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土のこと、何も知らなかったな、というのが感想。
そもそも、土とは何なのか?
「岩の分解したものと死んだ動植物が混ざったもの」なのだそうです。
月や火星には岩がある。岩が風化した砂もある。でも、土はない。動植物がいないから。
動植物がいなければ土は生まれない。また、土がなければ、動植物を養う食べ物も生まれない。
スプーン一杯の土の中に、細菌が50億もいるという。細菌たちが、せっせと動植物を食べ、分解している。
ケイ素や鉄やアルミニウムやリンやカリウム、カルシウムなど、鉱物と生物が混ざり合って様々な性質の土を作る。
加えて、雨や気温、地殻変動の有無、また氷河や川や風などの影響も受ける。
大きく分けて12種類、土はある。
どの土が、増える人口を養ってくれるのか、スコップを相棒とした著者の旅が始まる。
おもしろく読めましたが、一読しただけではとても土がわかったとは言えない。
言えるのは、土は土だけで出来ているのではないということ。
そもそもが「混ざったもの」なので。
そこにいい土があり、よく作物が育つとしても、同じものを作り続けると必ず土のバランスは崩れ、いいものは育たなくなる。
また日本で米や蕎麦が産地となったのも、理にかなっていた。その仕組みをうまく説明できるほど理解できてはいませんが。
とにかく、私の好きなトマトもリンゴもレモンも、土あってこそ実を結ぶ。
あまりにも当たり前に土はあるから、その価値を見ようともしなかった。
しかし、土がなかったら、人は生きていけない。
根を張ろうにも土がなければ踏ん張れない。花も咲かない。
ちなみに、「犯罪を生み出す土壌」は、世界中を掘って回っても見当たらないそうです。
土の研究者として、この比喩は看過できないのでしょう。
犯罪を生むのは人でしかない。こんなにも土は人の役に立っているというのに、なんていう仕打ちだ。
確かに。
土のこと、もっと知りたいと思います。
土の入門書としては最適なのではないでしょうか。
藤井一至(ふじいかずみち)著/光文社新書/2018
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