あれもこれも

灰原中心二次創作サイトの創作人によるあれこれ日記。何かありましたら「拍手」からどうぞ。お礼は名探偵コナンの小ネタ三種類。

志保さん復活祭り 第二章 ~開幕~

2012-06-28 21:35:21 | 志保さん復活祭り
 さて原作での降臨があった以上、ますます盛り上がらざるを得ない志保さん復活祭りです。当ブログでもまだまだ祭りは継続です。
 もちろんサンデー30号を読んでからというもの、いろいろと妄想やら感想やらが頭の中を走りまわっております。


 ということで祭りには全力で踊る!がモットーの私としては今回も全力でステップを切らせていただきます。それでは以下は復活祭りではすっかりおなじみとなりました妄想補完シリーズで30号からのベルツリー乗車直前の有希子さんサイドです(ベルツリー編に関する復活祭りは「第二章」と表記をしていく予定です。キャンプ編は今までの通し番号を継続使用ということで分けていきます)


823話:side有希子
 ホームはベルツリー号に乗りこむ客と列車を見物する客で大変な賑わいだ。
 多くの乗客たちが一年に一度しか走らないというその特別な姿を見ようとする中、その人ごみを抜けてさっさと乗降口に向かう男女の姿があった。眼鏡をかけ初夏という季節とは思えない首元まで覆ったシャツを着こんだ青年を共に真っ黒な帽子を目深に被った女性、という奇妙な二人連れだが、SLの雄姿に目を奪われた人々は全く気にならないようだった。
 荷物を持とうとするポーターの申し出を手で謝絶し、タラップに足をかけたところで女性が、ちらりと先頭のSL車両を取り囲む子供たちに視線を向けた。SLを見上げて楽しそうに笑う五人の子供たちの中で、マスクをして咳き込むような動作をする茶髪の少女の所で目を止める。その傍らに彼女の姿を隠すように自然に寄り添う眼鏡の少年の姿を認めると小さく微笑む。
 「ええ。きっといい旅になりますよ」
 「え?」
 不意に声をかけられて顔をあげるとポーターが人懐っこいを笑みを浮かべていた。
 「あ、すいません。あんまり楽しそうに微笑まれていたので」
 「いえ、そうね。きっと素晴らしい旅になるわ。私たち家族にとって忘れられない大切な思い出に」
 かつて多くのファンを魅了した笑顔を向けて、手を振ると有希子は軽やかにタラップを登った。この列車に乗り込む計画を聞かされた時の事を思い出しながら……


 「……ということなんだ。頼んだぜ母さん」
 「OK。任しておいて。……でも新ちゃん、一つだけ聞いていい?」
 「なんだよ」
 「どうしてそこまで危険を冒してまで哀ちゃんを守るの?」
 「バーロ、だから奴らが灰原の事を狙ってるからだって言ってんだろ」
 「それだけ?」
 「あん?どういう意味だよ?」
 「だってそれなら哀ちゃんをそんな危険な列車に乗せなけりゃいいじゃない。心配なら新ちゃんも一緒に残るとか、それこそ私たちがこの家で守ってても良いのよ。なのにどうして?」
 「今度こそ組織の連中と白黒はっきりつけて、灰原から手を引かせてやる」
 「手を引かせるって言っても、だって哀ちゃんは組織を裏切って逃げて…」
 「ちげーよ」
 「え?」
 「アイツは、灰原はオレの相棒だ。黒から逃げた裏切り者なんかじゃなくて、こっち側のオレ達と同じ色の人間なんだ」
 「…新ちゃん」
 「だからアイツらには絶対に渡さねえ。オレが守って見せるんだ」


 自分のコンパートメントのソファに落ち着くとそっと窓の外を見やると、人ごみの切れ間から黒い服を着た顔にやけどの跡が残る男性の姿が見えた。もう20年来の友人の面影など全くないその姿に、しかし彼女と初めて会った時の姿が不思議と重なって見えた。
 『変装したって人間の本質まで変えられるわけじゃないよ』
 自分たちに変装術を教えてくれた紳士の言葉が頭をよぎる。本当の友人の本質とは何なのか、今から見極めなければならない現実に小さく息を吐く。
 しかし今の自分の仕事は一人の少女を守ること。愛する息子がそれを望むならば、ただその望みをかなえるために全てをかけても惜しくない。子供に戻ってしまった彼だが「守る」と言い切ったその横顔はもう立派な男のそれだったことを思い出す。
 「『相棒』ね。本当にそうなのかしら、新ちゃん?」
 そう、面白げにつぶやくと有希子はそっと窓のカーテンを閉じた。

 















 
 
 
 
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3 コメント

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何はなくてもまず補完です (覚蓮常)
2012-07-01 23:20:34
>LIVEDさん
イケメンコナン君を見たいんですけどねえ。
私はミネルヴァ編でGODの中では新蘭ラブコメはいちおうの区切りはついてると思ってます。これ以上の進展はもう最終回を迎えるしかないでしょうし。


>Liahさん
この祭りは足りないページ数は自家発電とモットーにしていますので(笑)
たとえどんな結末になろうとも祭りは続けますし、納得いかない部分は脳内補完で埋めて行きます。
今後も妄想であっても公式を凌駕していきますので、よろしければお付き合いください。
返信する
復活祭り第二章開幕おめでとうございます♪ (Liah)
2012-06-29 08:06:33
朝から素敵な場所へ導いていただきました。

さすが覚さん、お仕事が三倍はやい!と思いつつ読ませていただいたら、お仕事の内容も完璧。
また覚さんのお話がひとつ脳内で公式化されインプットされました。すばらしい補完をありがとうございますm(__)m
私的にはベルツリー号に乗るまでの流れは十分理解できたので(←)よいのですが、一応本編でも、なぜ危険な列車に(蘭ちゃんや子供たち含めて)乗せたのか、という説明は一言ほしいな、と思っています。

そして、もちろん祭り二章の続き、楽しみにしています。(ただ、お忙しいなかご無理はされませんよう…)
返信する
イケメン! (LIVED)
2012-06-29 07:02:33
「コナン君空気」より「コナン君イケメン」の方がいい気がするんですけどね。
「哀を組織の魔の手から守る」というだけで、「コナン君イケメン」が成立するような。それでも、GODが「新蘭エンドの妨げになるから」との理由でコナンを空気にしているのだとしたら…いや、おとなしく動向を見守りますかね。
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