2022.02.20
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
2月第4週・・・、まだ冬。
冬で手が荒れるし、コロナの影響で、「ビニール手袋、使うことが増えましたよね」。
例えば、ボックスから取り出そうとして、「2枚とか3枚とか出てきちゃって、キーッとなることありませんか。急いでいるときとか」。
でもビニール手袋とかポリ袋とか便利なものを使えるだけでありがたいのに、「なに贅沢言ってんだ、オレは」ってなるそうだ。
「そう思いつつ、今日も3枚出てきて、キーっとなってしまった、小さな人間です」だと。
そして、今日の特集は、【スティーブ・ハウで漫遊記】。
イギリスを代表するプログレッシブバンドYESのギタリスト! 「60年代から現在まで、つねに一線で活躍してきた、すごいミュージシャンです」
そんなスティーブ・ハウさんが絡んだナンバーで漫遊記。
オンエア曲
01 魔法のコトバ(スピッツ)
02 Hallucinations(Tomorrow)
03 Tired Towers(Bodast)
04 Roundabout(YES)
05 Don't Cry(ASIA)
06 See Me Through(Steve Howe)
07 深呼吸(SUPER BEAVER)
08 醒めない(スピッツ)
漫遊前の一曲は、スピッツの「魔法のコトバ」(2006年、31thシングル/2007年、12thアルバム『さざなみCD』)。
草野くんが受験シーズンの今頃に思い出すのは、美大を受験したあの頃。
美大を舞台にした映画『ハチミツとクローバー』で、この曲が流れました。
ずいぶん前のことで、今思えば、「豪華なキャスト。大ブレイク前の堺雅人さんがなにげにかっこよかったりする」と。
「ハチミツとクローバー」予告編
(なんだかまぶしすぎてストレートすぎて、ちょっと恥ずかしい)
ポップな曲を作るときに、スティーブ・ハウさんが80年代に在籍したASIAの曲を参考にすることがあり、この曲も例外ではないそうだ。
最初の曲は、Tomorrowの「Hallucinations」(1968年、デビューアルバム『Tomorrow』)。
Tomorrowは彼のキャリアの中で2つ目のプロバンドで、たった1枚のアルバムを残して解散した。
こちらがジャケット。
この曲では、その後のスティーブ・ハウのプレイでもよく見られる得意なプリングというフレーズをすでに聴くことができる。
多くのギタリストの中でも、「スティーブ・ハウさんは、とくに独特のプレイを聴かせてくれるイメージ。ジャズやトラッドの影響も強く、ロックの脇にとらわれない」。
チョーキングやビブラート、パワーコードのバッキングなどなど、「いかにもなロックギターのテクニックをスティーブ・ハウさんはしないイメージ」と。
クラシックのアルペジオ、ギャロッピング(親指でベースラインを弾きつつ、ほかの指でメロディーを奏でる)なども得意で、「個性的なギタリスト」。
ここまで、ZO-3で弾きながら解説。ただしギャロッピングは「練習してないから弾けないんだけど」と。
ここで簡単なプロフィール。
1947年、北ロンドンで出生。
シェフだった父親に影響で、幼いころからカントリー、ジャズに興味をもつ。
17歳のときにグヤトーン(日本製)のエレキギターを手に入れ、ロックンロールに夢中になって、バンドを結成。Tomorrowへとつながる。
次は、Bodastの「Tired Towers」(1981年、デビューアルバム『The Budast Tapes/2000年、コンピレーションアルバム『Spectral Nether Street』。
Bodastは、彼がTomorrowのあと、YESの前に在籍したバンド。
このアルバムは当時、レコード会社の都合でリリースされずにお蔵入りとなった。
草野「これがメチャメチャいいんですよ。リアルタイムでリリースされていたら、ロックの歴史が変わったかもと思えるくらい。オリジナルに溢れたカッコいいバンド」
実際にリリースされたのは12年後の1981年。
だけど、もしこれでバンドがブレイクしていたら、スティーブ・ハウはYESに加入してなかったかもしれないし、それはそれでロックの歴史が変わっていたかもしれないから、「よかったのかも」と。
「ラフだけど、すごくいいアルバム」と。
次の曲は、YESの「Roundabout」(1971年、4thアルバム『Fragile こわれもの』)。
スティーブ・ハウは、ピーター・バンクス脱退後のYESに加入。
この曲は、「個人的にはロック史上に残る名曲だと思っている。長尺のロックナンバーの中ではいちばん好きかも」。
なので、フル尺で! 「この番組史上、いちばん長いかも」と。
ジャケットも「好きなジャケット5に入る!」と。
(下のPVで現れる地球儀を見るたびに、このジャケットが思い出される)
スピッツ / 小さな生き物
曲終わりで、「8分半、ご清聴ありがとうございました」。
(あっという間の8分。退屈どころか、豊かな展開に心が躍る)
メッセージコーナー。
この番組、大阪では朝の放送だそうで、お子さんのお弁当作りのあと視聴していたリスナーさん。結構大変なので、最近はその日は学食を利用してもらっているとか(わかるなあ)。
そして、「草野さんの学食の思い出は?」。
高校の学食は安くて、「いつもお世話になっていましたね」。かけうどんが当時80円。
草野くんは高校時代、「今じゃ考えられないけど、すごい食ってた」そうで、早弁用+お昼用の2つの弁当持参してたのに、「放課後になると、すげー腹減ってた」。
最近は「燃費」がよくて、「そのかけうどん1杯だけで一日動けちゃう体になってしまった」。
(なんだか、ちょっと寂しい・・・)
また、高菜チャーハンにタルタルソースがかかってた?ような「ジャンクなようで意外においしい」メニューも思い出にあるそうです。
曲を聴いていて、シンガーの息継ぎが気になるというリスナーさん。気になると音も歌詞も耳に入ってこない、というくらい重症。
「草野さんの息継ぎは気にならないけど、テクニックがあるの?」
息継ぎのしかたには「それぞれ個性があると思うけど、あえて息継ぎをきかせているシンガーもいると思う」と。「セクシーな感じになったり、悲痛な感じの曲では切迫感が出たりするのかな?」
例えば、アコギの演奏で指が動くときの「キュッ」という音をあえてきかせている人もいる、と。演奏の生々しさを出す感じ?」
息継ぎが気になったら、「これも演出のひとつかなと思って聴くのも一興かな」と。
(ご自身の息継ぎテクニックについてはここでは回答ナシでしたが、番組終わりのON-LINEで触れています)
(番組内で、レポート用紙?をめくる音が「生々しい」ことがありますが、あれも「あたふたとやってるよ」という臨場感を出すための演出・・・なんてね(笑))
次の曲は、ASIAの「Don't Cry」(1983年、2ndアルバム『Alpha』)。
スティーブ・ハウさんはYESを抜けたあと、80年代にはスーパーバンドASIAに加入。
「スーパーバンド」とは、すでに知名度も実力もあるミュージシャンたちが集まって結成したバンドのこと。
彼以外のメンバーは、
ボーカル・ベース:ジョン・ウェットン(キング・クリムゾン、ユーライア・ヒープ)
ドラムス:カール・パーマー(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)
キーボード:ジェフ・ダウンズ(バグルス)
という「錚々たるメンツ」。
サウンドは「ド ポップ」。産業ロックなどと揶揄されていたが、同じように産業ロックと言われていたTOTOやジャーニーに比べると「手作り感がすごくある」。
(音がキラキラ)
最後は、Steve Howeのソロで、「See Me Through」(2020年、14thアルバム『Love Is』)。
スティーブ・ハウはYES脱退後も、GTRなどで演奏し、YESの再結成にも参加。
この曲は最近の音源、ソロアルバムより。
彼はバンドとしてだけではなくソロとしても精力的に活動し、今までに14枚のソロアルバムをリリースしてきた。
最新のアルバムは「音の質感も新しく、曲もカッコいい。改めて、この人はギタリストとして一貫した独自のスタイルをもっているんだなと感じる」。
この曲は、ボーカルは現在のYESのボーカル、ジョン・デイヴィソン、ドラムは彼の息子が叩いていて、そのほかはすべて彼自身が演奏しているそうだ。
これは1972年、彼がダブルネックのギターを演奏している珍しい映像、らしい。
Wurm - Steve Howe Solo (Yessongs 1972)
現在は、Steve How Trioや、YESのメンバーとして、また2013年まではAsiaの再結成に加わるなど、70代を謳歌しつつ活動を続けているそうだ。
バックに、スティーブ・ハウさんの軽やかなギャロッピングのギターを流してくれました。
特集の最後に一言。
中学生の頃の草野くんのギターヒーローは、いつも言っているように「いかにもロック!」なギタープレイをするマイケル・シェンカー。
草野「でも逆のベクトルで、スティーブ・ハウさんのようなギタリストにも非常に惹かれるものがある」
甘いもの食べたあとにしょっぱいものを食べたくなるみたいな・・・と。
だけど、ハウさんのようなプログレ系の人の曲は長いので、紹介するには番組を3時間くらい必要、というジレンマ?も。
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
(イントロは、「恋のはじまり」の一部)
曲は、「最近また大人気の」、SUPER BEAVERの「深呼吸」(2009年、メジャーデビューシングル)。
ボーカルの渋谷龍太さんの自伝『都会のラクダ』を読んだそうです。
彼らはスピッツよりもずっと若い世代だけれど、本の内容は「メチャメチャ共感するところあり」で、「文体に独特のリズム感とユーモアがあって、とてもおもしろかった。気持ちのいい文体の本」と。
渋谷龍太くんは、「異端児っぽい見た目で、いまどき珍しいロックスターっぽいカリスマ性をしっかりもったシンガーだな」と思っていたが、実は・・・、「真面目で情けに熱い」というギャップ萌えの人だということがわかった、と。
この本を読んでデビュー曲を聴くと、「また違って聴こえるかもしれない。これからいろいろあったんだね、って」と。
SUPER BEAVER 都会のラクダSP 行脚 ラクダフロムライブハウス2021.11.24 at Zepp Tokyo
(カッコいいですね~。声も好きです)
そして、渋谷龍太さんからひとこと。
https://twitter.com/gyakutarou/status/1495657843831492610
そして来週は、【グレッチ使いのギタリストで漫遊記】。
レスポール、ストラト・・・ときて。「ギターの機種しばり 第三弾」です。
草野くんも愛用のグレッチ、「ロカビリーのイメージも強いけれど、カントリーロックから、ハードロック、パンクロックまで幅広く使われている」。
そんなグレッチを使う洋楽ギタリストのナンバーを選んでくれる。
「草野さん、高級チョコよりチロルチョコのほうが口に合うんですけど」