
見ようかどうか踏ん切れなかったんだけど、「激レアさん」や周辺の評価を聞くとなかなか面白そう。
ということでスケジュールをやりくりして劇場へ。
遺伝子医療の発達で不老不死だが生殖力をなくした人類とその使役役として開発された人工生命体マリガン。両者の戦争から数千年を経て、地底社会で独自の発展を遂げ、生殖力を持つらしいマリガンを調査するために主人公の調査員が派遣される。
この世界がストップモーションアニメと独特のデザインで描かれていく。基本プロットは「宇宙空母ギャラクティカ」の逆バージョンみたいだが、オープニングの出動シーンからして音楽とともに80年代のSF映画、特にマカロニアポカリプスもののチープな雰囲気を彷彿とさせる。
工場の廃墟感あふれる地底世界には独自に発展したマリガンとクリーチャーがあふれる怪奇な世界だが、アニメのほのぼのとした動きともあいまって、どことなく間が抜けていて嫌悪感は感じさせない。
まあ、その一方で秩序があってなさそうな弱肉強食の世界なのだが。
主人公はその世界でいろいろ巻き込まれてどんどん残酷な地の底へ。この辺はダンテの「神曲」みたいだ。
地底で生活するマリガンやクリーチャーは基本、目が退化しており、その外見は「エイリアン」や「ヘルレイザー」を思い起こさせる。地下世界は「マトリックス」みたいだし、なんかこのいつかどこかで見た感覚に親しみを覚えるのだが、あとで調べたら監督は私と2歳違い。どおりで。
他にもジェットストリームアタックが出たり、北斗の拳みたいな展開があったりと80~90年代のSF映画のよく言えばオマージュ、悪くいえばパクリ的な中身が楽しい。
細部まで作り込まれた地下社会のディテールはモデラーとしても興味深く、セットのペイントだけで気が遠くなってしまう。撮影には7年を要したというが、そこを差し引いてもストップモーションアニメとして充分なクオリティだ。
特筆すべきは1500円もする本作のパンフレットで、ストーリー背景やキャラクター、スタッフ紹介はもとより、完全なメイキング本として資金調達からカメラのレンズの種類、3Dプリンターによるセットの作り方まで詳細に記載されていて、非常に参考になることが多い(何の?)
ところで、本作は三部作の第1作で残り2作も楽しみなのだが、完結までには単純計算だとあと15年はかかることになるなあ。
題名:JUNK HEAD 監督:堀 貴秀 出演:堀 貴秀 |
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