロジャー・テイラーが、ジョン・ディーコンが、狂ったように飛んだり跳ねたりしながら音作りをしているさまは、神々しいくらいだ。
(クイーンのメンバーはそれぞれが全員、作曲も作詞もするから、フレディ・マーキュリーの伝記映画だからといって、彼だけにそのあたりで焦点が当たりすぎているのに最初はちょっと戸惑ったけれど、ま、そこはいいか)
ライブの場面、制作中のスタジオの場面、どれをとっても心が躍る。
レコード会社の方針と対立したって、「家族」であるメンバーと信頼できるスタッフがいれば、自信が膨らむだけで絶望なんてクソ食らえ!ってもんだ。
でもその道には必ず影が落とされる。
クイーンももちろん例外ではなく、そこから一気にフレディの心のストーリーが始まる。
父親との確執と和解、セクシュアリティの問題、家庭を得たメンバーとのすきま。
そのあたりは、「よくあるテーマ」ともいえるし、とくに際立った演出があるわけでもない。でも、フレディの抱える不安ややりきれなさや自己制御できない自分への戸惑いはストレートに伝わってくる。
そして、ラストのLIVE AID(1985年7月13日)の再現。
WoodstockとLOVE AID。まったく異なる年齢で通過したけれど、1985年、バタバタした日常を離れた深夜、テレビに向かったことは鮮明な記憶。
いろいろ切り換えなくても単純にライブパフォーマンスだけ見せてくれればいいのに、とかモヤモヤを感じながらも、次から次から心躍るバンドやアーティストが登場したこと。
でもそんな記憶なんて関係なく、目の前のラミ・マレックらが演ずる「クイーン」が、その楽曲が、なぜ?と思わせるほどに心を揺さぶり、心地よい高揚感をもたらしてくれたこと、それがこの映画のすべてだ。
クイーンのアルバムは70年代のものしか聴いていないし、それも長いこと聴いてこなかったけれど、映画から届くすべての曲が、頭のどこかを刺激する。みんな知ってるよって。
ストレートで真摯な言葉、強いメロディー・・・。
(「ボヘミアン・ラプソディ」の「ママ~♪」は、いつ聴いても強烈だ)
エンディングで流れた「The Show Must Go On」まで、当たり前だけど、クイーンそのものでした。
先週の半ば、仕事の打ち合わせを終えて、母の施設を訪れるまでの時間に、駅前のシネコンで観た『ボヘミアン・ラプソディ』。
エンディングロールの最後まで、10名ほどの観客がまるで息をこらすかのように微動だにせずにいたのが印象的だった。
(どうでもいいことですけど、当時クイーンの熱狂的なファンではなかったワタシですが、メンバーの中ではブライアン・メイにひそかに憧れていました。映画では「若き日」のブライアン・メイに出会えたようで、ちょっとうれしかったな)(笑)