2023.10.28(土)
誰でも、不本意に長い時間を死刑囚として拘束されていたら、まともではいられないだろう。
どんなに想像を巡らせても、その絶望的な思いを自分の中で再現することはできない。それほどの長い時間だ。
時間をかけて流れてくる記事やニュースで得た情報だけだけれど、それでも理不尽な状況に置かれた本人と家族の人生を捻じ曲げたのはどんな力だ、と深いところで湧き上がる重い戸惑いを自分の中でどう処理したらいいだろう。
静岡地裁が再審開始と袴田さんの死刑および拘置の執行停止を決定してから、再審開始が確定するまでに10年近い年月が流れ、袴田さんは87歳、支え続け闘いの日々を送っている姉の秀子さんは90歳を超えた。
審理は来春まで続き、判決はそのあと数か月、という。
「真の自由を」と願う秀子さんの思いが叶い、「無罪」がきちんとお二人の耳に届くことを願うばかりだが、ここまで引き延ばされた憤りを表現できる手段がない。
『巌よりー袴田さん 獄中からの手紙』
https://www.asahi.com/special/hakamadaletters/?oai=ASRBW7GCSRBWUTIL001&ref=yahoo
これほど多くの手紙を獄中から書き続けていたことに驚くとともに、その向こうに垣間見れる絶望に、言葉が出ない。
初期の捜査が万全でなかったこと、取り調べが杜撰であったこと、そこから始まる長い残酷な時間を袴田さんが取り戻すことはできないのだと、それをごまかすことはできない。
暖かい空気のもとで、今日も運動会が行われていた。
その応援の声を遠くに聴きながら、思い出すのはいつも同じ風景。
小学生のころ意外に足が速かった私は、最後の運動会の徒競走で、50メートルの記録がいちばん速い男女混合の組に振り分けられた。
あ~あ、このメンバーじゃ順位は期待できない、と諦めてスタートラインに立ったが、人生、何が起こるかわからない・・・。
スタートしてすぐに私の足と隣にいた男子の足が絡んで、私はかろうじてバランスを保ったけれど、向こうは転倒して、あとでわかったけれど何人かがそれに巻き込まれたらしい。
何も知らない私は、前に誰もいないコースを思いっきり走って、1着でゴールイン!
小学校の6年間で、1着になれたのはそのときだけだ。
先頭を走ったときに見た風景は、何十年たった今では「思い出補正」されて、スポーツアニメのラストシーンみたいに輝いて見える。
あのときの気持ちよさ、私の中では年々大きくなって、笑えてしまうよ。
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