kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

原爆下のアメリカ

2010年06月29日 | 雑談ほか
不謹慎だと言われても仕方がないのだが、ひところワタシは核戦争映画が大好きだった。
スタートはもちろん「博士の異常な愛情」。そこから「未知への飛行」「ザ・デイ・アフター」「テスタメント」「スレッズ」「風が吹く時」「フューチャーウォー198X年」「フェイル・セイフ」「世界大戦争」「第三次世界大戦」「ラスト・カウントダウン」・・・といまだに頭の中は東西冷戦のままである。

Film Fantastic他で知って以来、ずっと見たかったのがこの「原爆下のアメリカ(Invansion U.S.A.)」だ。くだらない映画という予見はあったが、DVD1500円であれば買っても損はないだろう。
物語はバリバリに東西冷戦下のアメリカ、バーで知り合った6人の男女に振りかかる某敵国のアメリカ侵略が描かれる。(というか、敵は無神論者のアカでコミュニストの露助どもだ。)
映画はフッテージ映像をつなぎ、そこに人間ドラマを挿入しただけなので、あまり面白くない。そのフッテージもアメリカのものだから、敵国とはいえ飛行機はB-29だし、戦闘シーンは第二次大戦だから、何が起こっているのか、想像力を働かせ、心の眼で悪いヤツは無神論者のアカでコミュニストの露助どもと見えなくてはならない。(爆撃機搭乗員がT-34戦車兵のようなヘッドパットを付けているので、一応、無神論者のアカでコミュニストの露助どもっぽく見える。)

で、アメリカは戦争に負け、無神論者のアカでコミュニストの露助どもに蹂躙されてしまうのだが、それらが実は最初に6人が知り合ったバーで、占い師がかけた催眠術の幻だったと分かる。最後に備えあれば憂いなし、国を守りましょうと教訓めいたオチとなる。

この映画が面白いのは、その思想。まさに「アトミック・カフェ」で揶揄されていた世界観なのだ。無神論者のアカでコミュニストの露助どもは、第五列としてアメリカ社会に潜入しており、侵攻にあわせて破壊活動を始めるし、無神論者のアカでコミュニストの露助の兵隊どもはアメリカ占領の最後の詰めとして、米軍の軍服を着て、ホワイトハウスと議会を占領する。そう、「博士の異常な愛情」のリッパー将軍の妄想そのもの。

「原爆下のアメリカ」「アトミック・カフェ」「博士の異常な愛情」の3本立てなんて、歴史の教材に使えそうなくらい、奥が深いぞ。

原題のInvansion U.S.A.は、30年近く経って、別の映画に使われた。それがチャック・ノリスの「地獄のコマンド」。(これはこれで好き。)テロリスト軍団がアメリカ本土に潜入して、混乱を巻き起こすというストーリーだが、この手のプロットはいまだに絶えることがない。そんな1本として、アメリカ本土で原爆が爆発する「トータル・フィアーズ」なんかを見るにつけ、歴史は巡る、アメリカの思想って基本的に変わっていないのだなと思わせますね。
題名:原爆下のアメリカ
原題:Invansion, U.S.A.
監督:アルフレッド E.グリーン
出演:ジェラルド・モーア、ペギー・キャッスル

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