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ならばこの帯の青は、秋が夢見る海の色か。
赤は夏が夢見る、紅葉の色か。
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この帯の作家、野村富造さんがお亡くなりになって、
もう何ヶ月が過ぎたのだろう。
一度お会いしたい、できればこの帯を締めて・・・と思っていたが、
かなわなかった。
優しく朗らかな方と話に聞いていた。
私はこの一本しか、故人の作品を持っていないが、
呉服店で拝見したとき
洒落た「大人の遊び心」が甘辛にピリッと響く作風だと思った。
明日はぽっかり仕事が空いて、
伸び伸び一日自由な時間。美術館にでも行こうかな。
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こちらの、亀田恭子さんの帯も「檸檬の上布」によくのるなあ。
・・・などと帯合わせしながら、楽しみにしていたのに。
どうにもスムーズに進まないある案件のため、
急遽、休みを返上して大阪へ。
ああ・・・
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“誰にも知られず、あなたを連れ出す方法があればいいのに”※
箪笥の中でしかたなく、私のカヅラはまだ、夢を見続ける。
※この帯をテーマにした2年前の記事と呼応しています。