kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ぼくのエリ 200歳の少女

2010年12月01日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:11月30日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:広島で上映する前にすでに売り切れ

80年代のスウェーデン、主人公はいじめられっこの少年オスカー。親は離婚し、立木相手にナイフを突き刺して、いじめられた憂さを晴らす、ちょっと荒んだ思春期まっただ中。そんな悶々とした毎日の中で、隣に引っ越してきた少女エリと親しくなり、心を通わすようになる。しかし、彼女は吸血鬼だった・・・

表情もやることも暗~いオスカーに自分の思春期を投影してしまう。たぶん、ワタシ自身が今、中学生らへんだったら、自分を慕ってくれる女の子と恋人になれる夢のような世界とその裏腹のそのままではいられない切なさに、わんわん号泣していたと思うし、永遠の思春期映画になったろう。

その一方で、鑑賞中に何度も思い出したのは、パク・チャヌクの吸血鬼映画「渇き」。いずれも吸血鬼を巡る愛の物語なのだが、あちらがドロドロの不倫カップルだとすれば、こちらは「小さな恋のメロディ」。さすがにワタシ自身がもう「リトルロマンス」の歳じゃないんだよな。(笑)

舞台は雪景色の田舎町で、しかも北欧とあって日暮れも早く、日本人では時間感覚が狂ってしまう。悲鳴さえも吸い取ってしまう雪と闇の舞台装置がまた良い。ハリウッドリメイクでは、この感覚を再現するのは難しいんじゃないか。

吸血鬼のエリは人から招き入れられないと部屋に入れない上、血だらけになるという古来からの伝統をちゃんと守っているし、雑誌のレビューを読むとそれ以外にも気づかなかった伏線や知らなかった仕込みが多数あって、良くできた脚本であることを再認識。(パンフレットが売り切れなのは、この辺の事情があるのかも。)

平穏な田舎町で10人近くが死ぬか行方不明になる大事件の割に、ドラマそのものは意外と静かに穏やかに進展する。ハリウッド映画や英仏映画に見慣れていると物足りなさを感じるくらい。とはいえ、思いがけない血みどろ描写には一瞬、たじろいでしまう。

最後は何ともいえない余韻を残すエンディング。複雑な心境になり、いろんな意味で切ない。






題名:ぼくのエリ 200歳の少女
原題:LAT DEN RATTE KOMMA IN
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション
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