kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

コヴェナント/約束の脱出

2024年02月28日 | ★★★★☆
日時:2月26日

ガイ・リッチーのシリアス戦争映画。
湾岸戦争ものの「ジャーヘッド」で戦争できずに鬱憤がたまっていたジェイク・ギレンホール、そのまま軍に在籍しアフガン戦争でも従軍・・・と見えてしまうあたり、戦争映画キャリアの長さゆえだ。

2016年、アフガニスタンに派兵されたギレンホール演じるキンリー曹長率いる一隊は検問中、即席爆弾(IED)の爆発で隊員と通訳を失う。
一隊は新しく通訳として雇用されたアーメッドとともに、IED工場を探索する。アーメッドは四か国語を話せるインテリで現地の事情にも詳しいが、過去に後ろめたい仕事もしているようである。
さらに報償と渡航ビザのためとはいえ、米軍に協力している現地通訳はタリバンにも敵視され、家族を含め目をつけられている。

[以下、ネタバレあり]
映画は大きく3部で構成されている。
まずは隊とアーメッドがIED工場を捜索するくだり。本来なら通訳は言われたことを訳するのが仕事だが、彼は持っている経験・知識を活かして、現地コーディネーターの役割も果たす。

この辺、実際に通訳とも仕事し、成り立ちが異なる2つの組織の狭間に立つことも多い我が身にとってはなかなか実感があってスリリング。
お互い友好的な関係でない現地でアーメッドはうまく立ち回るが、たえず表情の厳しい彼にキンリーは信用を置けないでいる。

戦場での2人の意思疎通のドラマかと思いきや、IED工場を発見し戦闘に発展すると状況は一転。IED工場は破壊できたものの、タリバン側が増援してきたことで部隊はほぼ壊滅。かろうじて脱出した2人は米軍基地を目指して、敵地を横断することになる。

この辺から2幕目となり、ここから理解しあえない2人のサバイバル道中かと思うと、映画は思わぬ展開に。ここでの脱出劇はこの映画の見せ場で、見ている方もなかなかしんどい。

3幕目では、アーメッドは米軍協力者として賞金首になっており、彼の救出作戦が始まる。
全編シリアスタッチで実録ものを思わせるが、映画オリジナルストーリー。いささかご都合主義だが、実際現地で米軍に協力したアフガニスタン人が命を狙われるというのは非常に現実的な話だろう。(エンドクレジットでも厳しい現実が語られる。)

ストーリーの展開はガイ・リッチーらしくないが、ドローン視点のような空撮(砂漠の景色とも相まって松江泰治の作品のようだ)やしつこいくらいのフラッシュバックシーンといった映像には彼らしさが出ている。

意図してかどうかは不明だが、本作はマカロニウエスタン大好きなガイ・リッチー監督のマカロニウエスタンとも言える。ロケ地はアルメリアではないもののスペインの砂漠だし、手前に拳銃を据えたマカロニウエスタンばりのアングルもある。
「風来坊」な即席担架も登場するし、荷馬車にガンファイトってまさにマカロニウエスタン。
主人公2人は賞金首になるし、生い立ちが違う男同士の友情、そして戦う動機が復讐である以外に特に語られないあたりもマカロニ的だ。

ハードな実録ものの傑作が多い現代米軍戦争映画にあっては、ちょっとシンプルすぎる内容が気にはなるが、戦争映画マカロニウエスタンな色合いもひいき目に評価は
★★★★☆







題名:コヴェナント/約束の脱出
原題:THE COVENANT
監督:ガイ・リッチー
出演:ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター
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