日時:2月11日
映画館:シネツイン
本作のストーリーはすでに語られているところだが、
「娘を殺された母親が看板を立てる」
の一言でも饒舌なくらい、物語の展開は早い。
開幕10分ですでに本題に突入している。
地元警察に訴えかける看板を立てる発想自体、役所の末端で仕事をしている個人的には的外れじゃないかと思うのだが、そこはフランセス・マクドーマンドの硬ちょっとだけ軟織り交ぜた演技で行き場のない怒りに共感させてくる。
彼女の行動とちょっとした暴走はミズーリ州(ロケはサウスカロライナ)の小さな田舎町の人々に波紋を広げていき、それぞれの生き様もあぶり出していく。それぞれに家族や事件に対する思いがある一方で、その微妙なズレが不幸を拡大再生産させていく。各人の生活が少しずつ明らかになるあたりはスティーブン・キングっぽいが、彼の作品だったら最後にこの田舎町は全滅している。
そうでなくとも本作のストーリーを書き起こしたら、本当はとんでもない展開になっており、実は最後まで救いがない。
ただ、そう思わせないのはネガティブな展開の直後にわずかに安堵させる場面を繰り返すことで観客に安心感と笑いを与えてくれ、ささやかな救いも感じさせるからだろう。この辺は脚本の上手さだ。
本作のレベルを押し上げたのは言うまでもなくフランセス・マクドーマンドの存在感(と魅力)ゆえであり、ここ最近彼女の主演作がなかっただけに、彼女のファンであるワタシ的にはこのキャスティングの成功は嬉しい。
彼女だけではなく、他のキャスティングとのアンサンブルも成功しており、特にこれまでエキセントリックで乱暴な白人役が多かったウディ・ハレルソンの人間味あふれる警察署長と、ちょっとヒステリックなエリートの雰囲気があったサム・ロックウェルのダメな白人警官役は素晴らしい。
展開の上手さとキャラクターの深さ・多彩さで印象深い作品だった。
ところで劇中思いがけないところでワンシーンワンショット撮影が出てくる。やはりワンシーンワンショットを際立たせるのは上下移動だな。
映画館:シネツイン
本作のストーリーはすでに語られているところだが、
「娘を殺された母親が看板を立てる」
の一言でも饒舌なくらい、物語の展開は早い。
開幕10分ですでに本題に突入している。
地元警察に訴えかける看板を立てる発想自体、役所の末端で仕事をしている個人的には的外れじゃないかと思うのだが、そこはフランセス・マクドーマンドの硬ちょっとだけ軟織り交ぜた演技で行き場のない怒りに共感させてくる。
彼女の行動とちょっとした暴走はミズーリ州(ロケはサウスカロライナ)の小さな田舎町の人々に波紋を広げていき、それぞれの生き様もあぶり出していく。それぞれに家族や事件に対する思いがある一方で、その微妙なズレが不幸を拡大再生産させていく。各人の生活が少しずつ明らかになるあたりはスティーブン・キングっぽいが、彼の作品だったら最後にこの田舎町は全滅している。
そうでなくとも本作のストーリーを書き起こしたら、本当はとんでもない展開になっており、実は最後まで救いがない。
ただ、そう思わせないのはネガティブな展開の直後にわずかに安堵させる場面を繰り返すことで観客に安心感と笑いを与えてくれ、ささやかな救いも感じさせるからだろう。この辺は脚本の上手さだ。
本作のレベルを押し上げたのは言うまでもなくフランセス・マクドーマンドの存在感(と魅力)ゆえであり、ここ最近彼女の主演作がなかっただけに、彼女のファンであるワタシ的にはこのキャスティングの成功は嬉しい。
彼女だけではなく、他のキャスティングとのアンサンブルも成功しており、特にこれまでエキセントリックで乱暴な白人役が多かったウディ・ハレルソンの人間味あふれる警察署長と、ちょっとヒステリックなエリートの雰囲気があったサム・ロックウェルのダメな白人警官役は素晴らしい。
展開の上手さとキャラクターの深さ・多彩さで印象深い作品だった。
ところで劇中思いがけないところでワンシーンワンショット撮影が出てくる。やはりワンシーンワンショットを際立たせるのは上下移動だな。
題名:スリービルボード 原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri 監督:マーティン・マクドナー 出演:フランセス・マクドーマン、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル |
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