当初5月17日に3号機の適合性審査申請のための事前了解願を松江市と島根県に持ってくるとのことでしたが、5月22日になって、多くの住民が反対する中を持ってきました。今回の事前了解願いについては、鳥取県や周辺30km圏内自治体にとって、3号機の建設当時は一切説明を受けていません。福島原発事故後、初めて中国電力と安全協定を結び、設置許可や審査にかけるなどの重要な変更に関して「報告を受け」、意見を述べることができるようになりました。しかし、これには重大な問題があり、事前了解権や立ち入り調査権がなく、立地自治体と比較して差別的な扱いの内容なのです。その差別的扱いが鳥取県側や周辺自治体の不満の声となっています。鳥取県は、3号機の説明を聞いていない!と、事前了解願いとは切り離して、まずは説明を求めました。慌てふためいた中国電力は、鳥取県や周辺自治体へ急遽説明に回ったのでした。その中で、住民説明会開催も要請されていますが、それもまだ実施せず、行政への説明も一度だけで、鳥取側は、これで説明は終わったとは思ってもいません。それにもかかわらず、中国電力は、5月22日に松江市と島根県に対して事前了解願を持ってきたのです。中国電力は6月議会で結論が出ることを期待し、松江市長も「早急に審査を受けて、安全性を確認していく必要がある」とマスコミインタビューに答えています。鳥取県知事は「周辺自治体を軽んじている。6月議会で決着する必要はない」といらだちを見せています。周辺自治体からもこの差別的な安全協定の改定を強く求められています。
私たち住民団体は、松江、出雲、雲南、米子からそれぞれ駆け付け、広島の皆さんの参加も得て、予定通りに18日に中国電力広島本社へ3号機の稼働手続きである事前了解願いを中止するよう抗議の申し入れを行ってきました。原発が抱える様々な問題を挙げ、また、福島原発事故以前から、すでに電力消費は減少し続け、常に供給予備率が10%以上を維持していることからも、137万KWクラスの原発を作る必要もないと、手続きの中止を求めました。その際にも、やはり、この事前了解権付安全協定を結ぶよう強く求めました。対応した中国電力側からは、「CO2排出削減。老朽火力を止めたいので代替え電源として必要」などと言った3号機が必要だという説明が返ってくるのですが、福島原発事故が住民に与えた重大な被害を真摯に受け止める言葉が一切ありませんし、原発が抱える様々な問題についても一切触れないのです。そして、周辺自治体に関しては、「同様に対応させていただく」と言いながら、一市でも反対すれば審査にかけることはないのか?と問うと、「理解いただけるまで努力する」とオウム返しのように言葉が返ってくるだけでした。まったく、誠意のない経営上の都合を優先する中国電力の姿勢には怒りしかありません。

ー以下、申し入れ書ー
中国電力株式会社
代表取締役
社長執行役員 清水希茂様
貴社は5月22日に、「島根原発3号機の運転開始に向けての新規制基準適合審査申請の事前了解に向けての手続き(以下、「事前了解手続き」と記す)」を行うことを明らかにした。
2011年3月11日に発生した福島原発震災による避難者は、7年が経過した今日においても5万人を超えている。政府は強制的に帰還政策を進めているが、現在の放射線量の中で、帰還する人は僅かである。一方で子どもたちを中心に甲状腺がんは増え続け、これまでに194人が甲状腺がんを発病、159人が手術を受けたとされている。また、福島第一原発の廃炉に向けての道のりは、その工程も費用もまったく見通せない状況である。
現在も原発事故の真相は明らかになっていない。原子力規制委員会は、島根原発と同型の沸騰水型原発である東京電力柏崎刈羽原発6,7号機を、新規制基準に適合しているとしたが、「適合審査項目に従い合格にしただけで,原発の安全が確保されたわけではない」と、責任逃れをしている。
多くの国民は、圧倒的に原発は嫌だという声を発している。それは様ざまな世論調査によって明らかにされている。先日実施されたメディアでの世論調査でも、原発事故への「懸念」を持つ人が大半を占め、逆に「新基準で安全性が向上し、深刻な事故も起きない」は僅か5%である。
島根原発では南側約2㌔の場所に、東西に走る活断層「宍道(鹿島)断層」がある。かつて島根原発が最初に建設された時点では、貴社は「活断層は無い」と明言していた断層である。それをこの度39㌔と認めた。これで十分だとしているようだが、断層の長さの評価の延長が相次いでいる貴社の態度からは、不信感だけである。この断層について私たちは、東に約6㌔の地点から東方へ延びる鳥取沖西部断層(貴社の長さ評価約40㌔)と連動しているという懸念を持っている。さらに鳥取沖東部断層も含めて連動を考慮すれば、およそ140kmもの長大な活断層となる可能性がある。
また、再処理工場の稼働や核のごみの処分さえ見通しの立たない中、新たな3号機の稼働は、処分の困難な使用済核燃料を増加させるばかりであり、現在と未来に対する無責任極まりない間違った選択である。
島根原発の30㌔圏内の自治体は、島根県内では松江・出雲・安来・雲南、鳥取県内では境港・米子の各市がある。この度の事前了解手続きに関連して、耐震設計の目安となる基準地震動の評価が規制委員会の了承を得た際、3号機の申請手続きに言及したことに対して、鳥取県の平井伸治知事は貴社に対し「説明をきちんと受けたことは今までない。一からていねいに話を聞く必要がある。」と、貴社の勇み足に苦言を呈している。これまで3号機の建設に関しては「周辺自治体」に対しては何ら説明をせず、蚊帳の外に置いて進めてきた。
申請手続きに入る前に、まずは、周辺自治体に対し、ていねいな説明をし、理解を得ることから始めるべきである。福島原発事故を経験した今、もはや「立地自治体」と「周辺自治体」への異なる対応は許されない。2017年4月「脱原発をめざす首長会議」から、安倍首相と世耕経産相に対し、周辺自治体の「同意権」を明記する申し入れがされていることは、承知のはずである。
また島根原発において避難を行う事態になれば、30㌔圏内自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をすることが、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で明らかになっている。
「事前了解手続き」を行うのであれば、30㌔圏内自治体はもとより、避難先となる広島・岡山両県にも同意が得られるようにすべきである。
猛暑といわれた夏季にも、とりわけ気温が下がった冬季も、電力余り状況となっていた。貴社が発表している「中長期のエリア需給バランス見通し(8月、送電端)」においても、島根原発3号機が動かなくても、上関原発が建設されなくても、これから先の10年間も大幅な余剰電力が生じることが示されている。
まだ島根原発3号機については、核燃料が装填されていない。いったん稼働してしまえば、施設は放射能に汚染され、廃炉のためには膨大な費用がかかることになる。稼働を思いとどまれば、原子炉内に自由に立ち入ることができ、研修施設や観光施設として活用を図ることができる。まさに「動けば負債、やめれば資産」である。
1978年世界中が原子力発電の夢に酔っていた時に、ある科学者が「原発は滅びゆく恐竜である」という論文を書いた。40年前の指摘の正しさが明確になっている。
悲惨な事態を二度と起こさないためには、すべての原発の停止と廃炉、それしか解決策などありえない。これが福島第一原発事故から学ぶべき教訓である。
私たちはこの度の島根原発3号機の、「事前了解手続き」を行うことに強く抗議するとともに、直ちに手続きを中止することを要請する。また島根原発2号機の廃炉を求める。
私たち住民団体は、松江、出雲、雲南、米子からそれぞれ駆け付け、広島の皆さんの参加も得て、予定通りに18日に中国電力広島本社へ3号機の稼働手続きである事前了解願いを中止するよう抗議の申し入れを行ってきました。原発が抱える様々な問題を挙げ、また、福島原発事故以前から、すでに電力消費は減少し続け、常に供給予備率が10%以上を維持していることからも、137万KWクラスの原発を作る必要もないと、手続きの中止を求めました。その際にも、やはり、この事前了解権付安全協定を結ぶよう強く求めました。対応した中国電力側からは、「CO2排出削減。老朽火力を止めたいので代替え電源として必要」などと言った3号機が必要だという説明が返ってくるのですが、福島原発事故が住民に与えた重大な被害を真摯に受け止める言葉が一切ありませんし、原発が抱える様々な問題についても一切触れないのです。そして、周辺自治体に関しては、「同様に対応させていただく」と言いながら、一市でも反対すれば審査にかけることはないのか?と問うと、「理解いただけるまで努力する」とオウム返しのように言葉が返ってくるだけでした。まったく、誠意のない経営上の都合を優先する中国電力の姿勢には怒りしかありません。

ー以下、申し入れ書ー
2018年5月18日
中国電力株式会社
代表取締役
社長執行役員 清水希茂様
抗 議 文
貴社は5月22日に、「島根原発3号機の運転開始に向けての新規制基準適合審査申請の事前了解に向けての手続き(以下、「事前了解手続き」と記す)」を行うことを明らかにした。
2011年3月11日に発生した福島原発震災による避難者は、7年が経過した今日においても5万人を超えている。政府は強制的に帰還政策を進めているが、現在の放射線量の中で、帰還する人は僅かである。一方で子どもたちを中心に甲状腺がんは増え続け、これまでに194人が甲状腺がんを発病、159人が手術を受けたとされている。また、福島第一原発の廃炉に向けての道のりは、その工程も費用もまったく見通せない状況である。
現在も原発事故の真相は明らかになっていない。原子力規制委員会は、島根原発と同型の沸騰水型原発である東京電力柏崎刈羽原発6,7号機を、新規制基準に適合しているとしたが、「適合審査項目に従い合格にしただけで,原発の安全が確保されたわけではない」と、責任逃れをしている。
多くの国民は、圧倒的に原発は嫌だという声を発している。それは様ざまな世論調査によって明らかにされている。先日実施されたメディアでの世論調査でも、原発事故への「懸念」を持つ人が大半を占め、逆に「新基準で安全性が向上し、深刻な事故も起きない」は僅か5%である。
島根原発では南側約2㌔の場所に、東西に走る活断層「宍道(鹿島)断層」がある。かつて島根原発が最初に建設された時点では、貴社は「活断層は無い」と明言していた断層である。それをこの度39㌔と認めた。これで十分だとしているようだが、断層の長さの評価の延長が相次いでいる貴社の態度からは、不信感だけである。この断層について私たちは、東に約6㌔の地点から東方へ延びる鳥取沖西部断層(貴社の長さ評価約40㌔)と連動しているという懸念を持っている。さらに鳥取沖東部断層も含めて連動を考慮すれば、およそ140kmもの長大な活断層となる可能性がある。
また、再処理工場の稼働や核のごみの処分さえ見通しの立たない中、新たな3号機の稼働は、処分の困難な使用済核燃料を増加させるばかりであり、現在と未来に対する無責任極まりない間違った選択である。
島根原発の30㌔圏内の自治体は、島根県内では松江・出雲・安来・雲南、鳥取県内では境港・米子の各市がある。この度の事前了解手続きに関連して、耐震設計の目安となる基準地震動の評価が規制委員会の了承を得た際、3号機の申請手続きに言及したことに対して、鳥取県の平井伸治知事は貴社に対し「説明をきちんと受けたことは今までない。一からていねいに話を聞く必要がある。」と、貴社の勇み足に苦言を呈している。これまで3号機の建設に関しては「周辺自治体」に対しては何ら説明をせず、蚊帳の外に置いて進めてきた。
申請手続きに入る前に、まずは、周辺自治体に対し、ていねいな説明をし、理解を得ることから始めるべきである。福島原発事故を経験した今、もはや「立地自治体」と「周辺自治体」への異なる対応は許されない。2017年4月「脱原発をめざす首長会議」から、安倍首相と世耕経産相に対し、周辺自治体の「同意権」を明記する申し入れがされていることは、承知のはずである。
また島根原発において避難を行う事態になれば、30㌔圏内自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をすることが、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で明らかになっている。
「事前了解手続き」を行うのであれば、30㌔圏内自治体はもとより、避難先となる広島・岡山両県にも同意が得られるようにすべきである。
猛暑といわれた夏季にも、とりわけ気温が下がった冬季も、電力余り状況となっていた。貴社が発表している「中長期のエリア需給バランス見通し(8月、送電端)」においても、島根原発3号機が動かなくても、上関原発が建設されなくても、これから先の10年間も大幅な余剰電力が生じることが示されている。
まだ島根原発3号機については、核燃料が装填されていない。いったん稼働してしまえば、施設は放射能に汚染され、廃炉のためには膨大な費用がかかることになる。稼働を思いとどまれば、原子炉内に自由に立ち入ることができ、研修施設や観光施設として活用を図ることができる。まさに「動けば負債、やめれば資産」である。
1978年世界中が原子力発電の夢に酔っていた時に、ある科学者が「原発は滅びゆく恐竜である」という論文を書いた。40年前の指摘の正しさが明確になっている。
悲惨な事態を二度と起こさないためには、すべての原発の停止と廃炉、それしか解決策などありえない。これが福島第一原発事故から学ぶべき教訓である。
私たちはこの度の島根原発3号機の、「事前了解手続き」を行うことに強く抗議するとともに、直ちに手続きを中止することを要請する。また島根原発2号機の廃炉を求める。