泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

土 地球最後のナゾ

2019-03-25 16:48:46 | 読書
 

 土のこと、何も知らなかったな、というのが感想。
 そもそも、土とは何なのか?
「岩の分解したものと死んだ動植物が混ざったもの」なのだそうです。
 月や火星には岩がある。岩が風化した砂もある。でも、土はない。動植物がいないから。
 動植物がいなければ土は生まれない。また、土がなければ、動植物を養う食べ物も生まれない。
 スプーン一杯の土の中に、細菌が50億もいるという。細菌たちが、せっせと動植物を食べ、分解している。
 ケイ素や鉄やアルミニウムやリンやカリウム、カルシウムなど、鉱物と生物が混ざり合って様々な性質の土を作る。
 加えて、雨や気温、地殻変動の有無、また氷河や川や風などの影響も受ける。
 大きく分けて12種類、土はある。
 どの土が、増える人口を養ってくれるのか、スコップを相棒とした著者の旅が始まる。
 おもしろく読めましたが、一読しただけではとても土がわかったとは言えない。
 言えるのは、土は土だけで出来ているのではないということ。
 そもそもが「混ざったもの」なので。
 そこにいい土があり、よく作物が育つとしても、同じものを作り続けると必ず土のバランスは崩れ、いいものは育たなくなる。
 また日本で米や蕎麦が産地となったのも、理にかなっていた。その仕組みをうまく説明できるほど理解できてはいませんが。
 とにかく、私の好きなトマトもリンゴもレモンも、土あってこそ実を結ぶ。
 あまりにも当たり前に土はあるから、その価値を見ようともしなかった。
 しかし、土がなかったら、人は生きていけない。
 根を張ろうにも土がなければ踏ん張れない。花も咲かない。
 ちなみに、「犯罪を生み出す土壌」は、世界中を掘って回っても見当たらないそうです。
 土の研究者として、この比喩は看過できないのでしょう。
 犯罪を生むのは人でしかない。こんなにも土は人の役に立っているというのに、なんていう仕打ちだ。
 確かに。
 土のこと、もっと知りたいと思います。
 土の入門書としては最適なのではないでしょうか。

 藤井一至(ふじいかずみち)著/光文社新書/2018
 
  

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