いよいよ、『ソチ・オリンピック(第22回オリンピック冬季競技大会)』が、日本時間の明日2月8日未明(1:14)に「開会式」を迎える。 ※以下の「スタート時間」は、「日本時間」を意味しています。
とはいえ「開会式」に先立ち、すでに「スキー・スノーボード」の「男子フリースタイル予選」が昨日15:00からスタートした。また0:30には、「フィギュアスケート」の「団体男子シングル ショートプログラム」もスタートのようだ。
◆ソチ・オリンピックの競技日程(全種目の「日程時間」を掲載)
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今回ほど、多くの<問題>を抱えたオリンピックもないような気がする。何事も強引に推し進めるプーチン大統領。そのやり方は、たび重なる民族・人権弾圧をはじめ、今回のオリンピック施設の建設にも表われている。地元住民軽視の開発・工事や無秩序に膨張した工事費問題であり、大統領関連組織への利権誘導や関係役人の汚職等が早くから取り沙汰された。
しかし最大の問題は、やはり「セキュリティ」問題だ。「日本」は今回の「安全面」について、楽観的すぎるのではないだろうか。と言うのも、米国をはじめとする欧米主要国は、不測の事態の可能性をかなり高いとみている。その象徴として、今回のチケットの売れ行きが、1月中旬においても未だ7割程度であるということだろう。それでも、日本での売れ行きは好調のようだ。
また米国のオバマ大統領をはじめ、フランスのオランド、ドイツのガウク両大統領、そして英国のキャメロン首相ら欧州連合の首脳や政府要人も、早くから「開会式」への出席を見送っている。
しかし、安部首相は、イタリアのレッタ、オランダのルッテ両首相等とともに「出席」する。ロシアとの政治・経済の関係緊密化とはいえ、今後に問題を残したことは確かだ。
上記首脳の不参加理由は、ロシアの「同性愛者宣伝禁止法」への抗議のためとあるが、それは建て前であって本音は「セキュリティ」に対するロシア当局への不信と不安が原因であることは否定できない。
◆ソチ五輪チケット売れ行き7割(朝日新聞デジタル1月24日5時25分配信)
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古代ギリシヤの「オリュンピア」(ギリシヤ語)において、「天空神・ゼウス」のために捧げられたという「オリュンピア競技大会」。この「オリンピック」の期間中は、「ポリス」(都市国家)間の抗争が中止され、外敵の侵入があっても救援活動をしなかったという。いかにも「ギリシヤ的な平和思想」の象徴といえる。
そこで、この平和的な期間を《ゼウスの休戦》と呼んだ。しかし、戦争や地域紛争、テロ行為等が絶えたことのない現代において、「オリンピック」開催期間中の“平和”などどこまで可能だろうか。1972年の『ミュンヘン・オリンピックの事件』を忘れることはできない。
それは、東西ドイツの統合前に旧西ドイツの『ミュンヘン・オリンピック』開催中に発生した人質監禁そして殺害事件だ。「パレスチナ武装勢力」によって、11人のイスラエル選手と1人の警官が殺害された。
今回、会場施設や周辺での警備はかなりのものがあるようだが、それ以外の施設、場所そして都市ではどうだろう。遠隔操作によるさまざまな攻撃方法が否定できない以上、厳格な周辺警備がどれだけ安全を保障できるだろうか。
ともあれ、ここはひたすら《ゼウスの休戦》を祈りたい。
◆ミュンヘン・オリンピック事件(wikipedia)
◆古代オリンピック(wikipedia)