お待たせしました。生活保護問題議員研修報告パート2です。
2人目の講演は弁護士の小久保哲郎さんによる『生活保護「改正」に現場でどう対抗するか」と題してのお話でした。その内容は実際に生活保護を申請しようとする人にとって役立つものでしたので、当日の資料と併せて紹介したいと思います。
1 「改正」内容
24条は生活保護の申請に関する規定ですが、当初(原案)として示された1項には、こう書かれていました。「保護の開始の申請は、第7条に規定する者が、厚生労働省令で定める所により、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出してしなければならない。」
”この規定のどこがおかしいのか?”と思われる人もたくさんいらっしゃるかもしれません。実をいうと、私も誤解をしていました。申請書を出して、正式に申請したしたことになると思っていました。というよりも、これまで何度か生活保護の申請に付き添ってきましたが、かなりの時間を費やして事情を説明しなければ、机の上に「申請書類」は出てきませんでした。ですから、職員が「申請書類」を机の上に出した時点で「これで、ほぼ生活保護は決まった!」と受け止めていました。職員は、こちらのかなりの時間を費やす説明を聞きながら、生保の対象になるかどうかを吟味していると感じたからこそ、書類が出てくると「これでいける」と思ったのです。もっとも、申請する当事者は、この時点でも信用していません。不安で不安でたまらないのが実情です。
さて、これが違っていたのです。国会でのやり取りもあり、この条文は修正案が出されました。それには「保護を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。ただし、申請書を提出できない特別の事情がある場合は、この限りでない。」また、厚生労働省による国会答弁でも「現在、事務連絡によ基づき事情がある方に認められている口頭申請についても、その運用を変えることなく、その旨を厚生労働省令で規定する予定」と示されています。昨年の11月12日三銀厚生労働委員会付帯決議においても「新政権侵害の事案が発生することのないよう、申請行為は非様式行為であり、…口頭で申請することも認められる 略」とされています。この付帯決議には「水際作戦」はあってはならないことを、地方自治体に周知徹底する」と書かれてもいます。
次に、24条の2項には「前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として講師柄労働省令で定める書類を添付しなければならない」と書かれています。この規定も修正され、「ただし、書類を添付できない特別の事情がある場合は、この限りでない。」という一文が付け加えられています。これも、国会答弁などで「可能な限りで保護決定までの間に行うというこれまでの取り扱いに変更がない」とし、省令、通達で明記するとしています。
法律改正によって、松江市でも申請書や提出を要する書類が明文化された説明書類一式が相談室に置いてあります。これらの書類がなければ受け付けてもらえないと思う人もあるでしょうし、もしかしたら、そう説明するかもしれません。ですが、申請石さえ明確であれば申請できるのです。必要とされる書類については、省令で定める書類として規定するものがないため、規定されていません。つまり必須とする根拠がないに等しいのです。
生保申請を考えている皆さん。よく理解して窓口に行きましょうね。そして、できれば、よくわかっている人に同行してもらった方が良いですよ。
改正内容に関して、問題点はほかにもありますが、今夜は、ここまで。続きをお楽しみに!