kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

アイ・イン・ザ・スカイ

2017年04月30日 | ★★★☆☆
日時:4月23日
映画館:八丁座

無人航空機(UAV)によるテロへの攻撃を巡るワンシチュエーション・ポリティカル・サスペンス。

【以下のレビューは、この映画で描かれているテクノロジーや政治的手続きがある程度現実に即しているものとして書きます。そこを疑いだすとキリがないので】

イギリス軍はケニア郊外に潜伏するイスラム系テロ組織のアジトを発見。組織に参画する英国国籍とアメリカ国籍のメンバーを確保すべく、UAVとケニアの現地工作員で偵察を行い、ケニア軍の特殊部隊を待機させる。

イギリスの軍司令部、ロンドンのホワイトホール、UAVを操作するネバダの米軍、真珠湾の米軍画像解析センター、ケニア軍現地司令部、アジト周辺を張り込む現地工作員と、時間帯も異なる場所で作戦を進行させるが、テロ組織が自爆テロを準備していることが発覚、作戦内容はメンバー確保から一転してミサイル攻撃となり、その実行を巡ってそれぞれの考えが衝突する。

一応、アクション映画っぽい演出とはなっているが、実際にはディスカッションドラマ。

ミサイル撃ちますよ→準備できました→近くに子どもがいます→撃ってもいいですか→ちょっと待て→待機→テロが実施されますがいいんですか→官僚に確認する→大臣の許可得てください→早く決めろー・・・
と、普段から耳にするような決断できない堂々巡りが延々と続く。
さらにシンガポール滞在中の英国外務大臣、北京滞在中のアメリカ国務大臣まで巻き込んで、世界中を報告連絡相談が駆け巡る展開となる。文字通り「地球儀を俯瞰する」ほうれん草。
吉本新喜劇風に言えば、「ミサイル撃つんかい、撃たんのかい、撃つんかい、撃たんのかい・・・」と言ったところだ。
ただ、「ミサイル発射中止。攻撃延期。今日は解散!」では映画的に成り立たないので、結局「ミサイル発射」しか選択肢はないのだが。

イギリス軍現場司令官ヘレン・ミレン、ホワイトホールの将軍アラン・リックマン、米軍のUAVパイロットアーロン・ポールと各人の存在感があるので、ドラマ的には緊張感が途絶えない。下手な演出だとすぐ眠くなりそうだ。

攻撃強硬派の軍幹部、目の前で人が死ぬのを見たくはない現場、何とか自分の決断を人に委ねたい官僚・政府と登場人物がステレオタイプなのは止む得ないところだが、一応、シビリアン・コントロールが機能しているあたり、軍=暴走と短絡的に捉える人たちには見て欲しい。

多分、現代社会においては軍の暴走というのは起こりにくいのだと思う。むしろ、武力を不用意に行使してしまう政治の方に問題が根深いと気づかせてくれる映画。






題名:アイ・イン・ザ・スカイ
原題:EYE IN THE SKY
監督:ギャヴィン・フッド
出演:ヘレン・ミレン、アラン・リックマン、アーロン・ポール
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