脱原発と福祉と人権&子育て世代の貧困

6年前の3月11日に、東北地方を襲った巨大地震と津波によって福島原発事故が起き、大量の放射性物質が日本中を汚染しました。
この原発事故で、大手を振ってまかり通っていた「安全神話」は一気に崩壊しました。以来、原発は全て運転を停止し、私たちは原発による電気を一切使わないで暮らし続けています。この間、中国五県でも事故以前に比べて最大電力需要は減少し続け、昨夏も供給は11.1%もの余裕がありました。このまま、省エネと再生可能エネルギーの活用を進めていけば、必ず原発に頼らないまちづくりができます。地域経済への影響も、これから30年以上はかかるはずの1号機の廃炉事業と再生可能エネルギーの活用で新たな地域活性化も可能です。すでにオーストリアでは消費電力の66%を自然エネルギが占め、EU全体で110万人の雇用を生み出しています。
松江もEU諸国の取り組みに続きませんか。小泉元首相も「政治が決断すればできる!」と言っています。なにより、6年たっても放射能汚染が続く福島では、子育て世代は帰らないことを決断し始めています。そして、185人にもの子どもたちが甲状腺がんにかかり、今後も増加し続けるとみられる実態をよく見てください。今後、島根原発の再稼働を認めれば、いつか同じ道を歩むことになるかもしれません。
市長は、2号機の再稼働を地域経済のために容認するつもりでいます。ですが、市民が安全なまちで安心して暮らせて、初めて地域経済も成り立ちます。原発のないまちづくりは希望のまちづくりでもあります。そんなまちを、しっかりと子どもたちに、未来世代にバトンタッチしていかなければなりません。
4年前にこういった原発のないまちづくりを訴え、皆様からの熱いご支持をいただき、市政に市民の声を届け続けてきました。再稼働の判断は先送りとなっていますので、これからも市民の皆さんと共に訴えていかなければならないと思っています。
この4年間、開催された市議会では、毎回、原発問題以上に様々な課題について質問してきました。社会福祉に関しては、介護保険のサービスを次々と削ってくる国に対して、これでは市民の生活が守れない!全国市長会を通じてもっと国税を投入することを要請すべきと市長に訴えました。障害者の皆さんに対する介護サービスも削減され、不安な生活を強いられていた中、一般質問で取り上げ、改善することができました。
そして、人権を守る取り組みでは、「障害のある人もない人も共に住みよいまちづくり条例」を、人としてその尊厳が守られることを明記した条例となるよう、障がい者の皆さんと共に市に要請してきました。満点とは言いませんが、納得のいく条例となったと思っています。この条例が血の通ったものとなるためにも、市民の皆さんに、ぜひ日常生活に活かしていただきたいと思います。また、松江の未来を担ってくれる大切な子どもたちに関しては、学校でのいじめや虐待で、自らの思いを訴えることもままならない中、苦しむ子どもたちがいます。時々、他市において、いじめられた子どもの言葉に真摯に耳を傾けず、結果的に命を落としてしまうなど深刻な事態を招いていることを聞きますが、松江市においても実態はあまり変わりません。子どもの権利条例を制定し、第三者機関の設置によって、子どもたちが直接訴えることができることを求め続けています。残念ながら、市は国が法律を作っていないことを理由に取り組もうとはしません。全国でも、札幌市をはじめ、子どもの権利を守ろうとする自治体が結構あります。自治体独自で国に先んじて取り組み、その流れが国の政策を変える原動力にもなるのです。子どもたちを松江市の宝物と思えば、もっと積極的な対応ができるはずです。この問題も引き続き取り上げていきたいと思います。
また、近年子どもの相対的貧困率が高い状態が続いています。松江市でも小中学校での要保護・准要保護家庭の子どもたちが約15%程度の割合を占めています。中でもひとり親家庭の割合が高く、離婚した相手から子どもの養育費を受けることができず、ダブルワークなどを重ねている家庭があります。こういった家庭の相談窓口設置などを求めました。現在、市役所の中に相談窓口の案内が掲げられています。これですべてのひとり親家庭の貧困状態が改善できるわけではありませんが、まずは、対策をスタートさせることができました。。今後も、更なる改善策を求めていきたいと思います。
このほかにも「大切なことは市民が決める!」「市民と共に考え行動します!」をモットーに、様々な問題を取り上げてきました。実際の市政の中では、大切なことを決める場に多様なニーズを持つ市民の参加が十分でありません。議会にかけられる議案も、本来、市民生活に影響する問題が多く、議会で審査し議決されると同時に市民にも情報公開され、意見を求められるべきだと考えます。課題は多いと感じていますが、皆さんと共に考え、取り組んでいきたいと思います。