梅日和 umebiyori

心が動くとき、言葉にします。テーマは、多岐にわたります。

KURAさんのイラスト

2021-11-22 16:27:29 | 読んでくださる方へのお知らせ

11月12日から1日ひとつのエッセイを公開しています。

わずか4名の方にお知らせして開始したエッセイでしたが

1週間で、250名を超える方(累積)が読んでくださっています。

そこで、慌てて、ひとつお伝えすることにしました。

エッセイ「おや、おや。―北九州物語―」には、すべてではないけれど、KURAさんのイラストを一緒に掲載しています。

KURAさんは、東京生まれ、福岡育ちのイラストレータ。

二科展で何度も受賞し、多くの企業のキャラクター開発に携わってきた方です。

EXPO`90国際花と緑の博覧会やアジア太平洋博覧会福岡鴻ろ館マスコットキャラクターも彼女のデザインでした。わたくしは、お仕事で何度かご一緒しましたがいつも、伝えたいことをきちんと踏まえたうえで、ウイットに富むアート作品を見せてくださいます。

今回、エッセイを始めるにあたり、原稿をいくつか読んでいただきました。彼女らしいイラストがおまけでついてきました。これは、愉しい!。ブログを訪問してくださる方にも見てもらいたいと彼女にお願いをして掲載させていただいています。

彼女の作品に関心のある方は、以下のサイトをのぞいてみてください。KURAさんワールドが堪能できます。また、彼女はプロフェッショナルですから

お仕事の依頼があれば、どうぞ直接連絡を入れてみてください。

 

ギャラリー&作品集

 
ひとコマブログ『KURA.氏の手帖』
http://blog.goo.ne.jp/picantekuramae 
 

猫の正月。

2021-11-22 06:02:42 | エッセイ おや、おや。ー北九州物語ー

或る日ともに仕事をしていたデザイナーが顔面神経痛になった。病院に行ってもいっこうに事態は改善しないと言う。売れっ子のデザイナーは、仕事もままならず、ほとほと困り果てていた。たまたま打ち合わせで会う機会があり、事情を知った。

マコちゃんを思い出し、そして、同時に多くの患者さんを思い出した。マコちゃんの針治療で多くの方が完治していた。彼の仕事場から治療院まで行こうとすれば、車で1時間半。距離にして80キロほどの距離がある。さらに、なにせ30代のデザイナーに鍼灸は謎の世界である。

さて、紹介しようかどうしようかと躊躇したものの結局「なんとかしたい」との話に乗り、その場でマコちゃんに電話をいれ、事情を話した。可能な限り、早くに診療の予約を入れてもらい、彼は、1時間半かけて通い始めた。針治療が功を奏したのか、4,5回ほど通院するとほぼ治まったようだった。

この間、彼から数回電話をいただいた。聞けば、治療費をお支払いしようとお尋ねするのだが、マコちゃんからこう言われる。

「猫の正月で良い」。

自分としては、意味が分からず、お尋ねするのだが、「意味を考えなさい」と言われる。どう考えてもわからない。意味を教えてもらえないだろうか。

「猫の正月?」。娘とて、意味不明であった。早速、治療院に電話を入れた。

マコちゃんに替わる。笑いながら、彼は言った。

「猫に正月はあるか?」。

ない。おそらく、寒い暑いは感知して毛づくろいしても、正月行事を認識できるとは思えない。

マコちゃんは、治療を進めながら、彼に小さなお子さんが居ること、そして1時間半もかけて自分で運転をし、通っていることなどを聴いていたために、彼の負担を軽くするように配慮したのだろう。結局、治療費がどうなったのか、詳細は不明のままである。他の患者さんからも、実は帰り際にいつも手を握っていただき、その中には一部お渡しした治療費があって、かえってその手のぬくもりに勇気づけられたといった話もあった。

こうしたあたたかな配慮があった一方で、娘には厳しい一面を見せたことがある。軽い交通事故に遭い、腰を打撲したことがあった。近所の医院に通うものの痛みはとれず芳しくない。ここはマコちゃんに頼ろうと、治療院に電話をした。聞けば、予約でいっぱいだという。

順番は、順番。勘案することはしないと言う。かくして、3日後くらいにようやく鍼灸院に行けた。

娘といえども、患者は、患者であった。