『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・元始に神天地を創造りたまへり

2012年01月01日 12時16分46秒 | ◇聖書・キリスト教

 

 『元始(はじめ)に神天地を創造(つくり)たまへり。地は定形(かたち)なく、むなしくして、黒暗淵(やみわだ)の面(おもて)にあり、神の霊水の面(おもて)を覆(おお)ひたりき。神「光あれ」と言たまひければ光ありき。神光を善しと観たまへり。神光と暗(やみ)を分かちたまへり。神光を昼と名づけ、暗(やみ)を夜と名づけたまへり。夕(ゆう)あり朝(あさ)ありき。これ首(はじめ)の日なり。』 [日本聖書協会編:1971]

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 『旧約聖書』の「創世記」冒頭の一節です。ご存じの方もいらっしゃることでしょう。この箇所は、神の「七日間」の「天地創造」の「業」の「第一目」を語ったものです。映画『天地創造』の冒頭にも描かれているように、「創造主」たる「」の存在と「その業」とが、これほど見事に表現された箇所はそう多くはありません。

 それにしても、この「文語体」の表現――。心地よく格調高いものであり、個人的にも大好きです。ちなみにこの「日本聖書協会」編の「聖書」は、大学4年生のときに或る方にいただいたものです。私は高校がプロテスタント系の「ミッションスクール」であったため、無論、自分専用の「聖書」は持っていました。しかし、大学入学の上京の際に、福岡の実家に置いて来ました。

 それでも贈呈されたこの「聖書」は、40数年経った今日も持ち続けています。大学時代からの書籍・雑誌の中で今でも手元に残っているものは、岩波文庫や新書本を除けば、わずかに10数冊でしょうか。数少ない「愛読書」の一つです。

 ところで最近の「聖書」は、どの宗派のものもそのほとんどが「口語体」です。これはこれで悪くはないのですが、「文語体」に刻まれた独特の言葉のリズムや響き、そして語調に流れる余韻や余情はとうてい「口語体」の比ではありません。

 せっかくですから、以下に冒頭と同じ一節の「英文」(ジェームズ王訳米国版)をご紹介しましょう。難しくはありません。冒頭一節の「対訳」としてごらんください。これもまたリズミカルであり、心地よい響きとイマジネーション、そしてクリエイティビティを感じさせるものです。

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1 In the beginning God created the heaven and the earth. 
2 And the earth was without form, and void; and darkness was upon the face of the deep. And the Spirit of God moved upon the face of the waters.
3 And God said, Let there be light: and there was light. 4And God saw the light, that it was good: and God divided the light from the darkness. 5And God called the light Day, and the darkness he called Night. And the evening and the morning were the first day.【King James Version, American Edition:KJVAE】
 
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 さて、もう一度冒頭の「一節」をごらんください。「創造主(=)」は、まず≪定形のない地≫と≪黒暗淵(やみわだ)≫と≪≫を創造されたことが判ります。混沌とした深淵の中に、暗黒の大宇宙空間が果てしなく広がりゆくのでしょう。その一方、大地の元ともいえる地上らしきものの存在が確認されます。「形も色彩も定まることのない沈黙の宙空」の中に……。

 そこで「神」は≪光あれ!≫と、自らのさらなる強い「創造の意思」を継続します。私はこの「くだり」に接するたびに、「神」の「イマジネーション」や「クリエイティビティ」の力強さを感じるとともに、「創造力」の無限大のエネルギーを痛感させられます。この部分をゆっくり一字一字拾いながら読み進むとき、自分の中にも力が充ち溢れて来るような気がしてなりません。人間の「イマジネーション」の深化の可能性に、ささやかな歓びを感じる瞬間です。

 それにしても、「人間智」と「時空」を遥かに超えた宙空世界の「イマジネーション」と「クリエイティビティ」――。その広がりと深さに圧倒されるばかりです。

 

               ★★★ 業……… ★★★   

 ――ほんとに素晴らしいわ。あなたがおっしゃるように、一語一語、じっくり噛みしめながらイメージを膨らませて行くのね。そうすると無限の宇宙が深く静かに果てしなく広がって……ああ、ほんと。見えるようだわ。

 でも、あたくし…… 「創造主」でいらっしゃる「神様」にひとこと申し上げたいことがあるの。あたくしのとっても「身近な方」のことで……。

 その方って、あれこれイメージしていろいろなものを作ってくださるの。ほんとにありがたいわ。お料理だって、ちょっとした大工仕事だって、とっても器用な方なの。

 だから……とにかく、何事も最後まで「中途半端」になさらず、まずは「完成」させてくださいますようにってお祈りしたいの。

 ……それにもうひとつ。その「創造の業」が終わった後は、きちんと「あと片づけ」という「」にも徹していただきますようにって……。

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 新しき年、2012年のはじまりに際して。

 本年も「本ブログ」をよろしくご愛顧のほどお願いいたします。

 各位のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 花雅美 秀理