芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

12月議会報告

2015-01-28 20:37:10 | 政治
 一般質問の時間は年間80分使えるのですが、この間、質問の度に再質問を繰り返していたため、残り時間が少なくなってしまいました。今回は、仕方なく一括諮問にしました。そのため、再質問はあまりしていません。全国で運転開始から40年が超過する原発に関して廃炉の動きが進んでいます。今回は、島根原発1号機も40年を超えるため、従来から市長自身が「40年が原則と言ってきた経緯もあり、中電に対して廃炉決断を迫るよう市長に求めました。答弁はこれまでの言葉を超えるものはないのですが、一層、外堀を埋めていきたいと思っています。
 また、この他にNPOに対する松江市の考え方に関して聞きました。人事のあり方、そしてスペシャリストを育てることが国に対する発言力を増すことにつながる視点で質問しています。学力調査結果公表に関しては、しつこく聞いてきたことでもあります。また、閉鎖したごみ焼却施設に関しては、内部にダイオキシンが蓄積しているため、この除去に多額の費用が掛かることから全国的にも放置された施設がたくさんあります。解体除去に向けての国に対する財政保障を求める必要性について聞いています。

★島根原発1号機の廃炉決断に関する質問と答弁  
 経済産業省は、運転開始から40年が経過する原発7基に関して、各電力会社に廃炉判断を促している。この7基の原発の中に、島根原発1号機も含まれ、老朽原発であるという根本的な問題を解決することはできない。この原発をさらに動かせば、市民にとって安心安全な生活が一層脅かされることになる。
 中国電力が決断すべき時期はすぐそこに迫ってきたので、「廃炉」の決断を求める考えはないか。

市長 : 老朽化した原発については一定の基準を設けて廃炉にしていくべきだとの考えは変わっていません。ただ、実際に廃炉を決定するのは電気事業者です。中国電力には適切に対応していただきたいと思っています。

★NPOとの連携に関する質問と答弁
 10月8日付で配信された市のメールマガジンの中で「自治体とNPOの役割」と題する市長からのメッセージがある。NPO法人から「行政は2~3年で人事異動があり、引き継ぎがうまくできない」などの不満があることがわかったとし、「同じ仕事だけに携わると、どうしてもマンネリに陥りやすく、やる気も失せてしまいがちになります。そこがNPOに理解されない」と書かれている。マンネリを防ぐために定期人事異動が必要だというのは、一定程度理解できるが、逆にスペシャリストを育てることができないという欠点もあるのではないか。培われた見識と実績が市政に反映されることを希求するNPOにとって、行政側のある程度の専門的な人材は、よりスムーズな意思疎通にとって必要と考えるのではないか。行政側にとっては、そのことが国に対して強くものを言えることにつながっていくのではないか。NPOの不満は「当たらずとも遠からず」だと思うが、改めて市長の見解を伺う。
市長 : 一つの場所にずっと長く置かれると、どうしてもマンネリ化や新しく工夫する
などといったことが難しくなってくるので、人事異動という制度があります。ですが、スペシャリストというものも当然求められているということがありますので、複線型の人事制度の導入を検討しています。

 行政側から見たNPOについて、「非営利と言いながら簡単に序列を付けるというNPOの存在が理解できない」「安定的活動資金を得るために行政の仕事の一部を請け負い、対価を得ることになる。すなわち、最終的には行政に従属することになるというように理解し、つい上から目線で見てしまいがちです」と書かれている。NPOと行政の協動は、事業者への外注と違って市民の共感を得ることができ、市民が自治する社会を創造していくことにつながっていく。「上から目線で見てしまう」という市の姿勢では、いつまで経っても良い関係を築くことはできない。改めていくべきではないか。
市長 : NPO法人がなぜ存在するのか、どういう役割を果たしているのかということについて十分な理解がないと、自分の仕事との関係でしか見ないということになります。そうではなく、一緒になって町をつくっていくことが必要であろうと思っています。職員にはそういう視点を持ってもらいたいという意味で書いたものです。
 「非営利と言いながら簡単に序列を付ける」というのは、市内のバリアフリーの調査をNPOと行った際に、飲食店の名前を出すことについて営業妨害の問題もあり、なかなか出せなかったわけです。市民や観光客が求めているのは、まさにそういうことだと思います。これがNPOの特筆ではないかと思い、NPOと行政が協働してまちづくりをやっていくことが必要だという意味で書かせていただいています。

★学力調査結果の公表に関する質問と答弁
 全国学力調査結果、島根県学力調査結果が市のホームページに掲載されている。 教育委員会は、今回の公表について「学校の序列化やランク付けを意図したものではない」と説明されるが、学校ごとに平均正答率が公表されており、これらの情報を取得する人が独自にランク付けすることが可能となっている。学校の序列化を積極的に防止するためには平均正答率の公表は中止すべきだと考えるが見解を伺う。
教育長 : 学力調査結果を公表したことで、見た人が序列化しようと思えばできますが、いわゆる加工は情報を扱う側の問題で、当然モラルが求められるべきだと考えています。教育委員会としては、公表することのメリットが大きいと判断したところです。平均正答率の公表を注視する考えはございません。

調査結果並びに分析・対策の学校別公表は、それぞれの学校と教職員、保護者の皆さんが把握され、日々の教育に活かされることを除けば、具体的な成果や課題などについて広く市民が知る必要性を感じることができない。改めて、広く市民が知る必要性について説明を求める。
教育長 : 松江市が公開している情報やデータの一つであると考えています。従って、そ
れぞれの情報について、その必要性を感じるかどうかは市民の皆様によって異なるのは当然だろうと思います。
    
 情報を取得した側の責任に転嫁していらっしゃいますが、積極的にそういう事態を防ぐために、行政側からの努力が問われていると思います。ぜひ、お考えを改めていただきたいと思います。

★旧一般ゴミ処理施設に関する質問と答弁

 平成23年に閉鎖された南と北の一般ゴミ処理施設は、安全にダイオキシンを除去し撤去するには、多額な費用がかかることから未だに放置されたままとなっている。焼却炉はもちろん施設内においてもダイオキシンで汚染されている可能性が高く、そのまま放置するのは安全な地域環境を守る観点から大きな問題だと考える。早急にダイオキシンの除染および施設の解体撤去が行われるべきと考えるが、どのような方針をお持ちか伺う。
環境部長 : 旧一般ごみ処理南工場施設の解体撤去は現在も未着手となっています。工事着手と併せて解体撤去後の更地の利活用の観点や国の財政支援制度の活用を考慮しながら、できるだけ早く着手したいと考えています。
  
 総務省はゴミ処理施設も含めた不要な公共施設の撤去を進めるために、公共施設適正化計画が策定されれば、期間限定で地方債を認める方針のようだが、言い換えれば、これは市民の借金であり、将来世代につけを回すことになる。この状態を脱却するためには、やはり国に対して補助金等の財政的支援を強く求めるべきだと考えるが、いかが。
財政部長 : 財政措置は、計画を策定する場合について、その経費の2分の1を特別交付税で措置し、さらに施設を除去する場合、その経費の75%を地方債で充当できるとなっています。おっしゃる通り、借金になってしまいます。今、全国市長会でも国に対して必要な地方債資金を確保するとともに、この地方債元利償還金に対する交付税措置を講じることなどを平成27年度の国の施策および予算に関する提言の中にまとめて、全国会議員、関係省庁に提出要請を行っています。

 撤去までの間においては、施設からダイオキシンが漏れ出さないように安全管理が確実に行われる必要があるが、施設内部の汚染状況の把握を含め、安全管理の現状について伺う。
環境部長 : 平成23年度に旧南・北工場を廃止する際に、ダイオキシンが外部に漏れないように煙突の封鎖や灰ピットの洗浄処理を行ったところです。今年10月に施設周辺の大気中のダイオキシン類の濃度を測定した結果、南北いずれも環境基準を下回っていました。今後、解体撤去までの間、施設全体の安全管理に努めてまいりたいと考えています。

平穏な暮らしを守るため、今年も頑張ります!

2015-01-19 20:41:53 | 政治

 松江市議会議員として活動させていただき、二度目の新年を迎えました。皆様からの励ましを支えに、原発問題を中心に再生可能エネルギー推進の取組み、教育の場における子どもの人権問題、サービス低下を招く介護保険制度改悪問題、化学物質過敏症対策など様々な問題について、議会質問や日常活動に取り組んでまいりました。新年を迎え、また新たな気持ちで、引き続き市民の皆様がなお一層暮らしやすい町となるよう、努めてまいりたいと思います。なにより、原発のない町づくりは、あらゆる問題の基礎として築いていかなければならないと考えて取り組んでまいります。
 原発を今後も活用するのか、それとも再生可能エネルギーの活用に切り替えていくのかという問題については、原発が立地する松江市にとって地域経済や雇用に影響する問題でもあり、意見は割れる所ではあります。ですが、ドイツでは昨年度の上半期で再生可能エネルギーの占める割合が28.5%へと増加し、ついに再生可能エネルギーが主要な電源の位置を占めることになりました。一方で、化石燃料による発電量は、褐炭による火力発電が前年同時期比で4.9%減、石炭は11.1%減、天然ガスは16.7%減と減少し、原子力による発電も2.1%減少しています。(自然エネルギー財団:2014年9月連載コラムより)そして、この取り組みはドイツだけでなくEU諸国でも拡大し、2000年から2009年の間で自然エネルギーの経済を切り開き、何十万もの雇用が生まれることになったといいます。
一方で、原発事故から4年が近い福島では、故郷に帰ることができない方たちがたくさんいらっしゃいます。また、子どもたちの間では、県の健康調査によって108人の子どもたちに甲状腺がんとその疑いが確認されています。国は、原発事故が原因ではないと説明していますが、WHO分類で発生頻度0.8%とされる希ながんが、福島では3.6%も見つかるのは異常なことです。
現在、原発では様々な安全対策が取られ、原子力規制委員会では基準に適合しているか審査が行われています。ですが、田中規制委員長は「原発の安全性について審査しているわけではない」と言います。“二度と福島のような事故は起きない!”とは誰も断言してくれないのです。このまま原発を再稼働すれば、いつか、私たちの町で同じことが繰り返されるかもしれません。フクシマを繰り返さないためには、二度と原発を動かさないことです。
電力需要についても、福島原発事故以前から最大電力需要が頭打ちの傾向が続き、事故後は減少が続いています。このことは、中国電力の株主総会案内資料にも明確に示されており、どんなに猛暑でも最大電力が伸びないことがはっきりとしていました。むしろ、人口減少が深刻な問題としてクローズアップされており、需要は減少が続くのは確実と見るべきです。これ以上に供給電力を増やす必要はありません。現在、原発の代わりに大きな割合を占める火力を計画的に再生可能エネルギーに切り替えていけばいいのです。
豊かな自然が残るこの松江市において、新しい地域経済をけん引していくことにもなる再生可能エネルギーの活用に取り組んでいくことこそ、命を守り、市民が豊かに暮らしていく要になると信じます。

今日は消防出初式

2015-01-10 22:43:00 | 日記
今日は消防出初式でした。雪こそないものの、外は冷たい風が吹き、じっとしていると寒い1日でしたが、消防署の皆さん、お疲れ様でした。会場はメッセと城山外堀でした。城山外堀でははしご車も使っての一斉放水は、なかなかかっこよかったですね。



外堀は埋まった!島根原発1号機を即刻廃炉に!

2015-01-09 20:42:08 | 原発
 2013年に施行された改正原子炉等規制法によって、原発の運転期間は40年とされていますが、特別点検を行って規制委員会の認可を得れば最長20年の延長ができることになっています。この法律改正には猶予期間が設けられており、3年後の2016年つまり来年の7月がその期限となります。
 該当する原発は全国で7基あり、運転を延長したければ今年の7月までに特別点検を行って規制委に申請する必要があります。これらの原発を実際に運転延長を行おうとすると、シビアアクシデント対策にも多額の費用が掛かり、電力会社にとっても採算性はないだろうとみられているのですが、各社はなかなか決断しませんでした。島根原発1号機も40年が経過しますから決断しなければならないのですが、中国電力は「両にらみ」の姿勢を取り続けてきました。その原因は、各電力会社とも廃炉費用の積立額が不足しているのが現状で、そのまま廃炉を決断すると不足額を決算時に一括で損失に計上しなければならないという経営上の問題でした。経済産業省は、廃炉にした場合の損失について10年かけて損失計上ができるよう会計制度を定めた省令の改正を行う方向で検討するなど、各社の廃炉決断を促しています。
 その結果、延長を決断したのは関西電力の高浜原発1号機、2号機の2基だけで、残りの原発は規模も小さく、廃炉に向けて動き出すだろうとマスコミ各社は伝えています。中国電力苅田社長もこの動きを受けて、1月5日に記者会見を行い、「年度内には結論を出し、関係自治体へ説明する」と述べています。
 一方で、これまで松江市長もたびたび「40年が原則」と発言しています。また、議会の中でも自民党議員たちの中からも「1号機は、もういいだろう!(廃炉だ)」という声が聞こえてきます。マスコミが全国の立地自治体と周辺30㎞内自治体合わせて160の自治体に原発再稼働問題や防災対策、使用済み核燃料問題などについてアンケートを行ったものが、1月5日付で掲載されています。その中でも、40年超運転について「運転しても構わない」と答えた自治体がわずか1割強の23自治体のみだったことが明らかとなっています。雲南市、境港市は「好ましくない」と答え、安来市、鳥取県が「どちらかというと好ましくない」と答えたそうです。同じ問いを住民に聞いても、ほとんど賛成する人はいないのではないでしょうか。

 中国五県の反原発市民団体の連絡会議では、これらの動きを受け、1月8日に中国電力に対して①1号機の廃炉をただちに表明し、具体的な手続きに入ることを主要な内容とし、②2号機の再稼働申請を取り下げると共に、3号機についても運転開始をしないこと ③上関原子力発電所の建設計画を白紙撤回することを申し入れました。
 しかし、中国電力は「安全性、対策費、需給動向を検討し、年度内に判断したい」と述べ、決めたわけではないと、あくまで
もこれまでの表明内容を繰り返すのみでした。そして、安全確保を前提に、これからも原子力を活用していくのだと言い張ります。中国電力が言う「安全性、対策費、需給動向」については、そのどれを取ってみても運転延長を決断する要素にはなりえないのが現状ではないでしょうか。規制委員会が行う適合審査も田中委員長が何度も表明するように「安全性を審査するわけではなく、原発は事故を起こす」のです。この現状のどこが安全だというのでしょうか。いったん事故が起きれば、私たち住民は被曝を強要され、避難というより移住を強いられることになります。そして町はゴーストタウンと化すことに!そんな福島のような事故を二度と繰り返してほしくない!それが、住民の願いなのです。費用対効果も、電力会社自ら答えを出しています。そして、電力需要は福島原発事故以前から最大電力需要が頭打ちの傾向が続き、事故後は減少が続いています。このことは、中国電力の株主総会案内資料にも明確に示されており、どんなに猛暑でも最大電力が伸びないことがはっきりとしていました。むしろ、人口減少が深刻な問題としてクローズアップされており、需要は減少が続くのは確実と見るべきです。もはや、外堀は埋められているのです。1号機は廃炉しかありえない。一刻も早い決断を求めたい!
 このように言うと、中国電力は「高齢化によってオール電化で電力消費は増える」と言い、供給も火力を使っているが老朽化している。安定供給と一つの電源に頼ることなくバランスを考えて各種電源を使う必要がある」などと言います。オール電化を勧めまくっておいて何を言うのか!とあきれてしまいます。私たちは火力を使うことは問題だと考えており、「再生可能江ネルギ-に一刻も早く切り替えるべきだ」と求めました。
 また、上関について、スラップ訴訟は取り下げるよう求めましたが、あろうことか、「裁判になってしまったので争わなければならない。損失も生じているので続ける」などと言いました。何の見込みもない上関原発建設にずるずるとしがみつくのは本当に異常です。どこまで住民を苦しめるのでしょうか!
 中国電力の言うことはおおよそ推測できるのですが、このような現状に至りながら改めて聞くと怒りがこみ上げてきます。
ですが、私たちは、何度でも訴えます。”島根原発を廃炉に!上関原発建設の撤回を!”

 
 

遅ればせながら9月議会の報告です

2015-01-03 18:08:23 | 政治
新しい年が、皆様にとって幸多き年でありますよう祈念いたします



 安部政権が戦争のできる国づくりや原発再稼働へと暴走し続ける中、新しい年を迎え、なかなか心から新年を祝う気持ちには庵りませんが、負けずに原発のない、そして平和な社会を取り戻すために奮闘してまいりたいと思います。どうぞ、今年もよろしくお願いします。
 さて、本当に遅くなってしまいましたが、昨年の9月議会での質問と答弁などをご紹介したいと思います。

 一般質問では、先般、九州電力の川内原発に関する規制基準適合性審査結果が出されましたが、田中規制委員長は一貫して「原発の安全性について審査をしてはいない。」と発言していることに関して、島根原発2号機の審査に関連して質問し
ました。また、今議会では少し時間を割いて「社会福祉法人の特別監査結果」に関してと「生活困窮者自立支援法に基づく事業」に関する質問を行いました。

9月議会での主な質問と答弁
★原発再稼働判断と規制基準適合審査に関する質問と答弁
 田中規制委員長は「新規制基準を満たしたから安全とは言えない」と発言されている。島根原発の再稼働を判断する際には、市長の求めている「新規性基準をクリアすること」は審査が終了すれば満たされるが、ゼロリスクレベルの安全性が確保されているのかについて、どこかに専門的な判断を聞く必要があると考えるが、いかがか。         
市長答弁:最新の知見、世界の基準を全て網羅している基準に基づいて、合格だということだと思うわけです。あらゆることを想定して全てゼロリスクということは、人間のやることですから、その時点での知見に対してどうなのか、基準に合っているかということを考えていくのが常識的なところではないかと思います。ただ、安全性がどういうものなのか、規制委員会がわかりやすく説明していただく必要があります。
 お聞きしたのは、どこか別に専門的な判断を聞くことができませんかという趣旨ですが、それはしないということですね。結局、市長が求めている安全性は、“原発が事故を起こす可能性を含むレベルのものでしかない、それでいいんだ”と受け止めることができます。よく覚えておきます。
市長答弁:規制委員会の判断を受けて、国の再稼働についての判断が出てきます。国にどういう風に判断したのかお聞きしなければならない。川内原発はそのモデルになるだろうと思っています。
    
★社会福祉法人に対する特別監査結果に関する質問と答弁 
 認可保育園並びに市の保育所の指定管理を受けている社会福祉法人に対する特別監査が行われてきた。同法人の理事長は、他の社会福祉法人から保育園の「15年間の無償貸与を受け、代わりに理事長個人がその法人の債務返済を寄付するという形で肩代わりする。債務返済をもって本館を移転登記する」という趣旨の契約を交わし、勤務実態のない親族へ約4千2百万円の給与支給という形で法人から支出させ、債務返済額を捻出してきたと説明している。勤務実態のない親族への給与を支出することは、福祉事業を担う社会福祉法人として極めて不適切。
 法人からは、不正支出額返還が行われ、深く反省していることから理事長に対して法的措置は執らないと報告され、市は「継続して指導する」としている。明らかに違法行為をおこなってきた理事長のもとでの保育所運営の継続を容認するのは
処分として甘いのではないか。

健康福祉部長:社会福祉法に基づいて、市が法人に対して行うことができる改善命令後の行政処分は、改善命令に従わなかった場合に、業務停止命令または役員の解職勧告、さらに従わなかった場合に、法人の解散命令まで進むことができることになっています。今回、改善命令に従ったことを確認しましたので、処分に至らなかったものです。
 この法人の理事長が行われた行為自体、非常に大きな問題だと思います。もう少し突っ込んだ処分ができなかったのかと思います。

 問題の社会福祉法人は、監査に非協力的、理事長のワンマン体質、不透明な業者からの多額の寄付、人件費比率の低さなど、様々な問題が指摘されている。
 現在の指定管理者制度運用ガイドラインの資格要件について、施設特性に応じて定める要件のための基本的な視点として、公共性を有する施設にそぐわない不適切な事業者の排除を掲げ、必ず規定する要件として労働基準監督署から是正勧告を受けていないこと、違法行為による処分を受けていないこと、指定管理者の責に帰すべき事由によって指定の取り消しを受けたものでないことなどを明確に示す必要があると考えるが、いかがか。

総務部長:本紙のガイドラインの内容は、先進自治体と比較しても遜色はないと考えていますが、必要に応じて修正も検討してまいりたいと思います。資格要件もさらに研究をしていきたいと思っています。

 同法人が運営する保育所の「経理事務委託契約書」の範囲は、雇用保険手続き、労災手続き、社会保険事務所への手続きが入っている。契約先は、会計事務所と聞いているが、税理士及び税理士法人が行うことができる付属業務の範囲に関しては、全国社会保険労務士連合会及び日本税理士会連合会は確認書を取り交わしている。監査時点において、この確認書の内容を把握されていたか。
健康福祉部長:確認書の存在及び確認書の内容については把握をしていませんでした。

 税理士が行える社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号に規定する業務は、「租税債務の確定に必要な事務」の範囲となっており、労働保険の年度更新、社会保険算定基礎届け、その他手続き、就業規則の作成などの業務はできないことになっている。この法人の契約書は明らかに違法だと考える。どのような対処をされるのか。
健康福祉部長:社会福祉法人と税理士事務所が交わした契約、これの相手先に係わらず、契約内容の適否について関係機関と連携して確認をした上で、根拠法令等に基づいた適正な対応をしていきます。

★生活困窮者自立支援法に基づく事業に関する質問と答弁
 来年4月に施行される「生活困窮者自立支援法」に基づく事業を開始するための補正予算が組まれている。生活保護に至る前に生活困窮者に対して自立支援を図るという制度で、自立相談支援事業と住居確保給付金以外は任意事業となっている。就労準備支援事業や一時生活支援事業などの任意事業について実施の考えはあるか。
健康福祉部長:一時生活支援事業については、平成24年11月から松江市ホームレス等緊急一時宿泊事業として、延べ44人の方に一時的な住宅等を提供してきました。来年度以降も一時生活支援事業として実施していきます。就労準備支援事業及び学習支援事業は市では実施せず、しまね東部若者サポートステーションや松江市青少年支援センターなどの機関との連携、活用を考えています。家計相談支援事業については実施する考えはありません。
 就労準備支援事業は、この自立支援事業の中でも大きなウエイトを占めています。できれば実施を考えていただきたいと思います。

 この制度の対象者は自立が見込まれる人であり、用意された事業は期間が限られた就労自立のための支援がほとんどだ。生活困窮にいたる原因は、「社会環境の問題」が大きいといえる。「就労自立」という限定的なゴールを課した半年や1年程度の支援を行っても非常に困難を極めることが推測される。市は実施の考えがないようだが、期限付きの限定的な支援からこぼれ落ちる人への長期的な支援が欠かせないと考えるが、いかがか。
健康福祉部長:すでに同様の事業を実施しているしまね東部若者サポートステーションや松江市青少年支援センターなどは長期的な支援ができることになっていますので、必要に応じてそちらのほうに繋げていきたいと考えています。
 若者サポートステーションや松江市青少年支援センターなどに来る人たちは必ずしも生活困窮者ではありません。生活困窮者という対象に限って言えば、不十分です。やはり、別に長期的な視点に立った支援策は必要になってきま
す。ぜひ、再考を!


 厚生労働省は、「自立相談支援事業において、生活保護が必要な場合は確実に生活保護につなぐ」としています。この相談窓口が、生活保護が必要な人に対する新たな「水際作戦」の担い手とならないことを確認させていただきたい。
健康福祉部長:相談に来られた方で生活保護制度の利用が適当と認められる方は、適切に生活保護につなぐこと、これは当然であると考えています。

 これらの新しい事業については、必須事業については国庫負担が4分の3,任意事業については、国庫補助として3分の2、学習支援などが同じく2分の1の国庫補助だ。国が第2のセーフティネットとしてやると言いながら、全額国庫負担としないのはおかしいと思う。改めて、国に対して10分の10国庫負担とするよう求める考えはないか。
 健康福祉部長:この事業を行っていく場合には、やはり財源とそれに見合った人材の確保が必要になると思います。全国市長会でも、そうした人材の確保あるいは財源の確保ということで国に対して要請をしていますが、これからも強く要請していきたいと思っています。


 今回の補正予算については、生活困窮者自立支援事業の準備のための予算が計上されていますが、質問で触れたように、市は「就労準備支援事業」を予定していません。既設事業は生活困窮者支援という視点が不足しており、実施体制としても不備があるため、ぜひ実施していただきたいとの思いを込め、反対しています。
 また、市の斎場を指定管理にするにあたって、料金を大幅に値上げする条例改定案、水道料金、簡易水道料金についても、需要減や老朽化した施設の交換に今後10年間で約120億円見込まれ、値上げの条例改定案が提出されました。事情は理解できるものの、消費税10%も予定される中、市民にとって生活を圧迫することに違いはありません。今議会では「生活困窮者」支援について質問しましたように、安部ノミクスの効果があるように報道される中、松江市民の中でも生活に困窮する方はたくさんいらっしゃいます。そういった市民の立場から、これらに反対をしました。

陳情4件の審議結果
・手話言語法制定を求める意見書の提出についてー採択
・竹島の日の安全に関することについてー不採択
・原発事故時に重要となるスクリーニングの場所と対応を明確にするよう求めることについてー不採択
・軽度外傷性脳損傷の周知及び労災認定基準の改正などを求める意見書の提出についてー継続審査