月のお話

　ある方が「月が出てくる話が書きたい」とおっしゃておられたのを見て、影響されやすい私はつい書いてしまいました(笑)

　月だけに夜のお話なので新志で。


「せっかくの満月も、もうだいぶ欠けちまったんだろうな」
「満月だった中秋の名月から4日。もう円形とは言えないわね」
「『望月』というほど望まれるってのに時間が経てばあっさり欠けていくなんて、月ってやつはずいぶん冷てーな」
「でも私は他人の思惑なんて気にしないであっさり欠けていく月の潔さって好きよ」
「ははは。潔い、か。オメーらしいな」
「…笑うことないじゃない」
「わりぃわりぃ。なあ知ってっか。今日の月は『寝待月』って言うだぜ」
「なかなか出ない月を寝ながら待つってことね。別名『臥待月』」
「そうそう。で、せっかくだからオレ達も寝ながら月を待とうぜ」
「ちゃんと月を見せてくれるなら、ね」


さて志保さんは無事に月を見ることが出来たのでしょうか？