kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

2017年07月02日 | 年間ベスト3
日時:6月26日
映画館:イオンシネマ広島
パンフレット:B5サイズ700円

この映画の公開を知って、すぐ歌えました。「鋼鉄ジーグ」の主題歌。幼少の頃の歌はいつまでも忘れないもんだねえ。(「邪魔大王国全滅だ!」となかなか物騒な歌詞なのだが。)

その一方で原題の「Lo chiamavano JEEG ROBOT」。この「Lo Chiamavano」はマカロニウエスタンに端を発するイタリア映画ではお決まりのフレーズで、日本で言えば「機動戦士」とか「超時空要塞」みたいにその一言でジャンルが分かる枕言葉。嬉しいねえ。

さて、主人公エンツォはローマのゴロツキで、警察に追われてティベレ河に飛び込んだところ、不法投棄されていた放射性廃棄物のドラム缶に突っ込んでしまい、スーパーパワーを得る。(首都の中心部に放射性廃棄物が投棄されているというのも、なかなかすごいが・・・)
しかし、元々はタダのチンピラ。スーパーパワーを得たと言っても、なかなか世のためには使えない。
同じマンションに住む多方面で不幸な娘アレッシアに「鋼鉄ジーグ」に重ね合されていくうちに彼の中にも変化が生じてくる。
一方、地元のゴロツキ、チンピラの間でもいざこざが発生。図らずもエンツォとアレッシアは巻き込まれていく。

日本人的な感覚で「鋼鉄ジーグ」を名乗られていると、すこしコメディめいたものを予想していたのだが、映画のテイストはシャマランの「アンブレイカブル」に近く、映画のトーンはドキュメンタリータッチの「ゴモラ」に似ている。

「鋼鉄ジーグ」がタイトルだからといって、スーパーロボットの頭部に変身するわけでもなく、ナックルボンバーもスピンストームなんて必殺技が使えるようになる訳でもない。それどころか、主人公は「鋼鉄ジーグ」さえ知らない。
おそらく「鋼鉄ジーグ」がモチーフでなかったら、日本公開も危ぶまれたであろう地味な映画。

逆にその地味さやリアルさがこの映画の素敵なところで、ああ、今、こういうヒーローが出てきたらこういう展開になるんだろうなと思わせるし、クライマックスの対決などCGによる派手派手しい活劇ばかりを見せ続けられてきたものとしては逆に新鮮。
リアルさで言えば、アフリカ系移民を使ったヤクの密輸なんかは多少、犯罪ものの知識がないと、何のことか分からないんじゃないか。(そういう描写が普通に出てくるところが、イタリアの現状を映していてコワイ。)

エンディングで流れるメロウな「鋼鉄ジーグ」イタリア語版主題歌を聴くと、そりゃ、日本語版の主題歌を口ずさみますよ。

ところで、イタリアやフランスでは日本アニメが大人気で、以前「ヤッターマン」のコスプレをやっているイタリア人が紹介されていたが、イタリア製西部劇のコスプレをやっている日本人といい勝負か。(笑)






題名:皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
原題:Lo chiamavano JEEG ROBOT
監督:ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア、イレニア・パストネッリ、ルカ・マリネッリ

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