「旅する画家 安野光雅 ヨーロッパ周遊旅行」
会場:ひろしま美術館
会期:2014年10月25日~12月7日
安野光雅といえば、「旅の絵本」の印象が強い。その中でもヨーロッパの旅の風景を集めた展覧会。
イタリア、スペイン、イギリス、スイス、ドイツと巡る水彩画は、なぜかとても懐かしい。
田舎の風景が心に沁みるようで、絵から色んな音が聞こえてくる。鐘の音、水鳥や羊、牛の声、雪のきしむ音、汽笛、そよぐ風の音、遠くに聞こえる人の声・・・
自然の風景だけでなく、そこに描かれた人の営みにまた優しい感じがする。
懐かしさを感じさせるもう1つの要因は、安野光雅の絵だけでなく、似たような水彩の風景画を含めて、これまでも色々な媒体で目にしてきたためだと思う。昭和の媒体な感じ。
「旅の絵本」を描くきっかけとなったのは、飛行機から見た景色に触発されたという。ワタシも飛行機が離着陸するわずかな時間に地上の景色を見るのが楽しみで、特に眼下を走る自動車のドライバーがどこから来て、どこへ行き、これからどんな生活をするのか夢想するのが好きだ。
そういった同じ視点で「旅の絵本」の原画を見ると、また別の楽しさがある。
安野光雅は他にもたくさんの作品を書いていて、確かに「さかさま」とかの絵本もどこかで目にした覚えはあったが、今回の展覧会ではそういった作品は展示されていない。
「ヨーロッパ周遊旅行」のワンテーマは、それはそれで楽しいが、展覧会が単調に思えてしまうのも確か。ワタシはチョコレートが大好きだが、チョコレートばかり食べているとおまんじゅうやポテトチップも食べたくなる、そんな感じ。
この展覧会にあわせて開催された「ナイトショー」にも参加したが、普段見ることのできない夜の美術館、ペンライトで照らした印象派絵画の凹凸が楽しい。中でも照明を最大限に明るくした中で観覧するゴッホの「ドービニーの庭」は特に楽しい。普段の美術館の薄暗い照明と異なり、ゴッホが本当に見たであろう鮮やかな色彩が目の前に広がるのは、感動もんである。
そうなると、いつもの疑問、「作品をどの状態で鑑賞するのが、作家の思いを知る一番良い状態なのか?」が頭をもたげてくる。屋外で描かれた印象派絵画など作品保護の照明輝度の中で見るのが正しい姿なのだろうか。
そんな折、読んだのがミチオ・カクの「2100年の科学ライフ」に書かれたインターネットコンタクトレンズの記事。そこまでの技術でなくとも、展示された絵画をCCDで読み取って、その画像の明度を明るくしたり加工した画像をサングラスの内側に表示することなら、今のグーグルグラスでも出来そうだ。近い将来、音声ガイドに加えて、鑑賞用グラスが貸し出される日もやってきそうな気がする。
会場:ひろしま美術館
会期:2014年10月25日~12月7日
安野光雅といえば、「旅の絵本」の印象が強い。その中でもヨーロッパの旅の風景を集めた展覧会。
イタリア、スペイン、イギリス、スイス、ドイツと巡る水彩画は、なぜかとても懐かしい。
田舎の風景が心に沁みるようで、絵から色んな音が聞こえてくる。鐘の音、水鳥や羊、牛の声、雪のきしむ音、汽笛、そよぐ風の音、遠くに聞こえる人の声・・・
自然の風景だけでなく、そこに描かれた人の営みにまた優しい感じがする。
懐かしさを感じさせるもう1つの要因は、安野光雅の絵だけでなく、似たような水彩の風景画を含めて、これまでも色々な媒体で目にしてきたためだと思う。昭和の媒体な感じ。
「旅の絵本」を描くきっかけとなったのは、飛行機から見た景色に触発されたという。ワタシも飛行機が離着陸するわずかな時間に地上の景色を見るのが楽しみで、特に眼下を走る自動車のドライバーがどこから来て、どこへ行き、これからどんな生活をするのか夢想するのが好きだ。
そういった同じ視点で「旅の絵本」の原画を見ると、また別の楽しさがある。
安野光雅は他にもたくさんの作品を書いていて、確かに「さかさま」とかの絵本もどこかで目にした覚えはあったが、今回の展覧会ではそういった作品は展示されていない。
「ヨーロッパ周遊旅行」のワンテーマは、それはそれで楽しいが、展覧会が単調に思えてしまうのも確か。ワタシはチョコレートが大好きだが、チョコレートばかり食べているとおまんじゅうやポテトチップも食べたくなる、そんな感じ。
この展覧会にあわせて開催された「ナイトショー」にも参加したが、普段見ることのできない夜の美術館、ペンライトで照らした印象派絵画の凹凸が楽しい。中でも照明を最大限に明るくした中で観覧するゴッホの「ドービニーの庭」は特に楽しい。普段の美術館の薄暗い照明と異なり、ゴッホが本当に見たであろう鮮やかな色彩が目の前に広がるのは、感動もんである。
そうなると、いつもの疑問、「作品をどの状態で鑑賞するのが、作家の思いを知る一番良い状態なのか?」が頭をもたげてくる。屋外で描かれた印象派絵画など作品保護の照明輝度の中で見るのが正しい姿なのだろうか。
そんな折、読んだのがミチオ・カクの「2100年の科学ライフ」に書かれたインターネットコンタクトレンズの記事。そこまでの技術でなくとも、展示された絵画をCCDで読み取って、その画像の明度を明るくしたり加工した画像をサングラスの内側に表示することなら、今のグーグルグラスでも出来そうだ。近い将来、音声ガイドに加えて、鑑賞用グラスが貸し出される日もやってきそうな気がする。
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