
ずっと昔の出来事。
幼馴染のお母さんが35歳という若さで亡くなった。
ひとり息子はまだ小学生だった。

その頃既に大阪から埼玉に引っ越していた私は、
人づてにそのことを知って、次の夏に遊びにきた、
別の幼馴染の一家からくわしい話を聴くことになる。

その人は元スチュワーデスだったので、
背が高く、ほっそりとしていて、目鼻立ちの派手な、
それでいてとても上品な美人だったのだが、
亡くなる数ヶ月前、まだ病気が分からなかったころに、
その人とその母とで、何の気はなしに、神戸の占い師にみてもらったところ、
「あなたのこれまでは●●でしたね、つらいこともあったけど、こんないいこともありましたね」
と、娘にはこう話しかけ、そしてその母にはこう告げた。

「あなたの人生はこれからが肝心ですからね。体を大切に。長生きしなkればいけません」
当人たちは、年齢とはまるで逆のことを言われて、そのあと二人で笑ったそうなのだが、
娘が亡くなった後、その母は、
「私は占いなど信じないし、そもそもあのときも、
娘にせがまれて、いやいやみてもらったのだけど、
信じていないのに、どうにも不思議で、不吉な気がして仕方がなかった。
そうしたら、そんなことになって。
もしかしたらあのひと(占い師)には、見えていたのかもしれない。
私には未来を告げたけれど、あの子には過去しか告げなかった。
それが今でもひっかかる。
でももう二度と会いに行くことはないと思う」

幼馴染はそのあと、この祖母に育てられた。
父はほどなく再婚し、新しい家庭にも、母にも、ついぞなじめなかった。
祖母はビルのオーナーをしていたので、孫息子が成人するまで、
娘の代わりに、しっかり見守ることができた。
病気ひとつすることなく。

その幼馴染が、そしてその祖母が、
今はどうしているのか、まったくわからない。
実家に帰って、母に聞けば、何がしかのことが、
わかるかもしれないけれども、なんとなく、
聞く気がしないでいる。