kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

われらが背きし者

2016年12月15日 | ★★★★☆
日時:12月14日
映画館:サロンシネマ

原作ジョン・ル・カレのスパイスリラー。

ロンドン大学の文学の教授(ユアン・マクレガー)は妻と旅したモロッコで、豪快なロシア人ディマ(ステラン・スカルスガルド)と知り合う。実は彼の正体はロシアンマフィアの資金洗浄係であり、マフィアの情報と引き換えに英国への亡命を企んでいた。
その橋渡し役を教授に委ね、MI6の工作員ヘクター(ダミアン・ルイス)と接触する。

原作を読んでいないと飲み込みに苦労する「裏切りのサーカス」やその他のル・カレ作品に比べると、物語展開はとてもわかりやすい。主役四人の立ち位置がはっきりしていて、割と善悪がはっきりしているせいだと思う。

だからといって面白くないかと言えばそんなこともなく、それぞれのキャラが生き生きしていて、腹の底が見えそうで見えないのがいいし、ル・カレなので万事きれいに片付くとは到底思えない。

この邦題もいいのだが、言い換えると「裏切り、それぞれの形」。
登場人物全員が何かを裏切っているという点が脚本のうまさ。ユアン・マクレガーも暴力を嫌うという自分の信念を裏切るあたりが絶妙だ。

ヨーロッパで、ロシア、マラケシュ、パリ、ロンドン、ベルンと舞台が転々とするのもエスピオナージュものの王道として楽しいし、撮影も美しい。

登場人物の中ではダミアン・ルイスがイチオシ。メガネ、小さい口、モゴモゴとした口調・・・いかにもル・カレっぽい。次のボンド役候補に上がっているそうだが、ちょっと違うよなあ。

ところで(以下、ネタバレ注意)
一応、ラストでは黒幕の犯罪の証拠も明白になるのだが、おそらく裁かれるのはごくわずか。MI6はその証拠をネタに黒幕を脅し、逆にコントロールの支配下に置いていくんだろうな。恐るべし。







題名:われらが背きし者
原題:Our Kind of Trator
監督:スザンヌ・ホワイト
出演:ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、ダミアン・ルイス、ナオミ・ハリス
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