今日はもう一冊。
明日の8月6日は、78回目の広島原爆の日。
当時11歳だった一人の少年が、原爆の爆破地点から1キロ以内にいたにも関わらず生き残りました。
その人は米澤鐡志(てつし)さん。自身の体験を語り伝えてきました。
その少年は路面電車に乗っていました。疎開先からお母さんとともに、広島の祖父母のところへ足りないものを取りに行くために。
その日は月曜日で、仕事に行く人などで朝の路面電車は超満員だった。
その真ん中付近で、彼は人々に埋もれていた。
そのことが、彼を救うことになった。
ピカッと光った後の静寂。静寂の後の地獄。
35度でひいひい言っているのに、地面は3000度以上になったという。
原爆は100万度。78年前、現実にあったことだけど、信じられない。
信じたくもない。と思うから、歴史は歪曲されてきたのかもしれません。
少年の語りは続きます。
肌が熱で溶けて垂れてしまった人たち。防火水槽に頭から突っ込んで息絶えてしまった人たち。
ガラス片が刺さっているのも気づかないで歩いている人たち。いつも遊んでいた川で流れていく人たち。
目玉が飛び出してしまって、顔に二つの深い穴をさらしている人。
ともに逃げたお母さんも、高熱に苦しめられ、苦しさのあまり「もう殺して」とまで言わさせて、亡くなってしまった。
彼は助かった。語り続けることが使命になった。
「どんなにつらい記憶でも、知らないよりは知ったほうがいいと私は思います。
本書は読むのも苦しい内容ですが、きっと未来のための知恵を与えてくれるでしょう」
本当にその通りだと思う。過ちは学ぶためにあります。上の文章を寄せたのは、原子力の専門家である小出裕章氏。
知っていればこそ、新しい回答も導くことができる。
核は使えない。人が制御できるものではない。そう知った上での「次の一手」はなんなのか。
アメリカとロシアだけで、核兵器が1万発あると言われています。
英国(225)、フランス(290)、中国(410)、インド(164)、パキスタン(170)、イスラエル(90)、北朝鮮(30)。(「ひろしまレポート」より)
上の数字は2023年1月時点での核兵器の数。英国、フランス、イスラエルは増減なしですが、中国、インド、パキスタン、北朝鮮ともに増えています。
一体何を争っているのでしょうか?
78年も経てば、核兵器の威力も増しているのではないでしょうか。それが10,000以上とは。
人権を守り、一人一人の平和をこつこつ作っていくことよりも、恐怖で人を操る方が簡単ということでしょうか。
人は変わらないのでしょうか?
いや、学ぶことができるのが人のはず。
恐怖を解くことができるのも「語り」の持っている力の一つ。
語り続けることですね。希望を失わず。
米澤さんが語り続けてきたからこそ、児童書の担当を経て、私にまでこの本は届きました。
そして私も、未知の読者にこの本を届けます。
米澤鐵志 語り/由井りょう子 文/小学館/2013
明日の8月6日は、78回目の広島原爆の日。
当時11歳だった一人の少年が、原爆の爆破地点から1キロ以内にいたにも関わらず生き残りました。
その人は米澤鐡志(てつし)さん。自身の体験を語り伝えてきました。
その少年は路面電車に乗っていました。疎開先からお母さんとともに、広島の祖父母のところへ足りないものを取りに行くために。
その日は月曜日で、仕事に行く人などで朝の路面電車は超満員だった。
その真ん中付近で、彼は人々に埋もれていた。
そのことが、彼を救うことになった。
ピカッと光った後の静寂。静寂の後の地獄。
35度でひいひい言っているのに、地面は3000度以上になったという。
原爆は100万度。78年前、現実にあったことだけど、信じられない。
信じたくもない。と思うから、歴史は歪曲されてきたのかもしれません。
少年の語りは続きます。
肌が熱で溶けて垂れてしまった人たち。防火水槽に頭から突っ込んで息絶えてしまった人たち。
ガラス片が刺さっているのも気づかないで歩いている人たち。いつも遊んでいた川で流れていく人たち。
目玉が飛び出してしまって、顔に二つの深い穴をさらしている人。
ともに逃げたお母さんも、高熱に苦しめられ、苦しさのあまり「もう殺して」とまで言わさせて、亡くなってしまった。
彼は助かった。語り続けることが使命になった。
「どんなにつらい記憶でも、知らないよりは知ったほうがいいと私は思います。
本書は読むのも苦しい内容ですが、きっと未来のための知恵を与えてくれるでしょう」
本当にその通りだと思う。過ちは学ぶためにあります。上の文章を寄せたのは、原子力の専門家である小出裕章氏。
知っていればこそ、新しい回答も導くことができる。
核は使えない。人が制御できるものではない。そう知った上での「次の一手」はなんなのか。
アメリカとロシアだけで、核兵器が1万発あると言われています。
英国(225)、フランス(290)、中国(410)、インド(164)、パキスタン(170)、イスラエル(90)、北朝鮮(30)。(「ひろしまレポート」より)
上の数字は2023年1月時点での核兵器の数。英国、フランス、イスラエルは増減なしですが、中国、インド、パキスタン、北朝鮮ともに増えています。
一体何を争っているのでしょうか?
78年も経てば、核兵器の威力も増しているのではないでしょうか。それが10,000以上とは。
人権を守り、一人一人の平和をこつこつ作っていくことよりも、恐怖で人を操る方が簡単ということでしょうか。
人は変わらないのでしょうか?
いや、学ぶことができるのが人のはず。
恐怖を解くことができるのも「語り」の持っている力の一つ。
語り続けることですね。希望を失わず。
米澤さんが語り続けてきたからこそ、児童書の担当を経て、私にまでこの本は届きました。
そして私も、未知の読者にこの本を届けます。
米澤鐵志 語り/由井りょう子 文/小学館/2013
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